現行のNISAは2023年で終了し、2024年以降は新NISAという新しい制度に移行することが決まっています。
現行NISAと新NISAでは制度が異なることから、切り替えの時期には何もしなくていいのか?と疑問に思う方も多いでしょう。
そこで本記事では、現行NISAと新NISAの切り替え時期に何をすべきかという点と注意点について解説します。
目次
新NISAに移行手続きは不要
2023年で終了する現行NISAと、2024年から始動する新NISAは、まったくの別ものとなるため、移行手続きは不要となります。
そもそも新NISAと現行NISAとは、以下のような違いがあります。
現行NISA
一般NISA | つみたてNISA | ジュニアNISA | |
制度開始 | 2014年1月 | 2018年1月 | 2016年1月 |
非課税期間 | 5年間 | 20年間 | 5年間 |
年間非課税枠 | 120万円 | 40万円 | 80万円 |
投資可能商品 | 上場株式・ETF・公募株式投信・REIT等 | 積立投資信託に対応した商品 | 一般NISAと同じ |
購入方法 | 通常に売買可能 | 積立投資のみ | 一般NISAと同じ |
払出制限 | なし | なし | 子供が18歳になるまで出金不可 |
備考 | つみたてNISAと併用不可 | 一般NISAと併用不可 | 2023年末で終了 |
新NISA
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
非課税期間 | 無期限 | 無期限 |
年間非課税枠 | 120万円 | 240万円 |
非課税保有限度額 | 1,800万円※成長投資枠と合算で上記金額 | 1,200万円※成長投資枠のみの場合 |
投資可能商品 | 積立投資信託に対応した商品 | 上場株式・ETF・公募株式投信・REIT等 |
購入方法 | 積立投資のみ | 通常に売買可能 |
対象年齢 | 18歳以上 | 18歳以上 |
備考 | 成長投資枠と併用可能 | つみたて投資枠と併用可能 |
上記の表から、現行NISAと新NISAで様々な点が変更されることがわかりますが、主な変更点としては以下の5点です。
・一般NISAは「成長投資枠」、つみたてNISAは「つみたて投資枠」という名称にそれぞれ変更される
・非課税期間が恒久化される(現行は一般NISAが5年間・つみたてNISAが20年間)
・年間非課税額が増額される(一般NISAが120万円から240万円・つみたてNISAが40万円から120万円)
・非課税限度保有額が増額される(一般NISAが600万円・つみたてNISAが800万円が新NISAは合計1,800万円)
・現行のジュニアNISAが廃止される
様々な部分で変更されますが、そもそも現行NISAと新NISAは別ものという扱いになるので、すでに運用しているものを新NISAに移行することができません。
そこで、つぎに移行できないという影響で、新NISAに切り変わるにあたってどのような点に注意すべきか解説します。
現行NISAから新NISAに切り替わるにあたっての注意点
現行NISAから新NISAに切り替わるにあたって、以下の3つの注意点があります。
・現行NISAは慌てて売却しなくていい
・ロールオーバーできない
・新NISA口座は自動的に開設される
これらの点についてそれぞれ解説します。
現行NISAは慌てて売却しなくていい
1つ目の注意点は、現行NISAは慌てて売却しなくていいという点です。
現行NISAと新NISAは別ものと解説しましたが、新NISAに切り替わるからと言って慌てて売却する必要はありません。
現行では、非課税期間が一般NISAが5年間、つみたてNISAが20年間と決められていますが、これらの期間は2024年移行も継続して運用することができます。
例えば、2023年からつみたてNISAを始めた場合は、2043年まで非課税で運用することができます。(新規での買い増しは不可)
そのため、現行NISAで運用しているものは、2024年に向けて売却するのではなく、非課税期間をフルに活用して運用することをおすすめします。
ロールオーバーできない
2つ目の注意点は、ロールオーバーできない点です。
現行では、一般NISAが5年間・つみたてNISAでは20年間非課税で運用でき、非課税期間終了後はロールオーバーして、継続して非課税運用することができました。
ロールオーバーすることで、「売却」か「課税口座に移管」という選択肢を避けることができ、長期で運用したい方には重宝されていた制度です。
しかし、現行NISAと新NISAはあくまで別ものという扱いとなるので、2024年以降に非課税期間が終了したあとはロールオーバーはできないと発表されているため、自動的に「売却」か「課税口座に移管」の2択から選ぶ必要があります。
そのため、現在NISAで運用している資産を、新NISAに移したいという場合、一度売却して現金化してから、新NISAで新たに同じ商品を購入して運用しなければいけないのでご注意ください。
また、現行NISAと新NISAでは投資対象となる商品が一部異なるため、同じ商品を購入できるかという点についても事前に確認が必要です。
新NISA口座は自動的に開設される
3つ目の注意点は、新NISA口座は自動的に開設されるという点です。
現行NISAの口座を保有している方は、自動的に新NISAの口座が開設されます。
NISA口座の開設手順としては、金融機関の口座を開設する際に、NISA口座を開設するという点にチェックを入れると簡単に開設されます。
また、金融機関や証券口座を持っているものの、NISA口座は持っていないという方でも、簡単な手続きで簡単に作成することができます。
しかし、現行NISAの口座をすでに保有している方であれば、新NISA口座を新たに開設しなくても、情報が引き継がれて自動的に開設されるのでご注意ください。
なお、現行NISAから新NISAに切り替わるにあたって金融機関を変更したい場合は、新たに手続きが必要となるので合わせてご注意ください。
新NISAを別の金融機関で始める場合
新NISAを別の金融機関で始めたい場合は、新たに別の金融機関でNISA口座を開設する必要があると解説しましたが、具体的な方法は以下の手順でおこないます。
1.現行NISAの口座を利用している金融機関で廃止手続きを行う
まずは、現行NISAを廃止する必要があります。
廃止方法としては「非課税口座廃止届出書」をもらって(もしくはダウンロード)、必要事項を記入のうえ、本人確認書類と合わせて提出すれば廃止手続きが完了となります。
あとは、「非課税口座廃止通知書」「管理勘定廃止通知書」などの書類が金融機関から届けば正式に廃止が完了となります。
2.新NISAを始めたい金融機関でNISA口座の開設手続きを行う
つぎに、利用したい金融機関でNISA口座を開設します。
金融機関でNISA口座の開設手続きを行うだけで手続き完了です。
手続きを行うにあたって、本人確認や勤務先などの情報も入力する必要があるので、情報に漏れがないように注意のうえ手続きを行ってください。
なお、金融機関を変更して新NISAを始める場合は2023年9月末までに手続きを行う必要があるので、変更しようと考えている方はお早めに手続きを行いましょう。
まとめ
ここまで新NISAの切り替えについて解説してきました。
2024年から新NISAが始まるにあたって、移行手続きは不要という点やその他の注意点はあるものの、慌てて何かをする必要がないことがわかりました。
NISAという同じ名称ではあるものの、扱いが別ものということもあり、どちらも併用して運用するなど、うまく活用していくことをおすすめします。
なお、新NISAを現行NISAと違う金融機関で始めたいという場合のみ、早めの切り替え手続きが必要となるため、変更したいと考えている方は早めに手続きを行ってください。