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債務整理

債務整理手続き中の支払いはどうなる?債務整理手続きの進め方

借金をしていて、その返済が難しくなった場合、

債務整理手続きをするという手段をとることができます。

それでは、債務整理手続きを始めた場合、

それまで行っていた借金相手への支払いはしなくてもよくなるのでしょうか。

今回は、債務整理手続きの進め方について解説します。

債務整理手続き中の人、債務整理手続きをしようか検討している人も、ぜひ参考にしてください。

債務整理手続きの始め方

まずは、債務整理手続きをどうやって始めていくのかについてお話しします。

弁護士・司法書士に依頼する

債務整理手続きの最初に行うのは、弁護士または司法書士に依頼をすることです。

意外と知られていませんが、債務整理は自力で行うことはできます。

ですが、どの手続きも相手会社との交渉や裁判所での手続きなど、

専門知識を必要とするものが多いです。

また、それぞれの手続きはひとまとめに債務整理手続きと呼ばれてはいますが、

メリット・デメリットが全く異なっています。

自分の状況に一番適している手続きを行うためにも、

専門家の力を借りることは大切です。

そのため、ほとんどの人は弁護士や司法書士に依頼することとなります。

手続きを始めると督促が止まる

債務整理手続きで依頼を受けた弁護士・司法書士が最初に行うことは、

手続きをする借金の相手会社に受任通知を送ることです。

これを行うことにより、すでに返済が滞って相手会社から

督促の連絡が来ているような場合では、督促が止まります。

また、手続きを行っている最中は、借金を返済をする必要がなくなります。

督促の連絡が怖い、ストレスに感じているという人にとっては、

これだけでも債務整理手続きをしたことのメリットを実感するかもしれません。

ただし、相手会社に債務整理手続きをするということを知られることになります。

そのため、受任通知送付後は

信用情報機関に「債務整理手続き中である」という情報が載ることになります。

信用情報機関とは、個人の金融機関との取引の情報が管理されているところです。

あらゆる金融機関は、貸し付けやローンの審査を行う際にここに登録されている情報を確認します。

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債務整理中だけれど、貸付をしても問題がない

と考える金融機関はありません。

そのため、手続き中は新しい借り入れやローンを組むことが非常に難しくなるというデメリットもあります。

しかし、手続き後完済して一定期間が経てば情報は削除され、また新たに借り入れなどを行うことができるようになります。

返済の義務は残っている

手続き中は督促も止まり、返済をする必要がないとは言っても、

返済の義務そのものがなくなったわけではありません。

任意整理や個人再生の場合は、手続きが終わった後も減額されているとはいえ残った借金は返済しなければなりません。

返済ができなくなるとせっかく行った手続きが無駄になってしまいます。

ですので、手続き中から、返済に向けてお金を準備しておくことは重要です。

任意整理手続きの進め方

次に、それぞれの手続きの進め方について、任意整理手続きから順に説明していきます。

手続きをする借金を選ぶ

任意整理手続きの特徴として、

手続きをする借金としない借金を選ぶことができる

というものが挙げられます。

借金の中には、担保があるもの、連帯保証人がいるものがあります。

そのような借金を債務整理手続きしてしまうと、

担保にしていた財産が引き上げられてしまったり、

連帯保証人に代わりに一括返済するようにという請求が来てしまったりします。

また、ローンを組んで購入したもので、まだ完済できていないものがある場合も、

引き上げられることになります。

任意整理の場合は、こういった手続きをすることによる影響の大きい借金を除くことができます。

そのため、任意整理では、受任通知を送る前にこれは手続きしても問題のない借金かどうか、確認するところから始まります。

貸金業者との交渉

手続きをする借金を選び、受任通知を送った後は、相手会社との交渉が始まります。

任意整理は任意という名の通り、相手会社の任意で手続きが進みます。

つまり、借金を減額してほしいという交渉に応じないという選択肢も存在します。

それでは、どうしてほとんどの貸金業者が交渉に応じてくれるのでしょうか?

それは、交渉に応じなければ、債務者が自己破産をすることが想定されるからです。

自己破産の手続きでは、借金の返済義務が免除されることになります。

そのため、貸している側としては借金が全く回収できないことになります。

そうなるよりは。多少減額して返済してもらった方がよいということで、多くの業者が交渉に応じてくれるというわけです。

完済までが手続き

相手会社との交渉の結果、債権者が許容でき、債務者が支払うことのできる返済条件がまとまれば、交渉は終了となります。

依頼している弁護士・司法書士が和解契約書を作成し、それが交渉成立の証になります。

しかし、それで手続きのすべてが終了したわけではありません。

取り決めた条件通りに返済を続け、完済するまでが手続きのうちです。

もしも途中で返済が滞ると、せっかく行った交渉が白紙に戻り、減額してもらった借金の残額も元に戻ります。

そうなってしまうと、相手は残金を一括返済で返せという権利が生じます。

ただ、一括返済が出来るのであれば、最初からやっているでしょう。

現実的には一括返済できない方が大多数です。

ですから、もう一度初めから交渉をやり直すことになります。

ただ、減額したのに約束した返済計画を守れなかった人として扱われてしまいます。

そのため、一度目より交渉が難航し、厳しい条件になることもあります。

個人再生手続きの進め方

次に、個人再生手続きの進め方です。

全ての借金が対象

個人再生手続きでは、任意整理手続きと違い、全ての借金が手続きの対象になります。

この借金はローンが残っているので手続きしない、といったようなことができません。

その代わり、全ての借金をまとめた総額に応じておよそ5分の1程度の減額が可能になるため、原則として利息分しか減額されない任意整理よりも減額の幅が大きくなることが予想されます。

任意整理の減額分ではまだ返済をすることが難しいという人は、個人再生を選ぶべきと言えます。

また、返済途中のローンがある場合、購入したものは引き上げられることになってしまいますが、住宅ローンだけは特約を使って残せる場合があります。

連帯保証人がいる借金がある場合は、連帯保証人のところに一括返済の請求が来ることになるため、事前に説明をしておくことが推奨されます。

裁判所・個人再生委員とのやり取り

個人再生は裁判所での手続きになります。

そのため、手続きは裁判所への書類提出と、裁判所によって選ばれる個人再生委員とのやり取りによって進んでいきます。

個人再生は、今ある借金をまとめ、総額に応じて減額したうえで残った額を3年程度の分割払いで返済するという再生計画案を作成し、それを裁判所に認めてもらうことを目標にした手続きです。

再生計画案は依頼した弁護士・司法書士が作ってくれますが、その材料となる各種資料は本人にしか用意できないものもあるため、本人の協力が不可欠です。

また、個人再生委員は再生計画案のアドバイスをしたり、手続き後の返済がきちんとできるかどうか練習したりする役割があります。

個人再生委員に対する態度も、手続きを進めるうえで影響していくので、誠実に対応しましょう。

完済までが手続き

再生計画案が裁判所に認められれば、裁判所での手続きは終了となります。

しかし、任意整理と同じく、その後は何もしなくてよいわけではありません。

再生計画案通りに返済し、完済するまでは手続きは終わりません。

もしも途中で返済が滞ってしまうと、手続きによって減らした分の借金も元に戻り、手続きをしたことが無駄になってしまいます。

もう一度手続きをすることも可能ではあります。

例えば、支払方法の変更を裁判所に申し立てたり、ハードシップ免責が利用できることもあります。

ただ、そもそも、一度目も多くの時間と手間をかけて手続きをしたはずです。

その労力を無駄にしないためにも、返済は計画通りに行うべきです。

自己破産手続きの進め方

最後に、自己破産手続きの進め方についてお話しします。

個人再生との共通点と違い

自己破産は、個人再生と同じく裁判所での手続きで、手続きする借金を選ぶことはできず、全ての借金が手続きの対象です。

そのため、借金の種類によっては自分の財産や知人、親族に影響が及ぶというところは個人再生と同じですが、個人再生にはない制約もあります。

一定額以上の財産は回収されてしまうこと、保険の営業など一部の職種では手続き中に仕事をすることができないことなどがこれにあたります。

しかし、自己破産の場合、手続きが無事に終了すれば、養育費や罰金のような特殊なものを除いて全ての借金の返済義務がなくなります。

制約が多い代わりに、メリットも一番大きいのが自己破産の特徴です。

任意整理や個人再生手続きで減額をしたとしても返済の見込みが立たないという人は、自己破産手続きを検討すべき状況にあります。

裁判所・破産管財人とのやり取り

自己破産は、申し立ての結果裁判所から借金の返済の義務の免除、免責を許可してもらうことを目指した手続きです。

免責の影響は非常に大きいものであるため、裁判所の審査も慎重に進んでいきます。

たいていは裁判所によって破産管財人が選ばれ、破産管財人は申し立てた人の財産状況の調査や管理、処分を行ったり、債権者集会での報告を行ったりします。

また、債務者本人との面談も行います。

借金を作った理由がギャンブルや浪費などであったり、破産を見越して財産を隠したり、破産管財人に対する態度が誠実でなかったりした場合、免責の許可が下りないこともあるため、注意が必要です。

破産管財人による手続きが終了し、裁判所から免責の許可が決定すれば、借金の返済義務がなくなります。

手続き後の生活

自己破産は、任意整理や個人再生と違い返済義務がなくなるため、手続き後にするべきことがありません。

手続き終了後一定期間が経過すれば信用情報機関に登録されていた債務整理手続きの情報も消え、新しく借り入れやローンを組むこともできるようになります。

しかし、だからと言って手続き前と同じ生活をしていると、いずれ再び経済的に苦しくなっていってしまいます。

一度自己破産手続きをすると、7年が経つまでは再度自己破産をすることができません

また、7年経った後であっても、二度目の自己破産は裁判所の目が厳しくなり、一度目よりハードルが上がることは確かです。

手続き後は、むやみに借金を繰り返してしまうことがないように生活していくことが大切です。