FXで取引するうえで、チャートの見方や取引の仕方など覚えることが多岐にわたりますが、そのなかでとくに覚えるべきは「分析方法」です。
分析方法にはおもに「テクニカル分析」と「ファンダメンタルズ分析」の2種類があり、それぞれ非常に重要な役割を担っている分析方法になります。
テクニカル分析とは、「形成されているチャートの状況」や「ローソク足の形や並び」などを分析することで、今後のチャートの形を予測する際に使用する分析です。
一方、ファンダメンタルズ分析は、各国の経済情勢や金融政策などをもとに、今後の値動きを予測する分析方法です。
そこで本記事では、ファンダメンタルズ分析の方法や注目すべきポイントなどについて解説します。
FXのファンダメンタルズ分析とは?
「ファンダメンタルズ分析」とは、定期的に発表される経済指標などの結果を見て今後の相場を予測する分析方法のことをいいます。
ファンダメンタルズ分析は覚えるべき情報が多く、経済指標や政策金利などの様々な要素が通貨ペアにどのような影響を与えるかということも覚えなくてはいけません。
ファンダメンタルズ分析がとくに重要となるのは中長期でポジションを保有する場合で、国が今後どのような政策を打ち出すかなどを予測する必要があります。
ちなみに、ファンダメンタルズは「経済の基礎的条件」と日本語に訳すことができ、経済成長率・物価上昇率・財政支出などがあげられます。
さらに、その国の大統領や首相、中央銀行の総裁などの会見で重要なことが発表されることでも突発的な値動きが起こり、これを「要人発言」といいます。
この要人発言は、経済指標発表カレンダーなどで確認することができ、重要性の高い発表時には相場が急変する場合があるため、ポジションを保有している場合は注意が必要です。
とくに重要となる経済指標は以下のものがあげられます。
これらの発表時は相場が急変する場合があり、大きい場合は2円~3円ほど動く場合があります。
また、2022年には歴史的円安という状況を受けて数回にわたる円買いの為替介入を日本銀行が実行し、5円ほど動いた事実があります。
この結果、買いポジションを保有していた投資家が大損したという噂もあることから、取引を行う際は、ファンダメンタルズ要因での値動きには警戒しましょう。
テクニカル分析との違い
もう一方の分析方法である「テクニカル分析」は、基本的にチャートを見たうえで、値動きの習性に注目する分析方法です。
FXの相場は、過去と同じ値動きが起こりやすいと言われていることから、移動平均線やボリンジャーバンド、MACDやRSIといったインジケーターを活用して分析を行います。
相場の状況によっては、ファンダメンタルズ分析が優勢で、テクニカル分析がまったく機能しない場合があり、またその逆の状況もあることから両方をできることが理想です。
両方の分析方法に、それぞれ違ったメリットがあるため、初心者の間は覚えることが多くて大変ですが、覚えてしまえば抵抗なく分析できるようになるので、稼げるようになるためにまずはしっかりと基礎知識を身につけましょう。
ファンダメンタルズ分析の項目
ファンダメンタルズ分析を行う際は、以下の3つのデータに注目します。
経済指標
経済指標は、冒頭でも解説しましたが、世界各国の政府や中央銀行が集計・分析・発表しているデータのことをいいます。
経済指標のデータは、非常に通貨ペアの値動きと関連性が高く、経済指標が良いと通貨高となり、悪いと通貨安に繋がります。
そのため、多くの投資家や機関が注目しており、場合によっては相場が一瞬フリーズするくらいの大きな値動きが起こる場合があります。
過去に突発的な大きな値動きが起こったのが、2019年1月のアップルショックで500pipsも瞬間的に動きました。
瞬発的に影響を与える指標があれば、すぐに影響が出ない指標もありますが、中長目線では重要となる指標も多いです。
そのため、FX会社が提供している「経済指標カレンダー」と検索して、指標発表時間や重要性、前回値や今回予想などを確認しながら取引する習慣を身につけましょう。
金融政策
取引する通貨の金融政策も、経済指標と同じくらい重要です。
金融政策には、政策金利の利上げによって通貨高となり、利下げによって通貨安となることに繋がり、また利上げ幅が予測に反して小さい場合は通貨安になるといった特徴があります。
また、金融政策次第では、金利差分として得られるスワップポイントにも影響を与えるため、こちらも非常に多くの投資家から注目を集めています。
月に一度発表される「アメリカFOMC」や、「ユーロECB」、「イギリスBOE」といった金融政策を決定する機関の発表時は通常とは比較にならないくらいの値動きが起こるので、取引を行う際は注意しましょう。
要人発言
要人発言は、各国大統領や首相、中央銀行の総裁などの重要ポストの発言のことで、ファンダメンタルズ分析を行ううえで経済指標などと同じくらい重要となります。
とくに、会見や発表時などで喋る内容には速報性が高いことが多いため、比較的に発言結果が値動きに表れやすいのが特徴です。
たとえば、好条件の発表を行えば通貨高、悪条件の発表を行えば通貨安となります。
しかし、要人発言は相場に大きな影響を与えることを分かっていながら会見するため、発表内容を理解しにくいようにボカシて話すことが多いので、結果を理解するのが難しいことが多いです。
ファンダメンタルズ分析を行うときの注意点
ここまで、ファンダメンタルズ分析の重要なポイントについて解説してきましたが、取引を行ううえで以下の3点について注意する必要があります。
これらの点について解説します。
短期トレードには不向き
1つ目の注意点は、短期トレードには不向きという点です。
ファンダメンタルズ分析は経済情勢や金融政策など、今後の国の状況を左右する内容を分析する方法です。
重要性が高い指標発表など敏感に反応する指標もありますが、基本的には今後を予測するうえで活用すべきデータがほとんどです。
そのため、短期的にデータを見るのではなく、過去からの流れなどを把握したうえで、今後どのような動きになるか分析に織り込んで取引するようにしましょう。
分析したものの影響を与えない場合がある
2つ目は、分析したものの影響を与えない場合があるという点です。
ファンダメンタル分析を行ううえで、経済指標発表などを確認すると、日々何かしらの経済指標が発表されています。
そこで「指標が〇〇時間後に発表されるので、取引はやめておこう」と思って静観していたものの、発表時間になっても相場が動かないことはザラにあります。
こういったことは、「重要性の低い指標」や「想定通りの結果」であった場合に見られます。
過去に大きく動いた指標であっても、今回は動かなかったといっことがあるため、過去のことばかりを気にしすぎるのも良くありません。
そのため、指標発表の際は取引を避けるのではなく、予想外の結果となった場合に素早く判断できる状況にしておくことが大切です。
一歩間違えればギャンブルトレードになる
3つ目の注意点は、一歩間違えればギャンブルトレードになるという点です。
指標発表の中でもとくに大きく動くのがアメリカの雇用統計とFOMC政策金利発表です。
これらの発表予測が前回値を大きく上回っている場合は通貨高、下回っている場合は通貨安となる傾向があり、この習性を利用してギャンブルトレードを行う方がいます。
予想値通りに発表されれば大きな利益を得られる可能性がありますが、予想外の数値が出た場合は大きな損失に繋がります。
こういったギャンブルトレードは退場リスクを高めることに繋がるので、なるべくしないようにしましょう。
まとめ
ここまで、ファンダメンタルズ分析の特徴や注意点について解説してきました。
FX初心者の方には少し難しい内容だったかもしれませんが、取引するうえでは非常に重要です。
値動きが起こっている背景には必ず各国の経済情勢や要人発言が絡んでいます。
そのため、取引を行う際は少しずつでも良いので、ファンダメンタルズ分析の知識を高め、どの指標がどういう影響を与えているかを把握しましょう。
そうすることで、値動きの予測ができるようになり、取引で得られる利益の増加にも繋がるので、まずは毎日の指標発表のチェックから始めてみてください。