債務整理

債務整理をするとどうなりますか?よくある疑問にお答えします

「債務整理をするとどうなりますか?」という疑問は、多くの方が抱いているものでしょう。

債務整理は借金の返済に困難を抱える方々が取る手段の一つであり、その方法や結果についての知識を得ることはとても大切です。

この記事では、債務整理に関するよくある疑問に答え、債務整理をするとどうなるのかについて解説していきます。

司法書士法人赤瀬事務所 借金減額診断スタート

目次

①信用情報に関する疑問

債務整理をするとブラックになる?

答:信用情報に事故情報が記録されることになります。

信用情報とは、主に審査や更新の際に判断材料として用いられる個人情報のことです。

例えば、返済や申込みなどの取引履歴や、年収や年齢などの情報が記録されています。

債務整理を行った場合、ここに、債務整理をしたという履歴(事故情報)が残ることとなります。

そして、この事故情報は、審査や更新に悪影響を及ぼすことになります。

新規の借り入れや契約はできる?

答:全くできないわけではありませんが、基本的には難しいでしょう。

信用情報に事故情報があると、審査や更新に悪影響が出るので、基本的には新規の借り入れや契約はできなくなります。

特に、大手消費者金融やクレジットカード会社では、信用情報を重視していることから、事故情報があるだけで審査に通らないということもあるようです。

審査基準は各会社で決めるものですので、事故情報があっても審査を通す貸金業者も存在するかもしれませんが、基本的にはできないと考えておく方が良いでしょう。

保証人にはなれる?

答:銀行や信販会社からの借り入れの保証人は難しい

相手方が貸金業者である場合、(例:銀行や審判会社等)は、保証契約をする際に保証人を審査することになります。

ですからの借り入れの保証人になるのは難しいでしょう。

一方、個人間のやり取り(例:AさんからBさんがお金を借り、CさんがBさんの債務を保証する場合)などは、厳格に審査を行うことはあまりありませんので、信用情報をチェックしていない可能性が高く、可能な場合があります。

ただし、個人間のやりとりは、信用情報以外のリスクがあることから、おすすめできませんが。

一回ブラックになったら一生ブラックのままなの?

答:債務整理が終わってしばらくしたら信用情報は回復する

債務整理をすると事故情報が記録されますが、この記録は、債務整理により借金を完済した後、5~10年残り続けます。

一生消えないでブラックのままと言うわけではありませんが、債務整理の期間は3~5年を程度かかる場合もあることを考慮すると8~10年程度、借り入れが出来ない期間が出来るということは覚悟しなければならないということになります、

家族や会社に信用情報は見られる?

答:特別の根拠がない限りは、家族や会社に見られることはない

しばしば、家族や会社に信用情報が見られたらどうしようと怖がる方がおられますが、そのようになるというのはかなり例外的です。

信用情報機関CICの規約を見てみましょう。

第3項(第三者提供) 当社は、下記のいずれかの場合を除いて、個人情報を第三者へ提供することはありません。   ・本人が同意している場合 ・法令に基づく場合 ・人の生命、身体または財産の保護の為に必要である場合であって、本人の同意を得ることが困難なとき ・国の機関もしくは地方公共団体またはその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることによって当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき ・収集・利用目的の達成に必要な範囲で、個人情報の取扱いを委託する場合

つまり、人に見られるのは自分で『見てください』と同意をしている場合(貸金業者での借り入れの審査の場合など)や、法律上、見ることを許されているケースなどに限られます。

ですので、通常は、家族に信用情報を見られてしまうというケースはないと言えるでしょう。

会社に関しても、一般的な会社で入社前や入社後に信用情報を確認される可能性は極めて低いと言えます。

なお、銀行や警察職など、少し特殊な仕事の場合は、お金に関して不正やトラブルがないかを信用情報を用いて調べているかもしれませんが、実態は分かりません。

②住宅に関する疑問

住宅ローンの残った自宅はどうなりますか?

答:債務整理をローンの残った住宅は競売となる

住宅ローンに限らず、車のローンなどの場合、通常は「支払いが出来なかった場合には、目的物を引き上げる」「住宅を売却する」などの特約が付いていることが多いです。

そのため、債務が残っているローンを債務整理の対象とすると、引き揚げや競売になる可能性があります。

ただし、これは契約内容によります。

住宅を手放さないで出来る債務整理はないの?

答:住宅の競売を回避する方法はある

では、住宅を競売せずに、債務整理を行う方法はあるのでしょうか?

そもそも、債務整理に際して、住宅が競売にかけられるのは、「債務整理の対象となった場合」に限ります。

したがって、

・債務整理の対象を選べる任意整理を行う

・住宅ローンを対象外と出来る個人再生を行う

等の方法によって、住宅を保持したまま、手続きを進めることが可能です。

反対に、自己破産を選ぶ場合は、住宅を保持できるケースはほとんどありません。

例外的に「家に価値が全くない」などの理由で、買い手がつかないのであれば、手元に残せるというケースはありますが、それはあくまで競売の結果次第と言うことになります。

居住している賃貸物件に影響はありますか?

答:家賃の滞納などがない限りは、影響はありません。

原則的には、債務整理をしても、賃貸契約が解除されるというようなことはありません。

ただし、例外的に、現在お住まいの物件の家賃を滞納しており、家賃も債務整理の対象となる場合には、退去して欲しいと家主に言われることは十分あり得ます。

なお、この場合は、滞納家賃を優先的に支払うことで滞納を解消して居住し続けるという方法がありますが、自己破産や個人再生においては、特定の債権者に優先的に支払いを行うことは問題になる場合があります。

そのため、弁護士や司法書士によく相談してから対応されることが望ましいと言えます。

賃貸物件を借りたり引っ越しすることはできる?

答:基本的には問題ないが、クレジットカード決済必須の物件は難しい

債務整理をすることで、賃貸物件を借りられなくなるということはありません。

そのため、基本的には問題がないと言えます。

ただし、クレジットカード決済が必須の物件と言うのもありますので、そのような物件は難しいでしょう。

この点、相談を聞いてくれる家主や管理会社もいるでしょうから、債務整理中であることを正直に話して、相談してみるのも手です。

③家族に関する疑問

家族に債務整理をしているのはバレる?

答:任意整理であれば秘密にできるが、自己破産や個人再生ではできない場合あり

債務整理が家族にバレるケースというのは

①家族から借金をしている

②家族に保証人になってもらっている

③同居家族の家計収支を裁判所に報告しなければならない

の3つのいずれかの場合であることが多いです。

これらは、任意整理であれば、回避可能ですが、自己破産や個人再生では回避できない可能性があります。

家族の生活に影響はある?

答:基本的にはないが、自己破産や個人再生の場合は影響があるかも

債務整理をした場合、影響が出るのは借金をしている自分だけで、基本的には家族には影響はありません。

ただし、さきほどにも述べた通り

①家族から借金をしている

②家族に保証人になってもらっている

③同居家族の家計収支を裁判所に報告しなければならない

この3つのいずれかに該当している場合は、影響が出ることがあり得ます。

自身や家族の結婚などに債務整理は影響する?

答:法律上は影響はない

しばしば、結婚に影響するのではないかと考える方もおられますが、下でも述べるとおり、戸籍や住民票に破産履歴などが残ることもありませんので、法律上の問題は生じません。

ただ、「借金のある女性とは結婚できない」と、交際相手に言われたり、「借金のある男にうちの娘をやれるか」と、親族から結婚に反対の意見が出るなど、事実上、結婚に影響が出る可能性は否定はできませんし、それは誰にも止められません。

ちなみにですが、借金があることを隠して結婚したが、それがバレたら離婚の原因になるかについては、裁判所の判断が分かれています。

離婚が認められるためには、夫婦関係が破綻しており、修復の見込みがないと評価される事情(「婚姻を継続し難い重大な事由」民法第770条第1項第5号)に当たる必要がありますが、単に借金を理由に離婚が成立したというケースはあまりありません。

戸籍や住民票に債務整理の影響はある?

答:全くありません

これについては、全くないと言っていいでしょう。

現在の法律では、戸籍や住民票に、破産歴や債務歴が載ることはありません。

なお、破産者名簿という市町村の管理する名簿がありますが、これには名前が載ります。

ただし、これは自己破産の「手続き中」には名前や住所が載りますが、手続き後は抹消されます。

ちなみに、破産者名簿は市町村が作成する「身分証明書」という書類を発行する際に用いられると言われています。

これを、運転免許証や住民票など、一般に「身分証明書」と呼ばれるものと混同される方がたまにおられますが、これらとは別ものですので、運転免許証や住民票、戸籍に影響はありません。

家族が自分のカードで借金をしていたのですが、これは自分が払わないといけないのですか?

答;法律的には払わなくていいのだが、その証明は難しい

家族が勝手に自分のカードを使って借金をしていた場合、「勝手に使われたのなら、法律的には支払い義務はありません」というのが原則です。

ただし、これを証明するのは、現実的には大変に難しいです。

例えば、家族を信用してカードを貸したり、暗証番号を教えた場合では、「使っていいよ」という許諾があったとみなされたり、利用されたことに大きな過失があると評価されてしまいます。

そのため、法律的には支払い義務はないが、その証明は大変難しいということになります。

④仕事に関する疑問

職場に債務整理をしていることはバレる?

答:職場から借金をしていなければバレる可能性は低い

債務整理が職場にバレるのは、

①職場から借金をしており、この借金を債務整理する

②給与差し押さえをされる

③職場に退職金証明書を出してもらう必要がある(自己破産、個人再生時)

④普段から信用情報や官報を確認している特殊な仕事に従事している

などが挙げられます。

このようなケースでなければ、バレる可能性は低いと言えます。

仕事には債務整理は影響しますか?

答:自己破産の職業制限をされる場合以外は全く影響なし
原則的には、債務整理は仕事に影響しません。

ただし、「①自己破産をする場合」で、かつ「②職業制限がある職業」に就いている場合は、自己破産の期間中は仕事に従事できない場合があります。

なお、職業制限は、各種法令で決まっていますが、資格の保有者や公安委員会に届け出が必要な職業、特殊な公務員などが制限の対象となります。

債務整理をしたらクビになりますか?

答:債務整理を理由にクビにはならない、解雇されたら不当解雇になる可能性が高い

債務整理を理由に、仕事を退職させられることはありません。

また、仮に解雇された場合は、不当解雇となる可能性が高いと言えます。

ただし、上記の「自己破産時の職業制限」に該当した人は解雇するという就業規則がある場合があり、その就業規則自体は有効です。

⑤その他の疑問

自己破産をするとどんな影響が出ますか?

答:①資格制限②居住地の制限などがある

債務整理をすると、信用情報に影響が出るというのはみなさんご存じですが、自己破産の場合は、このほかにもいくつか、他の手続にない制約がされるのが特徴的です。

第一に、資格制限です。これは、先にもすでに触れていますが、資格の保有者や公安委員会に届け出が必要な職業、公務員の一部などの資格が、各種法令により制限されることが決まっています。

第二に、居住地の制限です。

これは、自己破産の手続中は、引っ越しや出張、海外旅行などは、裁判所の許可を取らないと出来なくなるという制限です。

さらに、破産管財人に郵便物を確認されるという制約もあります。

自己破産をすると年金が受け取れなくなるってほんとですか?

答:年金は問題なく受け取れます

自己破産をしても、年金に影響が出ることはありません。

自己破産をすると選挙権はなくなりますか?

答:選挙権にも影響はありません

なお、選挙権には、投票をして議員を選ぶ投票権と、自ら議員に立候補をする立候補の権利の二つがありますが、いずれも制限はされません。

債務整理をしても保険には入れますか?

答:加入には問題がないが、積み立ての保険は自己破産の際に清算の必要があるかも

前提として、債務整理をしても保険に加入することに影響はありません。

ただし、積み立ての保険というのは返戻金があります。

そのため、一定程度の返戻金(一般的には20万円が基準となると言われている)が発生する場合は、自己破産の際には清算の対象となり得ます。

債務整理をしても携帯の契約をしたり本体の購入は出来ますか?

答:契約や購入は問題ないが、分割での購入は受け付けられない可能性がある

携帯の契約や購入には、債務整理は影響は出ません。

しかし、携帯の本体を分割で購入する際には、信用情報が確認されることから、こちらはできない場合があります。

すでに借金を滞納してますが債務整理できますか?

答;可能です

すでに、借金を滞納している方でも、債務整理は可能です。

実際、借金を滞納して訴えられてから相談される方も多数おられますが、無事に債務整理を終えています。

ただ、これは現実的な問題ですが、「滞納するのは、前々から薄々気づいていましたよね?」とは思います。

可能な限り早く行動した方が、債務整理に悪影響は出ずらいので、滞納前にご依頼いただくのが望ましいでしょう。

お金を借りてまだ1度も返済していませんが債務整理できますか?

答:不可能ではないが、条件は悪化しやすい

お金を借りてまだ一度も返済をしていない場合でも、債務整理をすることは可能です。

ただし、どの債務整理手続きをするにしても、条件は悪くなりますので、債務整理を考えるほど状況が悪いなら、借り入れなどせずにすぐに債務整理をしていただいた方が、あなたのためになります。

生活保護を受けていても債務整理は出来ますか?

答:可能です

生活保護を受けていても、債務整理をすることは可能です。

ただし、返済を伴う手続き(任意整理や個人再生)を行うと、生活保護費の中から借金を返済することとなりますので、保護の受給を打ち切られる可能性があります。

そのため、生活保護を受けている方は、基本的には自己破産を選んでいただくこととなります。

なお、生活保護を受けてる方の場合は、法テラスを利用できる条件を満たしていることが多いため、法テラスを利用することも検討してよいかもしれません。

債務整理をしたら銀行口座を作れなくなったりしませんか?

答:銀行口座を作れなくなることはありません

債務整理をしても、銀行口座を作れなくなることはありません。

<h4> 税金を滞納しているのですが債務整理はできますか?

答:税金は債務整理の対象となりません

税金は、債務整理の対象となりません。

そのため、自己破産をしようが必ず支払わなくてはいけません。

最後に~債務整理の疑問があるなら弁護士や司法書士に相談しよう~

ここまで、よくある債務整理に関する疑問についてお答えしてきました。

問題が解決されたのなら、幸いです。

ですが、中には、「こういう場合はどうなる」と疑問や不安がまだ解消されていない方もおられるかもしれません。

その場合、無料相談を行っている弁護士や司法書士にどんどんと相談をしてください。

「素人の私がこんなつまらない質問をしていいのか」と気後れする必要はありません。

良い質問を受けるということは、良い学びの機会を頂いたということです。

債務整理の疑問があるなら、どんどん弁護士や司法書士に相談してください

  • 記事監修者
  • 弁護士 近藤 裕之
  • 翔躍法律事務所 所属
  • 第一東京弁護士会 所属
  • ※法律問題に関するテキスト監修に限る