投資が推奨される現代において、「NISA」や「iDeCo」といった制度を耳にしたことがある方は多いと思います。
これらの制度は投資をするうえで、ローリスクで運用することができることに加え、税金面でも優遇される制度となっております。
そのため、NISAでは教育費の確保・iDeCoでは老後資金の確保のために投資をする方が多いです。
そこで本記事では、投資初心者の方でもわかりやすく「NISA」と「iDeCo」の特徴と違いについて解説します。
NISAとiDeCoの特徴
そもそもNISAとiDeCoはどのような理由で誕生したかということについて解説します。
大きな理由としては、「金利の低下」や「老後2,000万円問題」が取り沙汰されているように、貯金や年金だけに頼って生活するのはリスクが高いということで、税制優遇されたNISAやiDeCoなどの投資商品が誕生しました。
税制優遇されている点としては、運用益に対して非課税という点と、iDeCoの掛け金として支払ったお金に対して所得控除が受けられるという点です。
本来であれば利益に対して20.315%の税金が徴収されますが、NISAで投資をすることで利益が出ても税金を支払う必要がありません。
また、iDeCoの掛け金に支払った分は、老後の備えとして支払っているため、自由に使えるお金ではないということで、掛け金の全額に対して所得控除を受けることができます。
掛け金に対する税金や、利益に対する税金が非課税となることで、かなりの節税効果があるため、投資初心者の方でも簡単に始められる投資方法となっております。
なお、NISAには「成長投資枠」と「つみたて投資枠」の2種類があり、それぞれ投資できる商品が異なり、またiDeCoも違う方法で投資を行う必要があります。
それぞれの違いは以下の表のとおりです。
成長投資枠 | つみたて投資枠 | iDeCo | |
税制面のメリット | 運用益が非課税 | 運用益が非課税 | 運用益が非課税掛金が全額所得控除 |
投資可能金額 | 年間240万円(現:120万円) | 年間120万円(現:40万円) | 年間14.4万円~81.6万円※労働条件によって変動 |
投資可能期間 | 無期限 | 無期限 | 65歳まで |
投資可能商品 | 国内外の個別株・ETF(上場投資信託)など | 積立投信に対応した投資信託 | 投資信託・元本確保型の定期預金や保険など |
投資方法 | 一括購入や積立購入など自由な投資が可能 | 積立購入のみ | 積立購入のみ |
手数料 | 不要 | 不要 | 必要 |
投資資金の引出し | いつでも可能 | いつでも可能 | 60歳まで不可 |
これらの特徴やそれぞれの違いについて、つぎに解説します。
新NISA 成長投資枠(現:一般NISA)
まずは、新NISAの成長投資枠について解説します。
成長投資枠 | |
税制面のメリット | 運用益が非課税 |
投資可能金額 | 年間240万円(現:120万円) |
投資可能期間 | 無期限 |
投資可能商品 | 国内外の個別株・ETF(上場投資信託)など |
投資方法 | 一括購入や積立購入など自由な投資が可能 |
手数料 | 不要 |
投資資金の引出し | いつでも可能 |
成長投資枠は、現行NISAで「一般NISA」と呼ばれていたように、NISAの基本となる部分です。
税制面のメリットとしては、運用益が非課税となるという点があげられ、年間240万円までの投資が対象となります。
もし、NISA口座ではない、課税口座で取引した場合、利益に対して20.315%の税金が徴収されます。
たとえば、取引で10万円の利益を得た場合、20,315円が税金として徴収され、残りの79,685円が利益として手元に残ることになります。
しかし、NISA口座で取引した場合、利益の10万円すべてが手元に残るため、とくに課税口座にこだわりがない方は必ず活用したい制度です。
投資可能商品としては、国内の上場株式に限らず、海外の上場株式やETFにも投資することができます。
国内外の株式やETFに投資できることから、リスク分散のための分散投資も可能です。
成長投資枠は自由なタイミングで売買でき、また幅広い投資商品から運用できることから、自分のやりたい投資を行うのに最適な制度といえるでしょう。
新NISA つみたて投資枠(現:つみたてNISA)
つぎに、新NISAのつみたて投資枠について解説します。
つみたて投資枠 | |
税制面のメリット | 運用益が非課税 |
投資可能金額 | 年間120万円(現:40万円) |
投資可能期間 | 無期限 |
投資可能商品 | 積立投信に対応した投資信託 |
投資方法 | 積立購入のみ |
手数料 | 不要 |
投資資金の引出し | いつでも可能 |
つみたて投資枠も成長投資枠と同様に、利益に対して税金がかかりません。
大きな違いとしては、成長投資枠では「国内外の株式」や「ETF」などが投資対象となっていますが、つみたて投資枠では「積立投信に対応した投資信託」のみとなっております。
積立投信に対応した投資信託とは、長期で積立運用するのに適した投資信託のことで、安定した成績を残しているファンドが対象となります。
成長投資枠と比べると投資可能商品が少ないという点がありますが、それでも安定したファンドで運用すれば手堅く利益を稼ぐことができます。
また、投資信託の特徴として、リアルタイムに売買できないという注意点もあります。
そのため、つみたて投資枠で運用する場合は、短期で売買を繰り返すよりも、長期で定額を購入し続ける投資が最適です。
積立投資信託は少額から始められるため、投資初心者の方で不安がある方は、つみたて投資枠での運用から始めると良いでしょう。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
そして最後に、iDeCoについて解説します。
iDeCo | |
税制面のメリット | 運用益が非課税掛金が全額所得控除 |
投資可能金額 | 年間14.4万円~81.6万円※労働条件によって変動 |
投資可能期間 | 65歳まで |
投資可能商品 | 投資信託、元本確保型の定期預金や保険など |
投資方法 | 積立購入のみ |
手数料 | 必要 |
投資資金の引出し | 60歳まで不可 |
iDeCo(イデコ)とは「個人型確定拠出年金」のことをいい、老後必ずもらえる国民年金や厚生年金とは別に、個人で加入したい方だけ加入できる年金制度です。
加入したい場合は、金融機関でiDeCoの申し込みを行うことで始めることができ、運用方法としては、ファンドを選んで、毎月の拠出金額を決めて運用していきます。
そして、その運用結果を60歳以降に年金として受け取ることができます。
なお、拠出できる金額は、個人の労働条件によって以下のとおり異なります。
(国民年金第一号被保険者)自営業者等 年額81.6万円(月額6.8万円)
(国民年金第二号被保険者)会社員で企業年金に加入していない方 年額27.6万円(月額2.3万円)
(国民年金第二号被保険者)会社員で企業型DCのみに加入している方 年額24.0万円(月額2.0万円)
(国民年金第二号被保険者)会社員でDBのみに加入している方 年額14.4万円(月額1.2万円)
(国民年金第二号被保険者)会社員でDBと企業型DCに加入している方 年額14.4万円(月額1.2万円)
(国民年金第二号被保険者)公務員の方 年額14.4万円(月額1.2万円)
(国民年金第三号被保険者)専業主婦(専業主夫)の方 年額27.6万円(月額2.3万円)
※企業型DCとは、企業型確定拠出年金のことです。
※DBとは、確定給付企業年金・厚生年金基金・石炭鉱業年金基金・私立学校教職員共済のことです
iDeCoは老後資金としての積み立てという意味合いもあることから、原則60歳まで引き出せないという決まりになっており、運用益に対しては非課税となります。
さらに、NISAとの違いとして、掛金に対しても全額「所得控除」を受けることができ、最終的に給付を受けるときには「退職所得控除」の対象にもなります。
これらのことから、iDeCoは老後資金を賢く貯めていくことができ、運用が順調にいけば大きな利益も得られ、なおかつ税金の節約にもつながることから、貯金だけしている方は一度検討してみても良い制度といえます。
まとめ
ここまで、NISAとiDeCoについて解説してきました。
NISAは利益に対して非課税となり、iDeCoは利益だけでなく拠出した掛金に対しても所得控除を受けることができます。
また、NISAは2024年から新NISAが始まり、年間非課税枠が増額され、非課税期間も無期限となるなど、現行NISAより大幅に条件が良くなります。
まだ投資をしたことがない方でも、少額から始めることができるため、投資デビューをしたい方にも新NISAは良い投資方法といえるでしょう。
iDeCoについては、積み立て投資のみで、自動的に運用してくれるため、とくに自分で何かをする必要はありません。
簡単に老後資金に備えて投資をすることができ、様々な優遇措置を受けられます。
これらの違いを理解したうえで、投資を始めたい方は、自分に必要と感じる方から始めてみるといいでしょう。