債権回収/詐欺被害救済

詐欺かも?在宅ワークや副業サイトの危険な落とし穴と見分け方

「自宅で好きな時間に働けたらいいな」「スマホで簡単に稼げないかな」そう考えたことはありませんか?副業や在宅ワークが広まり、誰もが気軽に仕事を探せる時代になりました。

しかし、その一方で、私たちのそんな希望につけ込む、巧妙な詐欺が急増しています。

「まさか自分が騙されるなんて」そう思うかもしれません。けれども、詐欺の手口は年々巧妙化しており、誰でも被害に遭う可能性があります。この記事では、副業や在宅ワークに関する詐欺の実態と、その危険な罠を徹底的に解説していきます。

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在宅ワーク・副業詐欺の巧妙な手口

誰もが狙われる!心理的な罠

こんなに簡単に、しかも高額な報酬がもらえるなんて」。あなたは今、そう思っていませんか。実は、それこそが、詐欺師が狙う最初の入り口です。

副業詐欺は、私たちの「楽して稼ぎたい」「お金が欲しい」という気持ちを巧みに利用します。彼らはまず、SNSやウェブサイトで魅力的な広告を打ち出し、あなたの注意を引きます。

具体的には、「スマホだけで月収100万円」「誰でもできる簡単な作業」といった甘い言葉で誘惑します。こういった言葉を聞くと、誰もが「もしかして、自分にもできるかも」と期待してしまいます。消費者庁は、このような「簡単に稼げる」といった言葉に安易に飛びつかないよう警告しています。(出典:消費者庁「簡単な作業をするだけで『誰でも1日当たり数万円を稼ぐことができる』などの勧誘」 )

さらに、彼らは「今だけの特別価格」「人数限定」などと焦らせることで、あなたが冷静な判断をする時間を与えません。いわゆる「限定商法」と呼ばれる手法です。人は、時間が限られていると感じると、思考力が低下し、つい衝動的に行動してしまう傾向があります。

特に、コロナ禍以降、在宅で仕事を求める人が増え、こうした心理的な罠にかかる人が後を絶ちません。国民生活センターの調査によると、副業に関する相談件数は年々増加しており、2020年度の1,341件から2023年度には3,700件に急増しています。(出典:国民生活センター「副業トラブルが急増」(2024年9月4日))

このように、詐欺師は私たちの「早く稼ぎたい」という焦りや、「もしかして自分も」という期待感を巧みに操ります。そのため、怪しいと感じたら、すぐに誰かに相談することが大切です。

3つの代表的な手口とその具体例

副業詐欺には、いくつかの典型的な手口が存在します。多くの被害事例は、これらのパターンに当てはまります。ここでは、特に被害が多い3つの手口について、具体的に解説していきましょう。

まず一つ目は、「タスク型副業詐欺」です。この詐欺は、最初に簡単なタスク(例:動画に「いいね」を押す商品のレビューを書くなど)を指示し、少額の報酬を支払うことで信用させます。しかし、その後「より高額な報酬を得るには、保証金が必要です」「VIPメンバーになるための参加費用を払ってください」などと、高額な支払いを要求してきます。支払いをしても報酬は支払われず、最終的には連絡が取れなくなります。

この手口は特にSNSで横行しており、消費者庁も注意喚起をしています。(出典:消費者庁「『タスク副業』で報酬が支払われるとうたい、実際には高額を送金させる事業者」 )

次に、「情報商材・マニュアル詐欺」です。この詐欺では、「スマホで簡単に月100万円」といった誇大広告で、数千円から数万円の「マニュアル」や「電子書籍」を購入させます。しかし、その中身は、インターネットで調べれば誰でも手に入るような、価値のない情報ばかりです。そして、マニュアルを購入した人には、「この方法を実践するには、さらに高額なサポート契約やコンサルティングが必要です」と、さらなる金銭を要求します。

この手口も、消費者庁が繰り返し注意を呼びかけています。(出典:消費者庁「簡単な作業をするだけで『誰でも1日当たり数万円を稼ぐことができる』などの勧誘」 )

最後は、「投資型・仮想通貨詐欺」です。これは、「必ず儲かる」「投資資金を増やす」などと持ちかけ、暗号資産(仮想通貨)やFXの投資を勧めます。詐欺師は、偽の取引サイトやアプリを使わせ、あたかも利益が出ているかのように見せかけます。しかし、いざ利益を出金しようとすると、「手数料を支払ってください」「追加の保証金が必要です」などと、様々な名目で金銭をだまし取ろうとします

警察庁も、副業を名目にした詐欺として、この手口に警戒を促しています。(出典:警察庁「副業を名目とした詐欺」(特殊詐欺対策ページ) )これらの手口を知っておくことは、被害を未然に防ぐ上で非常に重要です。

増加する副業詐欺の被害実態とは

データが示す!被害者の年齢層と特徴

副業や在宅ワークに関する詐欺被害は、年々増加の一途をたどっています。国民生活センターの調査によると、2023年度には副業に関するトラブル相談が3,700件に達しました。これは、2020年度の1,341件と比較して、わずか3年間で約2.8倍に急増したことになります。(出典:国民生活センター「副業トラブルが急増」(2024年9月4日) )

さらに驚くべきは、被害者の特徴です。ある報道機関の調査では、相談者の約8割が女性であり、その約半数が20代の若年層であると報じられています。(出典:JBpress「副業トラブルが急増、被害者の約半数は20代女性」(2025年5月21日) )これは、「スキマ時間を活用して稼ぎたい」「子育てや家事の合間に」といった、若者や主婦層のニーズに詐欺師が狙いを定めていることを意味します。

また、被害金額も深刻です。警察庁が発表した事例では、一つの詐欺グループが、わずか数ヶ月で約3,000人もの人々から、総額13億円をだまし取った事例が確認されています。(出典:ANN「副業サポート“詐欺”22人逮捕 被害額は全国で約13億円」(2024年11月8日) )

被害者一人ひとりの金額は数万円から数百万円と様々ですが、被害総額が示すように、社会全体で大きな問題になっています。このように、副業詐欺は決して他人事ではなく、誰もが直面しうる危険な罠なのです。

なぜ気づかない?被害が拡大する背景

多くの人々が、なぜ「おかしい」と気づけないのでしょうか。その背景には、いくつかの要因が潜んでいます。まず一つは、SNSの普及です。詐欺師は、InstagramやX(旧Twitter)、LINEなどのSNSを通じて、ターゲットに直接コンタクトを取ります。「スマホだけで完結」「LINEで丁寧なサポート」といった形で、信頼できる相手だと錯覚させるのです。

次に、初期の少額報酬が信用を生むという手口です。多くの詐欺は、最初に「簡単なタスク」を与え、その報酬を支払います。これにより、「本当に稼げるんだ」と信じ込ませ、その後で高額な費用を請求するという仕組みです。この段階的なアプローチが、被害者を深く引きずり込みます。消費者庁は、こうした手口を「タスク型副業詐欺」と呼び、注意を呼びかけています。(出典:消費者庁「『タスク副業』で報酬が支払われるとうたい、実際には高額を送金させる事業者」 )

そして、「早く稼ぎたい」という心理的な焦りも大きな要因です。経済的な不安を抱える人々は、冷静な判断ができなくなりがちです。また、「もし断ったら、稼げるチャンスを逃してしまうかも」という恐怖心も、被害を拡大させる一因となります。

多くの被害者が口を揃えて言うのが、「まさか自分が騙されるとは思いませんでした」という言葉です。しかし、詐欺師はこうした心理的な隙を突くプロです。だからこそ、少しでも不審に感じたら、立ち止まって情報を確認する習慣を持つことが不可欠なのです。

騙されたかも?被害に遭った時の対処法

落ち着いて!すぐにすべき行動リスト

「もしかして、自分は詐欺に遭ったのかもしれない」。そう気づいたとき、あなたはきっとパニックになるかもしれません。しかし、そんな時こそ冷静になることが重要です。被害を最小限に食い止めるために、まずは以下の行動をすぐに実行してください。

第一に、すべての証拠を保全することです。詐欺師とのLINEやメールでのやり取り、ウェブサイトのスクリーンショット、銀行の振込明細、クレジットカードの利用履歴など、考えられる限りの情報をすべて保存してください。これらの証拠は、後々警察や弁護士に相談する際に不可欠となります。デジタルデータは消えてしまう可能性があるため、すぐにスマホやパソコンに保存したり、印刷したりすることが大切です。

次に、消費者ホットラインに相談してください。電話番号は188(いやや!)です。この番号にかけると、最寄りの消費生活センターにつながります。専門の相談員が、あなたの状況を丁寧に聞き取り、適切なアドバイスや情報提供を行ってくれます。お金を取り戻すための具体的な方法や、次のステップについて詳しく教えてくれるはずです。

最後に、警察に相談することも非常に重要です。電話番号は#9110で、最寄りの警察の相談窓口につながります。詐欺は犯罪です。被害を警察に報告することで、捜査のきっかけとなり、他の被害拡大を防ぐことにもつながります。金銭的な被害だけでなく、もし個人情報を渡してしまった場合も、必ず相談しましょう。

信頼できる相談先と、今後の対策

一人で抱え込まず、専門家に頼ることが被害救済への第一歩です。先述の消費者ホットラインや警察に加え、弁護士や司法書士に相談することも有効な手段です。法的な観点から返金請求の手続きや、今後の対応について専門的なアドバイスをしてくれます。

詐欺師に請求しても返金に応じない場合や、被害額が大きくなった場合には、弁護士を介して交渉したり、法的措置を検討したりすることも可能です。

何よりも大切なのは、今後の再発防止策です。まず、「簡単に稼げる」という言葉に惑わされないと心に決めてください。世の中に、努力なしで大金を稼げる仕事は存在しません。次に、お金を払う前に、その情報源や会社を徹底的に調べる習慣を身につけましょう。会社のウェブサイトや口コミ、SNSアカウントなどを確認し、信頼できる情報かを見極めることが重要です。