「債務整理をしても携帯やスマホは使えるの?」
このような疑問をお持ちの方が多くいらっしゃるかと思います。
結論から申し上げますと債務整理をしても、滞納がなければ携帯やスマホは使えます。
まずは債務整理とスマホや携帯電話の関係を把握しておくことが重要になりますので、この記事で詳しく解説していきます。
目次
債務整理をしても携帯やスマホは使えるのか?

任意整理をすると、携帯電話やスマホの契約がどうなるのでしょうか。
携帯電話やスマホの契約は、料金の滞納の有無・何を任意整理するかによって契約を結べるか、結べないかが決まっていきます。
債務整理を検討しているが、携帯電話やスマホが使えなくなるのは困るとお悩みの方は参考にしてください。
滞納がなければ利用できる
【任意整理の場合】
◆携帯電話やスマホの端末機器本体の代金の支払いは完了している状態(分割払いでも、一括払いでも同じ)で、利用料金の延滞がない場合は利用を続ける事は可能。
◆任意整理の対象から電話会社を外す。
【自己破産・個人再生の場合】
原則は任意整理と同様の条件で利用を続ける事は可能。
【自己破産・個人再生の場合の注意点】
携帯電話やスマホの端末機器本体を分割で購入している方が多いと思いますが、その場合は割賦代金の支払い債務を負っている状態です。
自己破産や個人再生をする際は、全ての債務を破産債権として扱わないといけないルールがあります。
その為、携帯電話やスマホの割賦債務も破産債権として扱う事になります。
しかし、各通信会社を債権者として扱うと、携帯電話やスマホの契約を解除されてしまう事になります。
生活や仕事に不可欠な携帯電話やスマホがなくなると大変です。
そこで、実務の上では携帯電話やスマホの割賦代金の分割払いをしている場合でも、債権者として扱わないケースが許容されています。
かと言って、無制限という訳にはいきません。
毎月の料金が高い場合や有料アプリの利用があまりに多い場合には、裁判所から突っ込まれる可能性が高く、各通信会社から異議が出る場合もありますので、出来る限り利用料金を安くする必要はあります。
また、毎月の支払方法をクレジット払いから、口座振替やコンビニ払いに変更しておく必要があります。
これは、クレジット会社も債権者として扱わないといけないため、いつまでもクレジット払いにしていると債権額を確定できなくなるからです。
返済中だったり滞納があると解約もありえる
携帯電話やスマホの端末機器代金の分割代金を滞納していたり、通信料金を滞納している場合には強制解約となります。
また、携帯電話やスマホの滞納料金を債務整理して、滞納の通信料や端末機器代金の残債務が免除されたり減額された場合は強制解約となります。
少し言葉は悪いですが、通信会社が「債務整理によって、料金を踏み倒した方には契約を続けて貰いたくない」と判断したら、強制解約されてしまう事になります。
携帯電話やスマホ料金を滞納すると、以下のような事が起こるので注意が必要です。
◆強制解約になり、携帯電話やスマホが利用できなくなる。
◆滞納料金の一括請求がくる。
◆遅延損害金の請求がくる。
◆裁判を起こされて、財産の差し押さえになる。
機器本体の分割購入はできない
債務整理(任意整理・自己破産・個人再生)をした後は携帯電話やスマホの分割購入は一定の期間出来なくなります。
分割購入は個別信用購入あっせん契約という信用取引です。
ローンやクレジットと同じように将来の支払いを約束する事で、取引が成立しています。
分割購入をする時には、ローンやクレジットと同じように審査が行われ、任意整理をした場合は審査を通過する事が難しい状態になってしまいます。
一定の期間とはどれくらいなのか気になるところだと思いますが、こちらは一般的には任意整理や個人再生の場合は完済から約5年、自己破産の場合は破産開始の決定から5年~10年程と言われています。
後は、各社の判断となりますのでご注意下さい。
債務整理前から携帯本体代を分割払い中の場合
任意整理の場合
分割払い中の携帯電話(スマホ)に何も影響を及ぼすことなく、手続きをしていく事もできます。
何故かと言うと、任意整理というのは、司法書士や弁護士を通じて借金の整理をする対象の業者を自分自身で選択する手続きであり、電話会社(ドコモ、au、ソフトバンクなど)を含めないという選択肢も出来るのです。
任意整理に含まなければ、今までと同じように分割払いの継続する事が可能で、携帯電話(スマホ)の利用に影響を及ぼさず利用が続けられます。
自己破産・個人再生の場合
携帯電話(スマホ)の本体代金を分割払い中の方が、自己破産や個人再生を選択すると、強制解約となり利用継続ができなくなってしまう場合があります。
携帯電話(スマホ)の本体を分割払いで購入するということは、ショッピングローンを利用して購入するのと同じということです。
自己破産や個人再生の場合、現金の借入、ショッピングローン等、全ての債務を手続きに含める事になります。
その結果、電話会社から強制解約をされてしまうことがあります。
もっとも、電話会社が強制解約をするかどうかは、これまでの取引内容(今までに利用料の滞納があったか等)により判断しているようなので、絶対に強制解約となる訳ではありません。
また、手続きをする裁判所の運用次第では、携帯の分割払いをしている債務を手続きに含まずに処理が可能な場合もあるので、ご相談下さい。
携帯やスマホの代金未納情報は各携帯電話会社で共有される

携帯電話会社などの通信会社のほとんどが、TCA(一般社団法人 電気通信事業者協会)という機関に加入しています。
ここでは各社の不払い情報が共有されているので、どこかの会社で料金を滞納したら他社にも知られる事になります。
携帯ブラック情報は各携帯電話会社で共有される
ここ数年、スマホが高機能となって端末代金が高くなっている現状から、携帯電話料金を滞納する『携帯ブラック』になる人が増えています。
携帯電話料金としてひとくくりに考えると区別しにくくなりますが、通話やデータ通信などの利用料金と、端末本体の分割代金では、情報を管轄する機関が異なります。
利用料の情報はTCA(一般社団法人 電気通信事業者協会)で管理されており、加盟している電話事業者の間で情報が共有されています。
一方、端末代金の分割購入の情報は信用情報機関の管轄となり、金融事業を行う業者間で情報共有されます。
借金を滞納したり債務整理をすると、信用情報機関(CIC等)に事故情報が登録され、俗にブラックリストと呼ばれる状態となりますが、TCAでは携帯電話会社独自のブラックリスト(いわゆる携帯ブラック)として顧客情報が共有されています。
携帯料金の滞納を続けると、電話の利用を止められ、いずれ強制解約されます。
たとえ利用料金のみの滞納だとしても、携帯ブラックになると『携帯料金を滞納する顧客』と判断され、他社で新たに端末を分割購入しようとしても審査が通らなくなる可能性があります。
携帯料金の滞納情報は契約解除から5年間経過しないと削除されない為、削除されるまでは他社との新規契約ができなくなります。
ただし、滞納分の支払いをした時点でTCAから情報は削除されますので、新規で契約をすることは可能です。
債務整理後も携帯やスマホを使い続けるための注意点
債務整理をした後も、携帯電話やスマホを使い続けるにはどんな事に注意しておけばいいのか心配だと思います。
ここでは、注意点を解説します。
未納額は必ず支払うことが必要
端末機器と利用料金の料金は管轄する機関が異なっています。
端末機器の支払情報は信用情報機関で管轄しており、債務整理をすると事故情報として記録が残り、滞納情報も登録されてしまうのです。
そのため、債務整理をすると携帯電話を使い続けられないという可能性があります。
利用料金の情報は、電気通信事業者の業界団体、TCA(電気通信事業者協会)で管轄しており、滞納に関する情報も会員の中で共有しています。
利用料金の滞納が原因で解約すると、その情報も共有されてしまうので、新規契約・乗り換え共にできません。
個人再生や自己破産は全ての債務が対象になるので、滞納があった場合強制的に解約されてしまう可能性が非常に高くなります。
債務整理の対象から機器本体は外す
出来る限り、債務整理の対象から機器本体は外すようにしましょう。
もし対象になっていると、契約が解除される可能性が非常に高いためです。
個人再生や自己破産は債務整理の対象から機器本体を外すことができない為、契約解除される可能性が高くなります。
しかし生活にどうしても必要な場合没収されず、必需品として裁判所に認められる可能性はあります。
利用料金や端末代金の滞納をしていなければ、自己破産後であっても使える可能性があるので、くれぐれも滞納はしないように注意しましょう!
機器本体や利用料金を債務整理することは可能なのですが、リスクが大きくあまりお勧めできません。
携帯電話やスマホの利用料金の債務整理をした場合、継続利用ができなくなる可能性が高くなりますし、他社に乗り換えることもできなくなります。
今の時代、携帯やスマホはライフラインの1つと言ってもいいでしょう。
利用ができなくなると各連絡先との通信や災害時の情報収集、仕事の連絡など様々な面で不便が生じます。
転職活動等にも携帯やスマホは必需品です。
そのため、機器本体や料金の債務整理をすることは、今後の生活への影響が大きいと思います。
また、利用料金や機器本体料金ともに、債務を分割払いに変えたとしても、分割できる期間が短くなってしまうので、債務整理をして月々の返済額を減らす効果もあまり期待できないのです。
支払方法を変更しておく
債務整理によってカードの利用ができませんので、クレジットカードで携帯やスマホの利用料金を支払っているのであれば、料金の支払い方法を変更する必要があります。
利用料金を支払っているカードも債務整理に含めている場合は、いつまでもカード払いのままにしていると、債権額が決まらず手続きが進まなくなってしまいます。
債務整理の前に支払い方法をコンビニで支払えるように変更・デビッドカード払いに変更・銀行口座から引き落としにしておくなどの手続きをしておきましょう。
銀行口座からの引き落としは注意が必要です。
残高が不足していると延滞してしまう可能性もありますので、残高不足にならないようにしておきましょう。
本体のサイクル年数(約2年間での買い換えが一般的です)をふまえて、一括購入できるように少しずつお金を貯めておくのも一つの方法です。
一括購入すれば、与信に関係なくスマホを利用できるので、信用情報への登録状態を心配する必要がありません。
また、携帯電話やスマホのプランはこまめに見直し、解約できるアプリがないか、無駄なオプションをつけていないか等を確認して、なるべく月々の利用料金を抑えるように心がけておきましょう。
月々の出費が積み重なっていくと、年間でとても大きな負担になっていることがあります。
利用料金を抑えられれば、他の債務の返済をスムーズに進めることも可能になります。