債務整理

債務整理は7年以内に終わる?長くなってしまう理由と短期間で終わらせる方法

債務整理は、借金問題を解決し、新たなスタートを切るための一つの方法です。

その手続きにはさまざまな方法や期間があります。

中でも、「債務整理が長期化するのは嫌だ」というニーズをお持ちの方や、「債務整理をなるべく短期間で終わらせる」という方法について関心を持っている方も多いことでしょう。

この記事でわかること💡

✓ 債務整理にかかる一般的な期間

✓ 期間が長くなる原因

✓ 短期で債務整理を終わらせる方法

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債務整理にかかる一般的な期間

任意整理の場合

任意整理は、債権者やクレジットカード会社との交渉を経て、利息を減額したり、毎月の返済額を抑える手続です。

ほとんどの場合、任意整理により利息を0%から数%に軽減でき、月々の支払額が削減されます。

任意整理にかかる一般的な期間は、手続きに必要な期間が、概ね半年から10か月程度です。

また、任意整理の場合、返済を容易にするための手続であることから、実際の返済期間が生じます。

この返済期間は債権者との合意によって決まりますが、通常は3〜5年程度が一般的です。

そして、毎月の返済額は、元金÷期間で決まります。

ただし、借入額や取引履歴によっては、期間を延長したり、短縮したりする場合もあります。

借入額が200万円の場合

借入額が200万円あり、これを任意整理した場合、返済原資は以下のようになります。

返済期間返済原資
3年(36回払い)56,000円
4年(48回払い)42,000円
5年(60回払い)34,000円
6年(72回払い)28,000円
7年(84回払い)24,000円

借入額が400万円の場合

では借入額が400万円だった場合はどうでしょうか。

これを任意整理した場合、返済原資は以下のようになります。

返済期間返済原資
3年(36回払い)112,000円
4年(48回払い)84,000円
5年(60回払い)67,000円
6年(72回払い)56,000円
7年(84回払い)48,000円

3~5年で返済をしようとすると最低でも67,000円、最高で112,000円が毎月必要になります。

全国のサラリーマンの平均手取り月収が23万円程度と言われています。(厚生労働省|令和3年賃金構造基本統計調査より)

収入の4分の1~半分近くを返済に充て続けないといけないのは、現実的ではないでしょう。

個人再生の場合

個人再生は、裁判所が再生計画を承認した場合、借金が大幅に減額される手続きです。

例えば600万円の借金がある場合、個人再生を選択すると借金は5分の1に減少します。

600万円の借金が120万円になり、約3年間で支払います。

このため、月々の支払額は約3万円に減少します。

個人再生は債務を大幅に減額できますが返済が前提とされています。

通常、個人再生の手続きにかかる期間は、申し立てから認可までに約1年かかり、再生計画が承認されるまでにさらに半年から1年ほどかかります。

そして、返済期間として通常3年が設定されます。

そのため、全体では5年程度で個人再生が完了することが一般的と言えます。

自己破産の場合

自己破産は、裁判所が借金の返済不可能と判断した場合、借金の返済義務が法的に免除される手続きです。

この手続きも個人再生と同様に、裁判所を介して行われます。

自己破産手続きにかかる時間は、申し立てから手続きの終了までに約半年~1年半かかります。

住宅を所有していたり、財産の整理が必要な場合には「管財事件」と呼ばれるケースが生じ、この場合、裁判所が指名した弁護士が財産の処分手続きを行います。

管財事件が発生すると、通常1年から1年半ほどかかることがあります。

一方、「同時廃止事件」(略して同廃事件)と呼ばれるケースでは、財産を所有していないため、管財事件に至らず、自己破産の開始決定と同時に免責が認められます。

そのため、手続きは通常半年ほどで終了します。

債務整理が7年かかる原因は?

これまでの説明は債務整理にかかる一般的な期間に関するものでした。

次に、債務整理の期間が長くなってしまう原因の説明に移ります。

債務整理の期間が長引く原因のひとつに、「債務額が大きい」ことが挙げられます。

また、手続きがうまく進まない場合にも、手続きが長期化することがあり得ます。

債務額が大きい

まず、債務額が大きい場合、債務整理が長期化する原因となります。

これは、任意整理の場合で長期の返済プランを組まないといけない場合に起こり得ます。

例えば、債務額が300万円あるのにもかかわらず、返済原資が35,000円程度しか用意できない場合は、7年84回での分割払いでの合意必須となります。

他にも、自己破産の手続きで管財事件となった場合でも、債務が高額でかつ財産がある場合、長期化の原因となり得るでしょう。

具体的には、住宅の競売手続きに時間がかかる場合などが考えられます。

手続きがうまく進んでいない

第二に、手続きがうまく進まない場合が考えられます。

これは、債務者側の問題と、債権者側の問題に分けて考えられます。

債務者側の問題としては、

・弁護士や司法書士に費用が払えておらず、和解が出来ない
・弁護士や司法書士に求められている、自己破産や個人再生に必要な書類の準備をしない
・適切な手続きを選んでいない

等が考えられます。

これらは、債務者側が行動を起こせば解決することも多いのですが、現実的な問題として、債務整理に後ろ向きなままで手続きを進めていることが原因と言えます。

一方、債権者側の問題としては

・任意整理の和解交渉中に、条件を釣り上げようとして合意に至らない
・債権者内部の手続きに時間を要する
・個人再生で再生計画に賛成しない
・自己破産手続きで否認権を行使した

などの事情が考えられます。

いずれも、債権者側の権利行使のため、止めることはできませんが、これらも長期に渡って債務整理が完結しない理由となります。

債務整理を短期間で終わらせる方法

依頼費用の支払いを怠らない

債務整理を弁護士や司法書士に債務整理を委任した場合、手続きに伴う費用がかかります。

この点は当然のことです。

通常、事件に着手する際には着手金が支払われ、事件処理中にかかる事務手数料や、事件が完了した際には完了報酬が支払われます。

これらの専門家への報酬や初期費用は基本前払いとなります。

分割払いの場合は半年から1年程度が一般的です。

したがって、費用の支払期間が長引くと、手続きには当然ながら不利な影響が及びます。

費用を滞ることなく計画通りに支払うことで、返済能力を証明することが手続きの成功において非常に重要です。

返済原資を増やす

次に、任意整理の返済資金を増やす方法を検討できます。

任意整理の返済期間は「返済資金の有無」と「債権者の意向」によって決まります。

そして、返済期間を短縮する方向で進む場合、債権者が拒否することは少ない傾向にあります。

そのため、返済資金を増やすことで和解交渉を円滑に進め返済期間を短縮することが可能です。

ただし、返済期間を短縮する場合、債権者との合意に基づく和解契約を変更することが難しいというデメリットがあります。

つまり、一度「毎月10万円を返済する」と合意した場合、後で「実は厳しいから8万円に減額してほしい」という要望を債権者に通すのは難しい可能性があるということです。

一方で、「毎月5万円、7年84回払いで支払う」と合意し、毎月それ以上の金額で返済しても問題ありません。

したがって、できるだけ長期間で和解を行い、返済額を増額するアプローチが実現可能な解決策と言えます。

手続きを変更する

現在進めている手続き自体が、適切な解決策ではない可能性がある場合があります。

例えば、一般的に借金の総額が年収を超えている場合、自己破産を検討することが推奨されています。

しかし、こうした状況であっても自己破産を回避し、任意整理に執着してしまうようなケースが考えられます。

当然、自宅を手放したくない、保証人に迷惑をかけたくない、元本を返済したいといった個々の理由が存在するかもしれません。

これらの気持ちは尊重すべきですが、最も重要なのは実現可能な方法での借金問題の解決です。

現実的に不可能な返済計画を立てた場合、破綻は避けられません。

そしてこのようなアプローチは、負担を増加させるだけでなく、債務整理の長期化を招く可能性が高いのです。

まとめ

債務整理には任意整理、自己破産、個人再生が存在し、それぞれ期間がかかります。

まず、任意整理では返済期間は債権者との交渉に依存し、交渉成立まで約半年から1年程度、返済に通常は3〜5年程度の期間がかかります。

個人再生の場合、手続きに約1年かかり、その後通常3年間の返済期間が設定されます。

自己破産の手続きは、およそ1年から3年程度と幅のある期間となることが多いです。

なぜ債務整理が長期化するか

主に以下の2つの原因があります。

債務額が大きい場合、返済に時間がかかることが一般的です。

手続きがスムーズに進まない場合、手続きの遅延が期間の延長につながります。

債務整理を短期間で終わらせる方法

まず、依頼費用の支払いを怠らないことが大切です。

また、返済原資を増やすことも効果的です。

さらに必要に応じて、手続きを変更して迅速に解決を図ることも考えられます。

最終的に、債務整理の成功には現実的な視点が重要です。

自己破産などの選択を避けず、早期に問題解決を進めることが借金問題からのスムーズな脱却につながります。

  • 記事監修者
  • 弁護士 近藤 裕之
  • 翔躍法律事務所 所属
  • 第一東京弁護士会 所属
  • ※法律問題に関するテキスト監修に限る