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アイフルが店舗を全廃?消費者金融は今後どうなるか?について考察します

最近、消費者金融の大手であるアイフルが、全国の店舗をすべてなくすというニュースが話題になりましたね。街中で見かける店舗がなくなると聞いて、驚いた人も多いのではないでしょうか。

なぜアイフルは、思い切った決断をしたのでしょうか。実は、この背景には、私たちの暮らしと密接に関わる大きな変化があります。それは、スマートフォンの普及と、それによるお金の借り方や返済方法の変化です。

以前は店舗に行く必要がありましたが、今ではスマホひとつで全ての手続きができてしまいます。このような新しいサービスを提供するネット系の会社も増えてきており、消費者金融は大きな転換期を迎えているのです。

この記事では、アイフルが店舗を全廃する理由から、消費者金融の過去と現在、そして今後の未来について、分かりやすく解説していきます。

大手消費者金融「アイフル」が店舗全廃の決断

大手消費者金融のアイフルが、全国にある有人・無人店舗をすべてなくすという大胆な決断を下しました。この動きは、従来の消費者金融の構造を大きく変革するものであり、業界に大きな衝撃を与えています。日経新聞の報道によると、アイフルは約580カ所の店舗を2027年3月末までにゼロにする計画です。これは、主要な大手消費者金融の中で初めての試みとなります。(出典: 日本経済新聞「アイフルが店舗全廃、スマホ借り入れで客減少 メルカリやLINEも台頭」(2025年8月21日))

アイフル、無人契約ルーム店舗全廃の衝撃

アイフルには、契約ルームや無人契約でんわBOXがあり、無人契約でんわBOXは「てまいらず」という名称で知られていました。この契約ルーム等は、全国に約580カ所設置されていました。どちらのタイプも提供されるサービスに違いはなく、電話機やカード発券機、スキャナが備え付けられており、これらの無人店舗は、人目を気にせずお金を借りられるプライベートな空間として、多くの利用者に支持されていました。

しかし、アイフルはこれらの店舗をすべて閉鎖することを発表しました。

この決断は、店舗併設のATMを2024年1月31日をもってすでに廃止していることに続く、徹底したデジタルシフトの象徴と言えます。

店舗全廃の裏にある真の理由とは?

この決断の最も大きな理由は、コスト構造の抜本的な改革です。アイフルのIR情報によると、2027年3月期を最終年度とする中期経営計画において、3年間で50億円以上のコスト削減を目指すことを公表しています。この削減は、店舗の家賃や維持費、人件費といった固定費を大幅に減らすことで達成されます。アイフルは中期経営計画の初年度に、すでに150店舗以上の無人店舗を閉鎖しました。これは、事業の収益性を高めるための明確な戦略です。(アイフルグループ IR情報「中期経営計画」)

ただ、アイフルが店舗を全廃する背景には、単なるコスト削減を超えた、より深い理由があります。その一つが、利用者の行動様式の劇的な変化です。スマートフォンの普及により、誰もが簡単にオンラインで申し込みから借り入れ、返済までを済ませるようになりました。その結果、従来の店舗は集客力を失い、その役割を終えつつあります。

また、もう一つの重要な理由は、メルカリのようなネット系の新興勢力の台頭です。これらの企業は、実店舗を持たず、独自のデータやAIを活用した新しい金融サービスを提供しています。これは、駅前などに店舗を構えてきた従来の消費者金融のビジネスモデルにとって、大きな脅威となりました。

アイフルは、これらの新しい競合と戦うため、不採算な店舗という物理的なインフラを捨て、経営資源をデジタル領域に集中させるという大胆な構造改革を選んだのです。

この決断は、消費者金融業界がオンライン取引とモバイルファーストへと完全に転換する転機を迎えたことを示唆しています。


無人契約店舗の変遷と栄枯盛衰

アコムの「むじんくん」登場により無人店舗が誕生

1993年、消費者金融のアコムが業界に先駆けて無人契約機「むじんくん」を設置したことは、当時の貸金業界における革命的な出来事でした。

それまでの消費者金融は、対面でのやり取りが基本であり、お金を借りることに抵抗を感じる人も少なくありませんでした。しかし、「むじんくん」は、誰も顔を合わせることなく、プライバシーが守られた空間で契約手続きを完了できるという画期的な利便性を提供しました。

これにより、借り入れに対する心理的なハードルが大幅に下がったのです。その成功を見て、他社も追随し、武富士の「¥enむすび」、プロミスの「いらっしゃいまし〜ん」など、各社がユニークな名称の無人契約機を次々と導入しました。

この無人店舗の普及は、消費者金融をより身近な存在に変え、利用者の裾野を広げる大きな要因となりました。

有人店舗の減少と無人店舗の増加

2000年代に入ると、消費者金融は有人店舗を減らし、無人店舗を増やす戦略を本格的に展開しました。この動きは、収益性を高めるための重要な経営判断でした。

2001年にはピーク時で3,720店舗あった有人店舗は、2009年にはわずか571店舗にまで急激に減少しました。これはわずか8年間で、有人店舗が約7分の1にまで縮小したことを意味します。この数字は、消費者金融業界が人件費や賃料といった運営コストを削減し、経営効率を追求した結果を如実に示しています。

一方で、有人店舗が減っていく中で、無人店舗は数を増やしました。2007年の時点で、無人店舗は全国に1万1,310店舗も存在していました。この無人店舗は、人件費を抑えながらも、24時間いつでも利用できる利便性を提供し、顧客の多様なニーズに応える重要な役割を担っていました。特に、改正貸金業法の施行以降は、消費者金融の経営悪化から、リストラを繰り返してきたため、「無人店舗」が拡大に転じていたようです。

この時期、無人店舗は消費者金融の顔となり、主要な借入窓口としての地位を確立しました。ATMの併設も進み、契約から借り入れまでを一つの場所で完結できるワンストップサービスが普及しました。

2020年代以降、無人店舗やATM縮小の流れ

2020年代に入ると、消費者金融は物理的な店舗やATMを縮小する動きを加速させました。これは、スマートフォンの普及による消費者の行動変化と、各社の経営効率化が主な理由です。インターネット上で申し込みから契約、借り入れまでを完結できる「Web完結」サービスの台頭により、わざわざ店舗に足を運ぶ必要性が薄れたためです。

この流れは、各社の公表資料からも明らかです。業界全体がデジタルシフトへと舵を切る中、アイフルは2024年1月31日をもって、店舗に併設されていたATMサービスをすべて廃止しました。(アイフル株式会社「店舗併設ATMサービス終了(廃止)のお知らせ」(2023年12月1日))

他の大手消費者金融も同様の動きを見せています。例えば、アコムは2024年6月7日に、一部店舗のATMを廃止することを発表しました。(アコム株式会社「当社ATMの一部廃止について」(2024年6月7日))

こうした動きの中で、冒頭のアイフルの話に戻っていきます。アイフルでは、2027年3月末までにすべての有人・無人店舗をゼロにする計画を公表しています。

消費者金融業界は、かつての店舗中心のビジネスモデルから、デジタルチャネルを主軸とする新しい時代へと完全に移行しつつあるのです。


私たちが知っておくべき消費者金融の今後

アイフルとの契約や返済はどうしたらいい?

アイフルが店舗を全廃しても、契約や返済ができなくなるわけではないのでご安心ください。むしろ、この動きは、より便利でスマートな利用を促すものです。今後は、スマートフォンアプリやインターネットバンキング、コンビニや銀行のATMが、主な取引窓口となるだけです。

たとえば、アイフルのアプリを使えば、セブン銀行などの提携ATMで、カードがなくても取引ができるスマホATMのサービスを利用できます。もちろん、インターネットを通じて返済することも可能です。(アイフル株式会社「提携ATM一覧」)

また、新規申し込み時の本人確認も、Web上で完結できるようサービスが向上しています。店舗がなくなることで、いつでも、どこでも、誰にも知られることなく手続きができるようになります。

このデジタルへの移行は、利便性の向上という面で、私たちにとって大きなメリットをもたらすと言えるでしょう。

アコムやプロミスは今後どう動く?

アイフルが大胆な戦略で先行していますが、アコムやプロミスも同様のデジタルシフトを進めていくとみられています。アコムもすでに一部ATMの廃止を発表しており、物理的なインフラを縮小する動きは共通しています。

しかし、両社には「銀行系」という大きな強みがあります。

アコムは三菱UFJ銀行、プロミスは三井住友銀行のグループ企業です。このため、親会社が持つ強固なATMネットワークを活用することができます。アイフルのように自社店舗を完全にゼロにするのではなく、銀行のブランド力を借りて様々なサービスを提供したりする戦略を継続する可能性が考えられます。

これにより、オンラインとリアルの両方を活用したハイブリッドなサービスを展開していくと考えられます。

消費者にとってのメリット・デメリットは?

消費者金融業界のデジタル化は、私たち利用者にとってメリットとデメリットの両方をもたらします。

メリットは、やはり利便性の向上です。場所や時間を気にせずに手続きができるようになり、突然のお金の不足にもWeb完結で対応できるようになります。また、企業が店舗運営にかかるコストを削減できることで、サービスの向上や株主への配当なども行われるようになるかもしれません。

一方で、スマートフォンやオンライン操作に慣れていない方、あるいは複雑な事情を相談したいと考える方にとっては、不安を感じるかもしれません。しかし、多くの消費者金融は、電話やチャットでのサポート体制を強化していますので、大きな問題にはならないと思われます。(アイフル「お問い合わせ」)

急な金銭的な問題は誰にでも起こり得ます。この変化を理解し、オンラインサービスを上手に使いこなすことが、これからの消費者金融との付き合い方で重要になってくるでしょう。