債務整理の専門家といえば司法書士と弁護士です。
どちらに依頼するのが良いか悩まれる方が多いです。
司法書士と弁護士ではどのような違いがあるのでしょうか。
この記事では司法書士と弁護士の違いと司法書士がおススメな理由を解説します。
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そもそも債務整理とは
債務整理には「任意整理」「個人再生」「自己破産」があります。
「任意整理」とは、裁判所を通さずに業者と直接交渉することで借金の減額を図る手続きです。
「個人再生」とは、裁判所を通す手続で、借金の返済が困難な場合に,借金の総額を5分の1から10分の1に少なくし,その金額を基本的に3年で分割して返済する再生計画を立て、裁判所に認めてもらう手続です。
「自己破産」とは、裁判所を通す手続で、借金返済が難しい状況を裁判所に認めてもらうことで、借金の返済義務が免除される手続です。
債務整理をすることにより、現在困っている借金問題を解決し生活を立て直すことが出来ます。
司法書士と弁護士の違い
債務整理を依頼しようと考えたとき思い浮かべるのは司法書士と弁護士ではないでしょうか。
司法書士と弁護士とでどのような違いがあるのでしょうか。
主な違いは「業務内容」と「費用」です。
以下で詳しく解説してきます。
業務内容
弁護士に比べて司法書士がどのような仕事をしているのかよく知らない人が多いのではないでしょうか。
弁護士と司法書士の仕事内容は以下です。
【弁護士】
弁護士は法律に関するすべての業務を行うことができます。
社会生活で起きる様々なトラブルの解決に向けて話し合いを行ったり法的な手続きを行ったりします。
代表的な業務は離婚や交通事故などの一般民事事件・企業法務・刑事事件です。
【司法書士】
司法書士の代表的な業務は不動産の登記・裁判所等に提出する書類を作成することです。
司法書士の中には法務大臣の認定を受けた「認定司法書士」がいます。
もともと、司法書士は債務整理の書類作成代行業務を行ってきました。
2003年の法律改正を機に、法務省の認定を受けた「認定司法書士」に限り、代理人になることが可能になりました。
「認定司法書士」であれば、簡易裁判所という裁判所で取り扱う金額が140万円以下の事件については、依頼者の代理人として相手方と交渉や簡易裁判所に依頼者に代わって出廷したりすることができます。
このように弁護士と司法書士の違いは、弁護士は法律に関するすべての業務を行うことができますが司法書士は、業務範囲に制限があります。
具体的な司法書士の業務範囲は以下です。
・請求額が140万以下
弁護士の場合は、債権額等に制限はありませんが司法書士の場合は、1社あたりの過払い金が元金140万円以下または、1社あたりの債務が元金140万円以下の場合のみ代理人として対応できます。
・訴訟代理ができるのは簡易裁判所のみ
簡易裁判所は、主に訴額140万円以下の訴訟を取扱う裁判所を指します。
訴額とは、簡単に言えば債権を金銭的な価値に換算した場合の金額です。
借金問題の裁判においては、訴額というのは借金の元本です。
・自己破産や個人再生の書類作成
自己破産や個人再生の場合は、訴額の上限はありませんが、代理人とはなることはできず書類作成のみです。
このような制限があるのなら司法書士でなく弁護士に依頼したほうがいいのでは?と考える方がいると思います。
この140万円というのは元金で利息や遅延損害金は含みません。
元金が140万円を超えていなければ問題はないのです。
また、借金の総額が140万円を超えていても、1社の借金が140万円を超えていなければ、問題ないです。
個人の債務整理案件で元金が140万円を超えるのは、どちらかといえば少ないケースです。
司法書士が十分に対応できる案件が圧倒的に多いです。
費用
弁護士と司法書士では費用に違いがあります。
日本弁護士連合会と日本司法書士連合会の報酬規程に違いがあるからです。
以下は報酬規程の一部を抜粋したものです。
◇日本弁護士連合会
【着手金】
着手金 成功・不成功のある事件について結果のいかんにかかわらず受任時に受領する報酬
【報酬金】
成功・不成功のある事件について成功の程度に応じて受ける報酬
a)解決報酬金…業者との事件が解決したこと自体により発生する報酬金
b)減額報酬金…業者が主張する債権額と実際に支払うことになった金額との差額(減額分)をもとに算定する報酬金
c)過払金報酬金…回収した過払金額をもとに算定する報酬金
【着手金の規制】
・上限規制はなし(※例外あり)
【報酬規制】
a)解決報酬金 1社あたり2万円以下が原則 商工ローンは5万円以下
b)減額報酬金 減額分の10%以下
c)過払金報酬金 訴訟によらない場合回収額の20%以下 訴訟による場合回収額の25%以下
a~cの報酬金以外の受領は禁止
◇日本司法書士会連合会
【定額報酬の上限】
第5条 任意整理事件を受任したときは「定額報酬」として債権者一人当たり5万円を超える額を請求し又は受領してはならない
【減額報酬の上限】
第6条 「減額報酬」を請求し又は受領するときは減額され又は免れた債務の金額を経済的利益としてその経済的利益に10パーセントの割合を乗じた金額を超える金額を「減額報酬」として請求し又は受領してはならない
2 引き直し計算により算出された金額を債権者が認めた場合「その金額を債権者が積極的に争わない場合を含む」はその算出された金額から減額され又は免れた債務の金額を経済的利益として前項を適用する
【過払金返還報酬の上限】
第7条 代理人として過払金を回収したときはその回収した金額を経済的利益としてその経済的利益に次の割合を乗じた金額を超える額を「過払金返還報酬」として請求し又は受領してはならない
(1)訴訟によらずに回収した場合 20パーセント
(2)訴訟により回収した場合 25パーセント
【支払い代行手数料の上限】
第8条 債務整理事件においてその債務を債権者に分割して支払うことを代行するときは代行する支払いごとに実費に相当する額を含めて千円を超える額を請求し又は受領してはならない
【その他の報酬の規制】
第9条 司法書士は任意整理事件及び過払金返還請求事件において第5条から前条に定める報酬以外の報酬を請求し又は受領してはならない
簡単にまとめると
日本弁護士連合会では「成功報酬は2万円以下」という決まりがありますが、着手金について定めがなく金額に上限がありません。
日本司法書士会連合会では、報酬についての上限を、着手金と成功報酬含めて、1社あたり5万円(税別)と定めています。
費用については司法書士と弁護士どちらも事務所で自由に決めることができます。
弁護士の場合は、司法書士より自由度が高いこともあり、費用を高めに設定している事務所もあります。
司法書士の場合は、対応できる業務が限定的であるため、費用を低く設定している事務所が多いです。
そのため、債務整理を司法書士に依頼するほうが費用が安い傾向にあります。
司法書士がおススメな理由
世間的には弁護士の方がよく知られているので弁護士に依頼する方がいいと思われがちですが、司法書士がおススメな理由を解説します。
費用が安い
債務整理を依頼する多くの人は、借金の返済に困っているのでできる限り費用を抑えたいと考えている人が多いと思います。
債務整理をするための費用は割と大きい金額なので、支払わないといけない費用が多くなってしまうと手続をしても意味がありません。
無理なく支払いができる費用かどうかが重要になってきます。
先ほど解説したように司法書士は弁護士に比べて費用が安い傾向があります。
司法書士と弁護士との費用相場は以下です。
司法書士 | 弁護士 | |
任意整理の場合 | 3~5万円(1社あたり) | 4~8万円(1社あたり) |
個人再生の場合 | 20~40万円 | 30~50万円 |
自己破産の場合 | 20~40万円 | 30~50万円 |
解決実績が多い
債務整理を依頼する際には、債務整理を専門にしている事務所を選ぶことが重要になります。
弁護士は法律に関するすべての業務ができるので離婚や交通事故などの一般民事事件や企業法務や刑事事件と業務範囲が広いです。
そのため債務整理を専門にやっているとは限りません。
もともと弁護士の独占業務であった訴訟代理権が「認定司法書士」に付与する制度が生れた背景には弁護士が大きな案件を取り扱うことが多く少額の案件をあまり引受けてこなかったということが大きいです。
債務整理は少額の案件であることが多いので司法書士は債務整理の依頼を引き受け実績を積んでいます。
こういったこともあり司法書士は債務整理を専門でやっている事務所が多く経験豊富が豊富です。
敷居が低い
法律相談をするのは何となく敷居が高く感じる方が多いでしょう。
特に弁護士はまだまだ「敷居の高い存在」といえるかもしれません。
弁護士について「怖い」「横柄」といったイメージを持っている方もいます。
司法書士は弁護士ほど有名でないので世間的にも偉そうとかそういったイメージを持つ方は少ないかと思います。
司法書士は身近な街の法律家と呼ばれています。
借金の悩みを相談するというのはとても勇気のいることです。
司法書士は、身近な相談窓口として、どんな些細なことでも、相談しやすいのが特徴です。
相談しにくい相手では、伝えたいことを言えず、思い通りの結果にならない可能性がでてきます。
親身になって借金について事情を聞き、今の状況における最適な解決策を提案してくれることが大事です。
債務整理を依頼する事務所選びのポイント
債務整理の依頼しようと思った際に、司法書士と弁護士のどちらに相談するかだけでなく、どの事務所に相談するかもとても重要です。
相談する事務所をむやみに選んでしまうと、債務整理に失敗する、費用が余分にかかるなどのリスクがあります。
事務所選びを失敗しないために選ぶ時のポイントを紹介します。
費用が明確かどうか
費用は事務所が自由に決めることができるので事務所によって異なります。
債務整理に費用は、安いのがよいのですが、着手金、成功報酬、減額報酬、などの項目があり、着手金が安くても、減額報酬が高いなど、費用が分かりにくいことがあります。
そのため、着手金が無料であっても他の費用が高く総額だと高くなってしまったということがあり得ます。
着手金が安いだけで決めない方が良いでしょう。
費用について分かりにくい事務所は、後になってから請求されて思っていた金額と違うということになりかねません。
相談の際に不安や疑問が少しでもあれば遠慮なく聞いて納得できるまで説明してもらいましょう。
総額がいくらになるのか、費用の説明が明瞭で丁寧な事務所に依頼するほうが、後悔しないですみます。
債務整理の実績
事務所によって取扱う業務や得意分野が異なります。
専門分野と違う案件を依頼すると、知識と経験がなく、思い通りの結果にならない可能性がありますので、得意分野を確認することはとても重要です。
また、債務整理の実績も重要になります。
債務整理の実績があるかどうかについて知るには、相談したい事務所のホームページを確認してみましょう。
事務所のホームページを確認して債務整理に関する記載が多く、実績などがしっかりと書かれていれば安心して相談できるでしょう。
「一般の方が分かりやすい説明」や「具体的な解決事例」が多く書かれているホームページの事務所は、債務整理について力を入れていて、実績が豊富な事務所である場合が多いと思います。
まずは、債務整理の実績が多くあるかを確認してから、相談しましょう。
対応が迅速で丁寧
事務所がどれだけしっかりと対応してくれるのかも重要です。
借金問題は、迅速に対応することがとても大切です。
電話の折り返しやメールの返事が遅い事務所は、安心して債務整理を任せることができないと思います。
債務整理に強い事務所は、対応が迅速です。
たとえば、債務整理の依頼を受けると、各業者に「受任通知」という書面を送ります。
業者は「受任通知」が届くと、本人に直接連絡を取ることができなくなるため、取り立てがストップします。
迅速に対応してくれる事務所であれば、依頼した日に受任通知を送付してくれますが、中には1週間ほど経っても送付しない事務所もあります。
相談の際に「取り立てはどれくらいで止まりますか?」と質問をして、すぐに対応してくれるかどうか確認してみましょう。
また、気になることは些細なことでも質問すると良いでしょう。
どのような質問に対しても丁寧に答えてくれる事務所は親身な対応をしてくれる事務所でしょう。
信頼できるかどうか
債務整理をすることはメリットだけでなくデメリットもあります。
デメリットの説明がなく手続を進めた結果思いもよらぬトラブルになりかねません。
メリットばかりを強調してくる事務所よりデメリットについても説明してくれる事務所は良心的で信頼できるといえるでしょう。
本当に依頼者のことを考えてくれる務所であれば、デメリットを伝えた上で対処方法について説明してくれます。
また、債務整理は簡単に終わる手続ではありません。
最後までしっかりとフォローしてくれる事務所だと安心できるでしょう。
安心して任せるためには話しやすい相手かどうかも重要になってきます。
私生活について話さなければならない時もありますので、この人なら話しやすいと思えるかどうかが大事になってきます。
話しやすさは相性がありますので相談の際にいろいろ話して判断するといいでしょう。