債務整理

債務整理は4年で終わる?短期間で債務整理を終わらせる方法についても解説

債務整理は、借金問題を解決し新たなスタートを切るための一つの方法ですが、その手続きにはさまざまな方法や期間があります。

中でも、「債務整理をなるべく短期間で終わらせる」という方法について関心を持っている方も多いことでしょう。

この記事では、債務整理に一般的にかかる期間を解説した後に、4年で債務整理を終了させるための具体的なステップや注意点について解説していきます。

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債務整理にかかる一般的な期間

任意整理の場合

任意整理は、借金の債権者と話し合って、利子を減らしたり、月々の返済額を軽減したりする計画を合意する手続きです。

要は「借りた元金の分は返済をするので、返済しやすい条件に変えてもらう」ということです。

任意整理にかかる一般的な期間は、手続きに必要な期間がおよそ半年から10か月程度、返済に充てる期間は債権者との合意によって変動しますが、一般的は3~5年程度になることが一般的です。

ただし、借入額や取引履歴によっては、期間を長くしたり、短くしたりするケースもありえます。

事例1

借入総額 200万円
返済期間 4年(48回払い)
返済原資 42000円

依頼費用の支払 およそ6か月程度 借入額が200万円の場合、返済原資が42000円準備できれば、4年で完済することが出来ます。

もっとも、弁護士や司法書士に依頼の費用を払うことを考えると、実際はもう少し長期での返済になると考えた方が現実的です。

事例2

借入総額 400万円
返済期間 4年(48回払い)
返済原資 84,000円

依頼費用の支払 およそ8か月程度 借入額が400万円の場合、返済原資が84000円準備できれば、4年で完済することが出来ます。

ただし、この金額を毎月コンスタントに準備できる人というのは少ないのが現実で、大半の人にとって経済的なメリットもありません。

そのため、返済期間を延ばして
返済期間 7年(84回払い)
返済原資 48000円

こような長期間の返済とした方が、毎月の支払額の負担が小さくなります。

任意整理の期間は、「返済原資がどこまで用意できるか」によって決まると言っても問題ないでしょう。

個人再生の場合

「個人再生」は、債務整理の一方式で、裁判所に申立を行い、借金額を大幅に削減したうえで、その残りを3年から5年の間に分割返済する手続きです。

個人再生は債務を減額することが可能ですが、借金を完全に免除するものではなく、返済を前提とした手続きです。

そのため、申し立てから認可までの期間や、返済期間が設けられています。

通常、個人再生にかかる期間は、申し立てから認可までに約1年かかり、再生計画が承認されるまでにさらに半年から1年ほどかかります。

そして、返済期間として通常3年が設定されます。

そのため、4年で個人再生を完了させるのは難しいことが多いと言えるでしょう。

自己破産の場合

自己破産は、自身の財産や資産を完全に整理してもなお、借金を返済できない状態であることを裁判所から認めてもらい、免責を得ることにより借金が免除され、支払いの責任が消滅する手続きです。

この手続きも個人再生と同様に、裁判所を通じて行われます。

自己破産手続きにかかる時間は、通常、申し立てからその後手続きが終了するまでに約半年から1年半かかります。

なぜ、半年から1年半とかなり開きのある機関になるかと言いますと個別のケースによって期間が異なるためです。

特に住宅を保有していたり、売ったら価値の付きそうな財産の整理が必要な場合には「管財事件」となり、この場合、裁判所が指名した弁護士が財産の処分手続きを行います。

管財事件が発生すると、自己破産の認可が財産の処分が完了するまで保留され、通常1年から1年半ほどかかることがあります。

一方、「同時廃止事件」(略して同廃事件)と呼ばれるケースでは、手元に財産がないため、管財事件には至らず、自己破産の開始決定と同時に免責が認められることとなります。

そのため、手続きは通常半年ほどで終了します。

債務整理が4年で終わるかはケースバイケース

以上が、債務整理に掛る一般的な期間のご紹介となります。

まとめると、

・任意整理の場合、手続き期間がおよそ半年から10か月程度、返済期間は債権者と合意した期間となる

・個人再生の場合、申し立てからおよそ半年から1年で返済を再開し、原則3年で返済を完了する

・自己破産の場合、申し立てからおよそ半年から1年半程度で手続きが終了する

となります。

今回のテーマである「債務整理を4年で終わらせる」という点に引き付けますと、以下のとおりになります。

・任意整理の場合、3年の分割返済の合意が出来れば、4年以内に手続きが終わる可能性が高い

・個人再生の場合、申し立てまでの期間を短くすれば、4年で終わる可能性が出てくるが、現実的には難しい

・自己破産の場合、スムーズに手続きが進めば4年以内に終わることが多いが、申し立てに至るまでの期間によっては、4年を越えるケースもある

債務整理が長引く理由とは

弁護士や司法書士に費用が払えていない

第一に、弁護士や司法書士に費用が払えていないため、手続きを進められないということが考えられます。

弁護士や司法書士が社会的に公正な立場になければならないというのは確かにそうなのですが、弁護士や司法書士に依頼をすれば、費用や報酬が発生します。

そして、債務整理に限らず、弁護士や司法書士の費用は前払いであることがほとんどです。

この費用の支払いが終わらないうちには、基本的には手続きを先に進めることはできません。

なぜなら、費用と返済が重なってしまっては、弁護士や司法書士としても費用を回収できない可能性があり、依頼者にとっても負担が増えるばかりになってしまうためです。

返済の元手が足りない

また、返済の元手が足りない場合も、債務整理が長期化する原因となります。

費用は原資の支払い能力を査定するという側面があります。

例えば、任意整理を4年で終わらせるためには、毎月40000円の返済が必要な人がいたとして、この人が費用は毎月10000円しか払えないとしたら、現実的には毎月40000円の返済は難しいと考えるのが普通でしょう。

この場合、副業やアルバイトをして収入を増やして返済原資を増やすか、手続きを任意整理や個人再生から自己破産へ切り替えるなど、手続きの変更を考える必要があると判断されることとなります。

結果、返済の元手が準備できるようになるまでなるべく期間を延ばして待つか、方針変更をするため時間がかかるようになります。

手続きが難航している

第三に手続きが難航している場合も、債務整理が長期化する原因になります。

・任意整理の和解交渉で、条件が整わない
・個人再生手続きで、再生計画が認可されなかった
・自己破産手続きで、財産が多くったため管財事件になった
・依頼者が音信不通になった

などの理由で、手続きを進められない状態になってしまうことがあるのです。

適切ではない債務整理の手段を取っている

自己破産や個人再生は、決して悪い手続きではありませんが、これらの手続きを進める際には自宅の売却や車の手放しといった犠牲が伴う場合があります。

そのため、本来であれば自己破産や個人再生が適切な場面でも、クライアントの希望により任意整理を選ぶことがよくあります。

ただし、借金の返済額が高額で、その返済に必要な資金を用意できない場合、任意整理は適切な手続きとは言えないことがあります。

そのため、無理に手続きを進めようとしてしまうことで、途中で手続きが頓挫し、結果として手続き期間が長引く可能性も考えられます。

債務整理を短期間で終わらせる方法はある?

では、債務整理を4年で終わらせるためにはどうすればいいのでしょうか。

ポイントは3つあります。

・費用をちゃんと支払う
・無理な任意整理をしようとしない
・弁護士や司法書士と相談をする

一つ一つ解説していきます。

費用をちゃんと支払う

「弁護士や司法書士に費用が払えていない」でもご案内の通り、債務整理を弁護士や司法書士に委託すると、手続きに伴う費用がかかります。

通常、これらの専門家に支払う報酬や初期費用は前払いが一般的で、支払額を分割することが多いです。

ですから、費用の支払い期間を短縮することにより、手続きを迅速に進めていくことが出来ます。

また、費用の支払額は、債務整理の一環として用意できる資金としても考慮され、迅速に積み立てを完了することが、任意整理の和解交渉や個人再生の返済テストに寄与する面もあるのです。

特に任意整理や個人再生の場合、借金を返す手続きをするのですから、なるべく多くの返済金を準備できるように生活を整えることが、結果として短期での債務整理の完了に繋がります。

無理な任意整理をしようとしない

そもそも、なぜ債務整理を速やかに終えて返済を完了したいか、その理由は何でしょうか?

家族のためなのか、借金問題から早く解放されたいからなのか、動機はさまざまです。

ただ、借金を返済する際に計画性を持つことは非常に重要です。

具体的に言えば、返済プランを組む際には、「この支払額なら、4年でも5年でも持続可能」という余裕を持つことが大切です。

特に任意整理の場合、返済期間を比較的柔軟に調整でき、返済元本が減少しやすく、返済が楽になることが多いです。

多くの場合、利息を0%にするか、大幅にカットすることもできるため、返済期間が4年であろうが8年であろうが、経済的なトータル損失は変わらないことがあります。

しかし、最初から「4年」と固執してしまい、余裕のない返済計画を立てると、急な出費や健康問題による休業、収入源の喪失などが発生した際に、返済が難しくなる可能性が高くなります。

さらに、債務額が大きい場合、無理に自己破産や個人再生などの法的整理を検討することで、短期間で手続きを終える方が得策なケースもあるでしょう。

適切な手続きを選ぶためにも弁護士や司法書士と相談をする

もちろん、自分の希望を明確にすることは重要であり、4年間の返済プランに取り組む決意は尊重されます。

しかし、無理をしてしまうことは長期的には良い結果を生みません。

したがって、最初から「4年で終える」と決めつけるのは望ましくありません。

何度も強調しますが、債務整理において肝要なのは、以下のポイントです。

・ニーズや目的を明確にすること
・現実的な手段を選択すること

これらをバランスよく考え、計画的に手続きを進めるためにも、弁護士や司法書士との相談がおすすめされます。

まとめ

債務整理の期間は、どの方法を選ぶかによって大きく変わります。

たとえば、任意整理は手続きが比較的早く終わりやすいですが、その後、返済の期間が必要になります。

一方、個人再生や自己破産は通常半年から2年以上かかることもあり、ケースによって期間が異なります。

債務整理が4年で終わるかどうかは、具体的な状況に依存します。

債務整理が長引く理由は、以下のことが考えられます。

・弁護士や司法書士に支払うお金が足りない
・返済の元手が不足している
・手続きが複雑で難しく時間かかっている
・適切でない債務整理の方法を選んでいる

債務整理を早く終わらせるためには、いくつかの方法があります。

まず、債務整理にかかる費用をちゃんと支払うことが必要です。

また、返済のお金を準備し、適切な債務整理方法を選び、無理に任意整理を進めないことが大切です。

そして、あなたにとって最適な方法を見つけるために、弁護士や司法書士といった専門家のアドバイスを受け、自分のお金の状況をよく把握したうえで、手続きを選択することが重要です。

  • 記事監修者
  • 弁護士 近藤 裕之
  • 翔躍法律事務所 所属
  • 第一東京弁護士会 所属
  • ※法律問題に関するテキスト監修に限る