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債務整理

債務整理すると住宅ローンはどうなるの?自宅を保持する方法・ローンの審査に通りやすくなるポイントを解説します

債務整理を考える時、心配なのは住宅のことですね。家を持っている人は、債務整理をすると家を手放さなくてはいけないかもしれないと思って、躊躇してしまうこともあるでしょう。また、将来家を買うために住宅ローンを組みたいと考える人もいますが、債務整理のせいで住宅ローンが組めなくなるのではないかと心配するかもしれません。

しかし結論は、債務整理をしても家を保持する方法はありますし、債務整理が終わった後に住宅ローンを組むこともできます。

この記事では、最初はすでに住宅ローンを組んでいる人のために「債務整理後の家のこと」という部分を説明し、後半では将来住宅ローンを組む場合に、どんな影響があるのか、債務整理と住宅ローンの関係について紹介します。

自宅を手放さずに債務整理する方法

多くの人は、債務整理をすることで自宅を失いたくないと考えるでしょう。自宅は大切な資産であり、なんとか残す方法があれば当然に残したいと思うのは自然なことですね。

では、住宅ローンが残っている状態で自宅を手放さずに債務整理を行う方法はあるのでしょうか?3つの方法について詳しく解説していきます。

銀行と協議する

住宅ローン以外の借金がない場合、住宅ローンの返済に困ったら、直接金融機関に相談して返済方法を変更してもらうことができます。この相談は、借りた人自身が行います。
「リスケジュール」とは、お金を借りているときに、返済が難しくなった場合に、元々の返済条件を変更してもらうことです。普通は「リスケ」と呼ばれています。

住宅ローンの返済方法を変更するためには、以下の4つの方法で相談できます。
(1)借りる期間を延ばす方法
(2)一定の期間だけ返済額を減らす方法
(3)一定の期間だけ元金の支払いを休む方法
(4)ボーナスの返済方法を見直す方法

月々の返済額を減らしたいなら、借りる期間を延ばす「借入期間の延長」や、一定期間だけ支払い額を減らす「返済額の一定期間減額」、また一定期間は元金の支払いを休んで利息だけを払う「元金返済のすえおき」といった方法があります。
これらの方法を使えば、一時的にでも月々の支払額を減らせるでしょう。

もっとも、リスケは住宅ローンの支払いを免除するものではなく、ただ返済方法を変えることができるということに注意しましょう。また、住宅を買ってから1年以内や直近1年間に返済が遅れている場合は、リスケが利用できないことが多いです。

任意整理で住宅ローンへの影響を回避する

住宅ローンを組んだ銀行や金融機関からの借金を対象に債務整理をすると、住宅を売らないといけないことになることがあります。
それを避ける方法として、3つの対応法が考えられます。
(1)住宅ローンを債務整理の対象から外す
(2)銀行や金融機関に、住宅を手元に残しながら債務整理を行うことを許してもらう
(3)法律的に、債務整理をしても住宅ローンを残せる手続きを取る

そして、(1)と(2)ができる方法が任意整理です。

個人再生で自宅を手放さずに債務整理する

個人再生とは、借金を減らすために裁判所に頼み、住宅は手元に残したまま、特別な返済計画を作ってもらう方法です。この返済計画は、住宅ローンを含む住宅資金貸付債権については自宅を手放さずに残し、他の借金を減らすか分割で返済できるものです。

個人再生の特徴の一つに、『住宅資金貸付債権に関する特則』があります。これを一般的には『住宅資金特別条項』と呼びます。
この特別条項は、住宅ローンなどの住宅資金貸付債権について、自宅やマイホームを手放さないようにしたうえで、他の借金を減らしたり分割払いにしたりすることができるものです。

他の方法として任意整理がありますが、個人再生は任意整理よりも利息だけでなく元金の減額も可能で、最低支払額は100万円、最高で元本の10分の1まで減らすことができます。
これにより、大幅に債務を減らし、返済を楽にすることができると言えるでしょう。

ただし、個人再生にもデメリットがあります。
まず、手続きが複雑で、任意整理よりも面倒なことが多いです。提出書類も多く、書く内容も細かくなります。
また、個人再生をすると信用情報に影響を与えることもあります。

最長で5年間、信用情報機関に登録されるため、将来の借入や信用取引に影響を及ぼし、借り入れが難しくなる場合があります。

さらに、個人再生では一部の財産や資産を売却して債務を返済することが求められる場合もあります。それにより、自宅以外の車や貴重品を手放さなければならないこともあります。

債務整理後に住宅ローンを組むのが難しい理由

お金を借りている方々の中には、借金を完済した後に家を持ちたいという願いを持っている方がたくさんいます。現在、賃貸の物件がたくさんある一方で、家を持つことは依然として人気があり、素敵なことだと考える方が多いのです。

借金を完済するために、債務整理を考える方もいらっしゃいますが、将来的に住宅ローンを組むことが難しくなるのではないかと心配する方もいますね。
そのため、手続きをするのは難しいと感じている方もいるかもしれません。

結論を先に言いますと、債務整理をした後に、住宅ローンを組むのは普通は難しいけれど、必ずしも全ての場合が絶対に無理というわけではありません。
ただ、債務整理後に住宅ローンを考えるときには、いくつか重要な問題があります。

債務整理をすると信用情報に記載される

借金を整理すると、そのことが信用情報に記録されます。
信用情報とは、個人のお金に関する情報で、借り入れや返済の履歴などが含まれます。消費者金融や銀行、クレジットカード、住宅ローン、キャッシングなど、いろんな借金に関係しています。

弁護士や司法書士に債務整理の手続きを頼むと、借金している会社に債務整理が始まったことを伝える書類(受任通知)が送られ、代理人として手続きが進められます。
この通知が金融機関や債権回収業者に届くと、各会社は信用情報機関に債務整理の始まりを記録します。

そのため、個人の信用情報に債務整理の履歴が残り、信用情報機関に情報が記録されて、事故情報として残ってしまのです。
この信用情報は、クレジットカードやキャッシングローンを申し込む際に確認されますし、新しく借り入れをしたり、契約を更新する際にも必ず見られるものです。

住宅ローンを借りるには厳しい審査を通る必要がある

住宅ローンを使いたい場合は、まず金融機関に審査の申込みをします。審査は2回あって、最初は簡単な事前審査で、それが通らないと本審査が進められません。

本審査では詳細な資料を提出して審査されます。
審査では、年収や物件の価格に対する頭金の割合、購入する家の情報、健康状態に関する情報を提供するように求められます。
金融機関はこの時に信用情報もチェックしますので、信用情報に事故情報があると審査が通りにくくなるのです。

なぜこんなに厳しい審査があるかというと、住宅ローンはたくさんのお金を借りるもので、返済が長期間にわたります。なので安定した収入があって健康で長く働けることが大切なのです。

もちろん、過去に借金を返済した実績や借金がないことも重要な要素です。銀行は返済が難しいと思われるお金を貸すことはできないのです。

ペアローンや夫婦の共同借り入れも難しい

最近では、夫婦が一緒に働く家庭が増えているので、夫婦で住宅ローンを借りるケースが増えています。夫婦で住宅ローンを借りる方法には、いくつかの選択肢があります。

有名なのは、ペアローンや収入合算などです。
ペアローンでは、夫と妻が別々に住宅ローンを組みます。つまり、単独でローンを借りる場合は契約が1本でしたが、ペアローンでは2本の契約が必要です。

例えば、住宅ローンを4,000万円借りる場合、夫が3,000万円、妻が1,000万円を借りるとします。夫と妻はそれぞれが住宅ローンの契約者となり、お互いが相手の連帯保証人となる必要があります。
これは、住宅ローン契約者が返済できない場合に責任を追及するための措置です。

収入合算とは、夫婦や親子などの収入を合算して住宅ローンの審査に臨む方法を指します。

個人の収入だけでは必要な金額を借りることが難しい場合などに、収入合算による申込みが可能です。収入合算の要件は金融機関によって異なりますが、同居していることや、配偶者や親子などの関係にあることが求められることが一般的です。

しかしどちらの方法を選んだとしても、審査を通すのは難しいでしょう。
なぜなら、借りる人だけでなく、保証人の審査にも信用情報が利用されるからです。

債務整理をしなければ住宅ローンの審査が通るのか?

住宅ローンの審査を受ける前に、借金を整理せずに進む人もいますが、その場合でも審査が通るとは限りません。

信用情報には現在の借り入れ状況が記録されているため、すでに借金があることがわかるからです。なのですでに借金がある人にさらに莫大な住宅ローンを貸すのは難しいのです。

審査では、頭金の額や資金の使い方の計画性なども考慮されます。
借金があるのに頭金を支払える人はほとんどいないですし、計画的にお金を使っているとは思われないです。

信用情報を見ると、既にどのくらい借金があるかがバレてしまうため、借金があり、返済が困難な状況だと、住宅ローンの審査に通るのはほぼ不可能です。
なので住宅ローンを考える前には、借金を整理することが重要となります。

きちんと整理してから、審査に臨むようにしましょう。

債務整理後に住宅ローンを通すためのポイント

ここまでの話をまとめると、債務整理をした後は信用情報に影響が出て、住宅ローンを借りるのが難しくなる場合があるということです。

では、早期に信用情報を回復して、住宅ローンの審査を通す方法はあるのでしょうか。

保証人を頼る方法

住宅ローンの連帯保証人は、借りたお金を返せなくなった時に代わりにお金を返す人を指します。連帯保証人は、借りた人と同じようにお金を返す責任を負います。

つまり、住宅ローンを組んだ人が毎月の返済ができなくなった場合には、連帯保証人が全額のお金を代わりに返さなければなりません。

意外かもしれませんが、ほとんどの場合、住宅ローンでは連帯保証人を立てる必要はありません。住宅ローンを借りる際には、通常は土地や建物に抵当権を設定します。
そのため、住宅ローン契約者が返済できなくなった場合には、抵当権を利用して土地や建物を売却してお金を回収することができるのです。

ただし、債務整理を経験して信用情報が低くなっている場合は、審査が通りやすくするために連帯保証人を立てる必要があることもあります。

不動産担保ローンの利用

不動産担保ローンとは、土地や建物、マンションなどの不動産を担保にしてお金を借りることができるものです。

自分が持っている不動産だけでなく、家族や法人名義の不動産や、購入予定の不動産を担保にできることもあります。このローンは、信用力と担保不動産の価値を考慮して審査されます。
通常のローンよりも大きな金額を低い金利で借りることができる特徴があります。

そして、借りたお金の使い道は自由なので、さまざまな目的に使うことができます。
まとまったお金が必要な人
月々の返済額を少なくしたい人
複数のローンをまとめたい人
高齢のために普通のローンを借りにくい人

不動産担保ローンの良い点

金利が低い
不動産を担保にしているので、カードローンやビジネスローンよりも低い金利で借りられます。無担保のローンは約15%の借入金利ですが、不動産担保ローンは約4%と低いです。

借入限度額が大きい
通常のローンは1,000万円程度が借り入れ限度額ですが、不動産担保ローンは1億円以上を借りられることもあります。

長期間借り入れられる
返済期間を長く設定でき、最長で35年のローンを提供している金融機関もあります。長い期間で返済することで、月々の返済額を抑えることができますが、利息が大きくなる点には気をつける必要があります。

頭金の用意

住宅ローンを申し込むと、返済計画や収入、年齢などさまざまなことが考慮され、「借入可能額」が決まります。もちろん、債務整理をした場合は借入可能額が減る要因になるので、頭金がないと、審査が通りづらくなったり、住宅ローンの金利が高くなることもありえます。

ですから、ある程度の頭金を用意して、借入可能額を下げて審査を通しやすくしたり、少しでもいい条件を引き出すようにする必要があります。

加えて、借入額が少なければ、毎月の返済額も少なくなるので、返済が楽になります。
そして、頭金を増やすだけでも借入期間が短くなって、利息も少なくなることがあります。

もっと利息を減らしたい場合は、頭金を増やして、毎月の返済額もちょっと多めにすることで、さらに借り入れ期間を短くすることが考えられます。

ただし、頭金をたくさん出すことだけが大事なわけではないという点には注意が必要です。頭金の金額を決める際には注意したいポイントがあります。

一つ目は、追加の費用に備えておくことです。
建築中にオプションをつけたり家具を購入することもあるでしょう。それらの費用にも対応できるように、預金に残しておくことが大切です。

二つ目は、住宅以外の急な出費にも対応できるようにしておくこと。
病気やケガで収入が減ったり、急なお金が必要になることもあるでしょう。そんな時でも困らないように、頭金の金額を少し抑えておくことが大事です。
どの程度の金額を頭金にするか迷ったら、半年分の生活費を目安にしてみるといいですよ。予想外の出費にも対応できるように、半年間の生活費を手元に残しておくと安心です。

安定した仕事に就く

住宅ローンは、住宅を買うためにお金を借りることで、借りる金額が大きくなるため、それを返済するには安定した収入が必要で、長期間働けることが求められます。

ですから、債務整理をしている間には、生活を安定させ、収入を増やすような対応をすることで、住宅ローンの審査がスムーズになるよう心がける必要があります。

債務整理が必要なほど借金が増えている状況には、次のような事情が多いです。
「収入が少なくて、借金がないと生活ができない」
「無駄遣いが多く、収入に見合わない出費をしてしまっている」

ということがあります。

このような状況では、債務整理を終えても、再び借金をしてしまうリスクが高くなります。

さらに、収入と支出のバランスが悪すぎると、
「子供が生まれた」
「けがをして仕事ができなくなった」
「パートナーと離婚した」

といった大きな出費や収入減があった場合に、すぐに支払いが困難になる可能性もあります。

ですので債務整理の期間中には、借金の返済が少なくなるため、その間に少しずつでも貯蓄をして、収入だけで生活できるようにすることが重要です。

信用情報を回復する

信用情報は時間が経過しないと消えませんが、ブラックリストから抜け出すためには、次の行動が役立ちます。

①借金を早く完済すること

借金の完済日や契約完了日を基準にして、事故情報が消えることが多いので、早めに借金を返済しましょう。早く返済すれば、事故情報が早く消える可能性が高くなります。

②任意整理をすること

借金が多くて返済が難しい場合は、任意整理を検討しましょう。任意整理を行うと利息が減り、早期の完済が可能になります。

③返済の実績を積み上げること

他の金融機関から信用を回復するために、ローンやクレジットカードの返済をコツコツと積み上げましょう。信用情報に返済の実績が積み上がると、将来のローン申請が有利になります。

④誤った情報を修正すること

時折、信用情報に間違った情報が登録されることがあります。クレジットカードの不正利用や金融機関のミスが原因です。

もし誤った情報があれば、信用情報機関に連絡して修正や削除を依頼しましょう。これらの行動を取ることで、早く信用情報を回復する可能性があります。

債務整理をしていない金融機関を利用する

信用情報が一定期間で消えることを話しましたが、実は他にも金融機関内の顧客情報に基づいて、審査に落とされたり、お金を借りられないことがあります。

これを「社内ブラック」と言います。

「社内ブラック」とは、以前に遅れて返済したり、債務整理をしたり、貸倒れになったりした会社に再びお金を借りようとした場合、借り入れができなくなる状態を指します。

信用情報の事故情報は一定期間経過すると消えますが、社内の顧客情報は永久に保持されます。そして、信用情報機関のように情報を確認することができないため、いつ情報が消えるのかはその会社だけが知っています。

そのため、信用情報が良くなった後に新たにお金を借りようと考える場合は、例えば、「A銀行カードローンを債務整理した場合は、住宅ローンはB銀行で借りる」といったように、別の会社に申し込むことをおすすめします。

債務整理後の住宅ローン審査で重要視される4つのポイント

住宅ローンを完済する時の年齢

住宅ローンは長期間で返済するため、返済予定の年齢が大切です。金融機関は貸したお金が返ってこないと損をする可能性があるため、完済する頃に年をとりすぎると、病気や亡くなるリスクが高くなると考えられ、審査が厳しくなることがあります。

以前は、ローンを完済する年齢が70歳前後であることが多かったですが、現在は80歳前後に引き上げられたところが多いです。それでも、完済時の年齢が高いほど審査に不利になることがあります。

また、借り入れをする時の年齢も重要な要素です。例えば、20代の前半や半ばである場合、将来的に正社員として働く可能性が高まります。このような見通しがあると、金融機関も将来の収入増加を期待し、審査を通しやすくなります。

一方、30代や40代以上でアルバイトばかりの場合は、返済の滞りが発生するリスクが高くなるため、審査は厳しくなることがあります。

雇用形態や勤続年数、業種

お金を借りる人の年収は、お金を返す力を評価する上でとても重要な要素です。ただし、収入が高いから必ず借りられるというわけではありません。審査では、安定した収入があって、お金を返す余裕があるかが特に注目されます。

そして、将来も安定した収入が得られるかどうかも見られます。働いている会社の規模や仕事の種類など、さまざまな要素が審査の対象となります。

雇用形態も重要で、一般的には正社員や公務員が最も高く評価され、次に契約社員、最後がパートやアルバイトとされています。正社員や公務員は、仕事を辞める人が少なく、収入の変動も少ない傾向があります。また、保険に加入しているため、リスクが少ないとみなされるのです。

一方、フリーランスなどの雇用形態は、審査が厳しいことが多いです。収入が高くても、フリーランスの場合、安定性が不確かなため、注意が必要です。

さらに、住宅ローンの審査では通りにくい業種が存在すると言われています。

例えば、飲食店や接客の仕事がその例です。収入が大きく変動する業種も審査が難しいとされています。ただし、業種だけが理由で借りられないわけではありません。

信用情報やお金の管理などに問題がなければ、そこまで心配する必要はありません。

ローンの返済状況、申込者の取引状況等の信用情報

他のローンやカード、スマホ代などの返済状況は、信用情報に記録されています。
もし返済が遅れると、信用情報に悪い情報が残り、審査が厳しくなることがあります。

しかし情報は一定期間で消えることもあります。信用情報を確認して、悪い情報がなくなるのを待つことも選択肢の1つです。

そして、申し込む人と金融機関の取引状況も大切です。申し込む人の勤務先が金融機関と取引をしているか、トラブルを抱えていないかも影響することがあります。また、申し込む人自身が金融機関と良い取引をしているかも重要です。長く取引をしていると審査で優遇されることもあるのです。

これらの要素は、お金を返す力や信用度を評価する上で重要です。住宅ローンを考えているなら、信用情報を確認して問題があれば改善することが大切です。

また、金融機関と良い取引をすることや信用情報を良くするために努力することも、審査で有利に働く可能性があります。