滞納
既に借金の滞納が3ヶ月も続いてしまっている……
今月はお金がなくて借金返済が出来ないかも……
借金の返済を滞納していると、債権者から督促の連絡が来るようになります。
ですが、借金を滞納しているということは、全額を返済する資力がないことが大半です。
そのような場合、債務整理を検討するのも良いかもしれません。
債務整理は、借金を返済するためには非常に効果的です。
また、弁護士や司法書士に依頼することで、各社への返済を一定期間の間、待ってもらうことが出来るようになるというメリットがあります。
ただし、債務整理にはデメリットもあるので、慎重になった方がよいケースも存在します。
この記事では
- 債務整理で返済を待ってもらえる理由
- どのような場合に債務整理を依頼をするべきか
- 逆に依頼を慎重に考えるべきケース
についても解説していきます。
滞納した借金を債務整理で待ってもらうことが可能な理由とは?
債務整理とは、借金の返済条件を変更することで返済を簡単にしたり、裁判所を通じて債務の圧縮や免除を認めてもらうための法的手続きです。
つまり、債務整理を利用することで、借金返済が楽になるということです。
そして、弁護士や司法書士を代理人として債務整理を開始すると、
債権者(消費者金融やクレジットカード会社等)に対して債務整理開始通知を発送します。
滞納した借金の返済を、手続きの完了まで待ってもらえることとなるのです。
では、その仕組みや効果について、詳しく見ていきましょう。
債務整理を開始すると返済をいったんストップできる
債務整理は、「借金の返済方法や解決方法を決める」手続きと言えます。
例えば、任意整理という手続であれば、元金は返済するが、利息を減らしてくださいというような返済方法を決める手続と言えます。
自己破産では、手元の財産を清算したうえで、残りの借金の支払いを免除するという形で、借金問題の解決方法を決めるための手続と言えるでしょう。
そして、債務整理の手続中は、返済方法や解決方法がまだ未定の状態です。
ですから、返済方法が確定するまで一時的に返済をストップすることとなるのです。
そのため、債務整理手続きを開始すると、債務整理手続きが完了するまでの間は返済をしなくてもよくなるのです。
その代わり依頼の着手金等を払うことになる
ただし、債務整理手続きを開始するには、弁護士や司法書士に依頼する必要があります。
そして、依頼の報酬として、着手金等の費用を支払う必要があります。
結局、お金は払わないといけないんじゃないか
と、債権者への返済を停止できても、得をしていないように思うかもしれません。
しかし、報酬金額は毎月の借金の返済額より安く抑えられていることが多いです。
そのため、各社への返済を停止した結果、毎月の支払額が減少するケースはかなり多いと言えます。
つまり、弁護士や司法書士に依頼をして各社への返済をストップさせ、弁護士や司法書士への報酬や費用を支払う方が、通常の返済を続けるよりも支払額は下がるのです。
弁護士や司法書士が代理人として債権者と対応をしてくれる
借金の返済を怠ると、債権者から書面や電話で連絡が来ることとなります。
ただでさえ借金返済が滞っている中で、しつこい連絡や通知などによる取り立ての圧力にさらされるというのは、想像以上に心身ともに負担を与えるものです。
ですが、債務整理を開始することによって、状況は好転します。
弁護士や司法書士へ依頼をした後、代理人は、債権者に対して債務整理開始通知(受任通知)を送ります。
これは、債務整理の依頼を受けて代理人に就任したことを伝えると同時に、返済の督促を一時的に中断するよう債権者に求める通知です。
債務整理開始通知を各社に送ると、債権者は正当な理由なく、本人から取り立てを行ったり、連絡を取ることを禁止されます。
これは、貸金業法という法律に定められたルールです。
そのため、督促の連絡や通知についても同様に、弁護士や司法書士が代理人として対応をしてくれるため、あなたまで届くことはなくなります。
どのような場合に債務整理を依頼するべきか?
簡単にまとめると
- ・債務整理は、借金返済を楽にする手続き
- ・債務整理が終わるまでは、借金返済がストップする
- ・督促や連絡は代理人弁護士、司法書士が行ってくれる
これを聞いたら
債務整理をするメリットも大きい
と感じるでしょう。では、どんな人に債務整理は有効なのでしょうか?
依頼するべきケース(1)|借金総額が年収の3分の1を越えている
まず、債務整理をするべきケースとして借金の残高が多すぎる場面が挙げられます。
借金の総額が多いか少ないかは、その人の収入と借金額の兼ね合いで決まるので、一概には言えません。
ただ、借金の返済が難しくなる基準として
「借金の総額が年収の3分に1を越えている」
というものがあることは、覚えておいていいでしょう。
また「借金が年収と同額以上の場合」は、
自己破産なども考えなければならないほど借金が膨らんでいると言えます。
このようなケースでは債務整理をして、借金を効率的に返せるようするべきと言えます。
依頼するべきケース(2)| 返済額が手取り月収の2割を越える
返済額が手取り月収の2割を越えている場合にも、返済が難しくなりやすいです。
借金とは性質が異なりますが、貯蓄の観点から考えてみましょう。
通常の家庭では、収入の10〜15%程度を毎月貯金に回すことが一般的と言われています。
また、生活に負担をかけることなく、貯金を積み立てる基準として、収入の20〜30%程度を貯金に充てることを目指すことが勧められています。
要するに、多くの家庭において、生活費や必要経費を差し引いた後に残る余剰資金は、努力をしても手取りの20〜30%程度であり、実際には手取りの10〜15%程度であることが一般的だと考えてもよいでしょう。
そのため、借金の月々の返済額が手取り収入の20%以上になっている場合は、余剰資金を越えた返済を行っている可能性が考えられるということです。
ここまで来てしまったら、債務整理を通じて、月々の返済額を抑えた方が良いでしょう。
依頼するべきケース(3)|過去に何度も返済が遅れている、すでに滞納している
何度も返済の滞納をしているということは、支払いが困難である何よりの証拠です。
過去に何度も借金を滞納した経験のある方も、債務整理を検討するべきです。
また、現に借金を滞納している場合でも、債務整理は効果的です。
す弁護士や司法書士を通じて債務整理を行うことで、債権者からの督促を止め、一時的に返済を停止することができます。
そのため、返済が頻繁に滞納してる状況にある方や、既に滞納してる方にとって、債務整理はメリットがあることが多いのです。
依頼するべきケース(4)|借金完済のめどが立たない
「自転車操業」と言う言葉を聞いたことはあるでしょうか?
これは、借金を返すために借金をするという、多重債務状態のことを言います。
例えば、「A社の借金を返すために、B社からの借金を利用する」という状態です。
たしかに、この状態では、借金の滞納こそしていません。
ですが、この状況は、基本的には借金を別の借金で埋め合わせ、債権者には利息のみが支払われている状態です。ですが、
「今月の返済も、他者から借金をしてなんとか乗り切れた」
という「借金を借金で埋めてる」状態にすぎないのにもかかわらず、
これだけ払ってるんだから、そのうち借金がなくなるに違いない
と錯覚をしやすいのです。
これが、多重債務の怖いところです。
繰り返しますが、自転車操業を永遠に続けても、元の借金は少しも減少しません。
どころか、多重債務、自転車操業に陥ると、どんどん借金が増えていくのです。
このように、多重債務で借金を完済する見通しが立たない場合でも、債務整理は有効な手段と言えます。
依頼するべきケース(5)|債権者に訴訟されてしまった
債務者が長期間にわたって借金の返済を滞納していると、債権者はしばしば裁判所に訴えを起こします。
つまり、法的手続きを通じて強制的に問題解決を図るのです。
この状況になると、個人が自身で問題に対処することは難しいです。
また、訴えられたことに驚いて、望ましくない返済条件を受け入れることもあります。
その結果、債権者側にばかり都合のいい判決が下されることがよくあります。
このような事態を避けるためにも、専門家の知識を活用して、公平かつ適切な条件での判決や和解を実現することが不可欠と考えられます。
そのため、弁護士や司法書士に代理人となってもらうよう依頼することを強く推奨します。
債務整理を慎重に考えた方がよい場合はある?
ここまで、債務整理をするべきタイミングとして、
- 借金総額が年収の3分の1を越えている
- 返済額が手取り月収の2割を越える
- 過去に何度も返済が遅れている、すでに滞納している
- 借金完済のめどが立たない
- 債権者に訴訟されてしまった
という5つのパターンをご紹介しました。
つまり、
- 「借金が返しきれない」
- 「今後もこの状況が続きそう」
- 「債務整理による減額効果が大きい」
という場合には債務整理をするべきとなります。
では、反対に、債務整理をすることを慎重に考えた方がよいケースはあるのでしょうか?
債務整理を慎重に考えるべきケース(1)|借金が少額のとき
まず、借金がわずかな金額である場合です。
債務整理を開始すると、債権者に対して通知が発信されます。
この際、債権者は、この事実を信用情報機関に「異動情報」として記録します。
これが、一般的に「事故情報」や「ブラックリスト」として知られている状態です。
このブラックリスト状態は、債務整理終了から5年は継続します。
借金が少額で、数か月で完済が見えるのなら、5年間も新規の借入やクレジットカードが作れないなどの、ブラックリストのデメリットの方が大きくなってしまいます。
また、借金が少額であっても、弁護士や司法書士に依頼する場合には費用がかかります。
取れる債務整理手続きも限られます。
そのため、得られるメリットに対して、信用情報への悪影響を受け入れ、費用を支払う価値があるかどうか、十分に検討する必要があります。
債務整理を慎重に考えるべきケース(2)|返済が遅れたのが一時的な理由の場合
もう一つの場合は、返済の遅れが一時的な理由によるものです。
たとえば、数日の入院や転職直後で一時的に収入が減少する場合などが考えられます。
こうした状況では、返済ができないのが一時的なものです。
数か月後には、通常通りの返済が可能になることがしばしばあります。
このような場合、現在利用しているクレジットカード会社や消費者金融に連絡して状況を説明することで支払いを猶予してもらうことで、解決が図れる可能性もあります。
まずは、自分で対応をしてみて、ダメなら債務整理でも遅くはありません。
債務整理を慎重に考えるべきケース(3)|金利や遅延損害金が低い場合
消費者金融やクレジットカードの場合、手数料や利息が非常に高額に設定されています。
そのため、債務整理を実施することで、返済条件を緩和するメリットが大きいのです。
一方で、銀行の特定用途ローン(例:住宅ローン、自動車ローン、教育ローンなど)や信用金庫からの借り入れなどは、利息等が比較的低く、3~4%ということもあり得ます。
そのため、返済条件を多少和らげた場合でも、大きな利益は得られません。
つまり、貸付条件によっては債務整理の利益を得られないため、依頼費用をかけるよりも、自力での返済を続けた方がよいというケースがあるということです。
慎重に考えるべきケースでも債務整理が有効な場合がある
以上が、債務整理を慎重に考えるべきケースの例でした。
ただし、上記のようなデメリットが上回りそうなケースでは、絶対に債務整理をすべきではないのでしょうか?
そんなことははありません。
例えば、借金が少額のときであっても、数か月の返済の滞納をしていれば、返済滞納の事実は信用情報に記載され、影響が出てしまいます。
当然、債権者から訴えられる、訴訟となるリスクにもさらされているわけです。
「返済が遅れたのが一時的な理由の場合」で紹介したような入院や事故、収入減も同様です。
仕事や会社に復帰できても、必ず収入が元に戻る保証はどこにもありません
また、収入のない期間が想像以上に長期化してしまうことも起こり得ます。
こうなった場合には、債務整理をすることによって生活を立て直す必要があるでしょう。
債務整理を選ぶべきかどうかは、メリットデメリットの比較衡量に寄ります。
つまり、
債務整理中は、返済を待ってもらえる
生活を立て直せる時間を得られる
借金が減額され、返済が容易になる
というメリットと、
信用情報に悪影響
今後何年か、借金の契約はできない……
弁護士や司法書士に依頼すると報酬が発生する……
というデメリットを比較して、
あなたにとってよりよい選択はどちらかを考えることです。
債務整理をするべきかどうかは専門家に相談しよう
このように、債務整理のメリットデメリットを一概に判断することはできません。
個別のケースごとにベストな選択肢というのは異なるからです。
また、判断には様々な要素を考慮する必要があります。
ですから、それらの判断の前提として、弁護士や司法書士といった専門家に相談してみることが有効となるのです。
債務整理に特化した弁護士や司法書士は、数々の個別事案と向き合っています。
そのなかにはあなたの状況に近い依頼者もいたかもしれません。
その借金問題の解決方法があなたにとっても適切な可能性があります。
経験の豊富な専門家のアドバイスを求め、十分な情報提供をうけることで、よりよい選択をすることが、借金問題解決のための第一歩です。