債務整理

借金80万円は債務整理すべき?自力返済が適している?

80万
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借金が80万円あるんだよね

と聞いたとき、みなさんはどのような印象を持つでしょうか?

信用情報機関であるCICとJICCに登録されている情報によれば、一人あたりの平均借入額は約60~65万円程度と言われています。

したがって、80万円の借金は「平均より少し多い」と言えるでしょう。

しかし、借金80万円は

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借金額が3桁に達していないし、まだ大丈夫

と危機感を感じにくい傾向があります。

また、月々の返済額が通常2~3万円程度になることが多く危機感を抱きずらいです。

その一方で、家計の状況が少しでも悪化すると、返済が難しくなったり多重債務に陥る可能性があることも考えられます。

この記事では、以下のことがらについて、詳しく解説していきます。

この記事でわかること
  • ✓ 借金80万円の完済が難しい場合もある
  • ✓ 債務整理が有効な解決方法である一方で、注意点もある
  • ✓ どの状況で債務整理手続きを検討すべきか
【必見】借金がいくらまでなら完済可能?債務整理が必要?金額別で紹介借金の返済に苦しんでいる方は多いですが、いくらくらいの借金があれば債務整理を検討した方がよいのでしょうか?借金の金額によって、おすすめの債務整理の方法も変わってきます。 本記事では、借金の金額別に自力返済が可能かどうか、債務整理が必要かどうか、それぞれの金額域でおすすめの債務整理方法をご紹介します...

80万円の負債はどの程度の金額で、なぜ完済が難しいのか?

80万円の負債は相当大きな金額

最初い確認ですが、借金80万円は、大きな金額でしょうか?

それとも、まだ返済できる程度の余裕のある程度の金額でしょうか?

この問題について、信用情報機関であるCICとJICCで公表された情報が役立ちます。

それによると、一人あたりの平均借入額は約60~65万円程度とされています。

従って、80万円の借金は「平均よりわずかに多い」と言えるでしょう。

一方で、厚生労働省の調査によれば、

2022年度に民間企業で支給されたボーナスの平均額は夏・冬ともに約39万円

年間で合計すると約78万円との結果があります。

つまり、80万円という借金はサラリーマンのボーナス1年分に相当する金額です。

こう考えると、決して小さな額とは言えないのではないでしょうか?

80万円あったら何ができる?

視点を変えて、もしも80万円があったなら何が出来るか、一例を挙げてみます。

  • ・大手旅行会社のハワイツアー(5日間) 約40万円
  • ・軽自動車(保険等込み) 約80万円
  • ・公立の小学校に通う小学生1人あたりにかかる教育費 年間 約35万円
  • ・純金(約80g)
  • ・プラチナ(約160g)

80万円とは、上記のような買い物やサービスを受けることが出来るほどのお金です。

これをみても、やはり決して安い金額とは言えないと言っていいでしょう。

負債が減少しない理由とは

とはいえ、借金80万円という金額は、絶対返せないほどの大金ではありません。

ですが、世の中ではかなり多くの方が、

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借金がなかなか減らない!

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もう何年も返してるけど、なかなか完済できない

というように、借金が完済できずに困っています。

では、80万円という借金がなぜ減っていかないのでしょうか。

それは、債権者が利益を最大化するための仕組みにあると言えます。

債権者は、貸したお金に対して一定の利率を設定し、これによって利息を得ています。

利息制限法による法律上の制約では、最大年利率は15~18%であり、

多くのクレジットカード会社や消費者金融がこの上限に近い利率を設定しています。

利息の額は、借金残高に応じて計算されます。

具体的には、

  • 借金残高 × (一日あたりの利息 × その月の日数)

という式で計算され、借金残高が高ければ高いほど多くの利息が発生します

このため、借金の元本を迅速に減らさない限り、支払う利息が発生し続けます。

その結果、借金が返済されにくくなるのです。

利息を最大化するための方法とは?

さらに、債権者は、借金残高を高いまま維持して、より多くの利息を得ることを目指してさまざまな仕組みを採用しています。

たとえば、多くの貸金業者は最低返済額を設定しています。

この最低返済額は、支払ってもほとんどが利息に当たります。

その結果、元金の返済がほとんど行われていません。

貸金業者は、ずっと借金を残し続けるように、最低返済額を設定しているのです。

最も代表的なのは、クレジットカードのリボ払いです。

これも、利息ばかり取って、元金を減らさないように、最低返済額を設定してるのです。

借金80万円の返済プラン

ここまでは、借金80万円は大きな金額か?や借金が減らない理由について解説しました。

では、ここからは、借金80万円を完済しようとすると、どのくらいの時間や利息がかかるかについて、解説していきます。

返済プラン① | 月々の支払額が10,000円の場合

80万円の借金を抱えている場合、利息制限法における最大金利は年利18%までと定められています。

この場合、80万円の借金に対する毎月の利息は最大で約12,000円となります。

つまり、月々の返済額が10,000円では、利息さえまかなえず、このままの状態で返済を続けても、借金はまったく減少しないことになります。

むしろ、毎月の支払いが不足しており、借金は増える一方です。

元金800,000円
年利18%(利息制限法に基づく最大利息)
返済額10,000円
返済期間一生終わらない
支払総額(利息+元金)完済不能

返済プラン② | 月々の支払額が15,000円の場合

では、12,000円を超える金額を継続的に支払い続けるシナリオを考えてみましょう。

この方法により、元本と利息の両方を返済する可能性があり、最終的に借金を完済できるかもしれません。

ただし、この金額では、借金を返済するに長い期間が必要だという点を考慮すべきです。

このケースでは、毎月15,000円を支払っています。

しかし、その内訳として12,000円が利息として差し引かれます。

実際に元本に充てられるのは3,000円です。

さらに、毎月15,000円の返済を続けても、80万円の債務残高を完済するには、約9年の期間が必要です。

その間に支払う利息の総額は約82万円にも達します。

つまり、80万円の借金を完済するためには、約162万円もの支払いが必要となるのです。

元金800,000円
年利18%(利息制限法に基づく最大利息)
返済額15,000円
返済期間約9年
支払総額(利息+元金)1,620,000円

返済プラン③ | 月々の支払額が30,000円の場合

毎月の返済額を30,000円に設定した場合はどうでしょうか。

この場合、返済にかかる期間は約3年です。

支払う利息額も約230,000円ほどと、それほど大きな金額ではありません。

ただし、この計画は3年間、新たな借り入れを行わずに、

クレジットカードなどを使用しないことを前提としています。

しかも、3年もの間、毎月30,000円を準備するのは決して簡単ではありません。

元金800,000円
年利18%(利息制限法に基づく最大利息)
返済額30,000円
返済期間約3年
支払総額(利息+元金)約1,030,000円

【結論】80万円の負債は想像以上に完済が難しい

上記シミュレーションからは、

自己の力だけで借金を返済するのが思った以上に難しい

ということは分かります。

その原因は

  • ① 毎月の返済額がわずかであること
  • ② 借りて返してを繰り返しやすいこと

の2点により生じる問題です。

毎月の返済額がわずかであること

借金が80万円の場合、毎月の最低支払額は約15000円程度とそれほど高額ではありません。

これにより、人々は

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「毎月返済をしているから、いずれ完済できるだろう」

と安心してしまうことがあります。

しかし、実際には利息を差し引いた残額はわずかで、元金はほとんど減りません。

にもかかわらず、毎月利息は発生しています。

このままの状態で支払いをしても、借金はほとんど減少しません。

借りて返してを繰り返しやすいこと

第2に、借りて返してを繰り返しやすくなるという問題です。

今まで、借金80万円の話をしてきましたが、借金が300万円だったらどうでしょうか?

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これ以上借金が増えたら絶対に返せなくなる!

もう、カードは使わない!借金もしない!

と、危機感を覚えたり、二度と借り入れをしないと決意できるでしょう。

ですが、80万円という金額は

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「少し頑張れば完済できるかも?」

と思ってしまう金額であることから、「絶対借りない!」という強い決心にはつながりづらいのです。

結果として、借金と縁が切れずに、新規の借金を始めてしまったり、返済と新たな借金の繰り返しに陥ることがあります。

もちろん、そんなことをしていたら、借金は減っていきません。

貸金業者に利息に高額の利息をいつまでも与え続けるばかりです。

借金80万円の解決には債務整理が効果的

任意整理とは|利息を削減して返済プランを再検討

では、借金80万円の問題にどのように対処すべきか考えてみましょう。

借金80万円は、確かに小さな金額ではないものの、高額なものではないと言えます。

この状況でしたら、毎月の支払額を削減したり、利息を軽減することで、返済を続けられる可能性もあるでしょう。

このようなニーズに応えるための選択肢として、任意整理が考えられます。

任意整理は、債務者と債権者が合意のもとで返済プランを変更し、借金を返しやすくする手続きです。

これにより、月々の支払額を軽減し、利息を削減することができ、借金の返済がより可能になります。

要するに「元本分の返済は行う代わりに、返済条件を柔軟に調整する」ことができるのです。

また、任意整理は借金返済に問題を抱える人々に利用できる手段であり、借金額に関わらず利用できます。

借金80万円なら任意整理がベターな選択肢

「負債が減少しない理由とは」で述べた通り、借金が減りづらいのは「利息が高く、返済を行っても元金に充当されづらい」ことが大きな原因です。

したがって、この利息を取られないようにすることが、借金問題の効率的な解決につながると言えます。

任意整理を行えば、高額な利子を削減することができます。

(ただし、取引期間が短すぎる場合や、返済の履歴が不良すぎる場合、和解時に数%の将来利息が付くことがあります。)

任意整理後の具体的な返済プラン

任意整理を実施した場合の、具体的な返済プランについて詳しく見てみましょう。

通常、任意整理では3~5年(36~60回)の間で返済を行うことが一般的です。

元本を返済回数で均等に分割することで、月々の返済額が決定されます。

たとえば、80万円の借金の場合、月々の返済額はおおよそ23,000円(36回払い)から14,000円(60回払い)ほどになることが一般的です。

ただし、個々の取引履歴が良好で契約期間も長い場合、5年を超える返済計画が認められることもあります。

任意整理をした場合の返済シミュレーションは以下のとおりです。

元金800,000円
年利0%(条件に応じて数%の利息が付く場合あり)
返済額23,000~14,000円(条件次第でさらに減額できる場合あり)
返済期間3~5年(条件次第でさらに伸びる可能性あり)
利息0円
支払総額(利息+元金)800,000円

任意整理をすることで、短期間で完済をすることが出来ることが分かります。

任意整理に関する注意点は?

任意整理は借金問題の解決に役立つ手段ですが、考慮すべき注意点もいくつかあります。

任意整理を検討する際に留意すべき主なポイントは、以下の通りです。

信用情報への影響

任意整理は信用情報に記録され、悪影響を及ぼす可能性があります。

この影響は任意整理が終わってからも約5年間続き、新たな借り入れやクレジットカードを作るのにも制約をもたらします。

保証人に対する影響

保証人が関与している場合、債務者の任意整理により保証人への請求が行われる可能性があります。

債権者の同意が必要

任意整理を実施するには、債権者の合意が必要です。

全ての債権者が同意しなければならず、一部の債権者が合意しない可能性もあります。

元本の大幅な減少は難しい

任意整理の主要な目的は返済を容易にすることであり、元本や返済金額を大幅に削減することは難しい点に留意すべきです。

借金80万円はUターンを考えるべきラインかも

貸金業法には、「総量規制」という貸し付け上限に関する規制があります。

これは、国が設定した基準で、「これ以上の貸付を禁止する」というラインです。

つまり、国は、この基準を超えると、返済に困難をきたし、多重債務に陥るリスクが高まると考えていると言っていいでしょう。

そして、その上限ラインは、年収の3分の1です。

平均的な日本人の年収の中央値は、360万円前後と言われていますが、この金額をベースに考えると、問題なく返せる借金の上限は、多くの方で120万円前後と言うことになります。

このようなリスクを考えると、もう少しでボーダーラインに触れてしまう金額である借金80万円は、そろそろ借金返済を意識し始めると同時に、これ以上の借り入れを行わないようにUターンを考えるべきタイミングと言ってもいいかもしれません。

このボーダーラインを越えてしまうと、少しの状況の悪化に弱くなるのみならず、多重債務に陥っていく可能性が高まります。

こうなってしまうと、雪だるま式に借金を増やしていき、最後には、自己破産を選ぶほかなくなってしまうかもしれません。

その際に、問題解決に最も役立つのは、債務整理と言えます。

早めに債務整理を検討することは、将来の負担を軽減し、安定した経済状況を築くために重要な一歩と言えるでしょう。

  • 記事監修者
  • 弁護士 近藤 裕之
  • 翔躍法律事務所 所属
  • 第一東京弁護士会 所属
  • ※法律問題に関するテキスト監修に限る