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債務整理

債務整理はいくらかかる?債務整理とお金の疑問を解説

お金

債務整理は借金問題解決につながる方法です。

ただし、返済を前提とする債務整理手続きでは、返済のお金はかかります。

また、弁護士や司法書士に依頼をして債務整理をする場合には、

その対価として報酬等のお金を支払わなければなりません。

本記事では、

  • 債務整理に掛かるお金について
  • 弁護士や司法書士に債務整理を依頼した場合の費用や報酬等
  • 裁判所に支払うべき費用が生じるケースはどのようなものか、その金額の相場

などをご紹介いたします。

債務整理にかかる お金とは?

まずは、債務整理に関係するお金はどのようなものがあるのかについて解説します。

債務整理に関係するお金には

  • ・債務整理後に、返済が必要になる場合は、借金返済の原資
  • ・弁護士や司法書士を代理人とした場合は、代理人への依頼費用や手数料
  • ・自己破産や個人再生をする場合に、裁判所に納める予納金や申し立て費用

の3種類が考えられます。

上記を一つずつ解説していきます。

(1)借金返済のためのお金

債務整理には、任意整理や個人再生、自己破産という手続きがあります。

このうち任意整理や個人再生は、借金の負担を軽減しつつ、債務を返済することが求められます。

つまり、債務者は返済計画を立て、減額された借金を一定の期間や金額で返済しなければなりません。

そのため、これらの手続では、借金の返済原資を準備する必要があります。

なお、自己破産をする場合には、返済が免除されます。

ですので、一定以上の価値ある財産がない場合は、返済を行う必要はありません。

(2)弁護士や司法書士への依頼費用や手数料

債務整理手続を行う際には、通常、弁護士や司法書士を代理人として委任し、手続きを進めます。

その際には、報酬や着手金、事務手数料などの支払いが必要です。

これらの費用は、債務者が手続きを進めるために欠かせないものです。

弁護士や司法書士にしはらう報酬には、

  • ①着手金
  • ②成功報酬
  • ③事務手数料

の三つが請求されることとなります。

なお、それぞれを分けることなく、ひとくくりに「依頼費用」と呼ぶことが多いです。

(3)裁判所に納めるお金

最後に、個人再生や自己破産の手続きを行う場合のケースです。

個人再生や自己破産の手続きは、裁判所を使う手続きです、

そのため、申し立てに際しては裁判所に申立費用を払わなければなりません。

また、自己破産には同時廃止事件と管財事件の2つの手続きがあります。

管財事件となる場合には、別途、費用が掛かる可能性があります。

債務整理にかかる お金の相場は?

(1)借金返済の原資になる お金

債務整理には、①任意整理、②個人再生、③自己破産の3つの手続きがあります。

任意整理や個人再生では、借金の一部を減らしつつ返済する必要があります。

一方で、自己破産では借金の返済が不要です。

ただし、自己破産では財産の一部を清算する必要があり、その分返済額が変わります。

一般的な傾向としては、任意整理では返済額が多くなり、個人再生では返済額が減ることが多いです。

これから、詳しく説明します。

①任意整理の場合

そもそも、任意整理とは何でしょうか。

任意整理とは、弁護士や司法書士が債権者と裁判外で交渉し、将来利息を削減、最低返済額を減額するなどして、返済条件を有利に変更する手続きのことです。

  • 債務整理の対象とする貸金業者を選べる
  • 裁判所に多数の書類を提出する必要がないため、比較的簡単に行える
  • 家族や保証人に影響を与えないで借金の整理が出来る

という手続きの柔軟性がメリットだと言えます。

一方で、減額できるのは将来利息や毎月の返済額が主です。

そのため、借金の元金の減額はできないことが多いです。

ですので、ほとんどの任意整理のケースでは、借金の元金は返済原資となるのです。

任意整理の具体例

Aさんはクレジットカード会社1社から、80万円の借金をしている

毎月の返済額が2万円、将来利息が14%付されている

これを任意整理をしないで返済するには、以下のようなシミュレーションが成り立ちます。

元金80万円
毎月返済額2万円
完済までの累計利息額28万円
返済総額108万円
返済期間55回(約5年)

これは、80万円の借金に対して、年利14%の利息が付くことにより、

累計28万円、合計で108万円を返済しなければならないということです。

任意整理を行った場合

これを任意整理するとどうなるのでしょうか?

元金80万円
毎月返済額1万4000円
完済までの累計利息額0円
返済総額80万円
返済期間58回(約5年)

任意整理を行うことにより、毎月返済額を減らしたうえで、利息を削減できます。

そのため、返済総額は80万円となりました。

このような特徴を持つことから、任意整理は「返済条件が良くなれば返済可能」という、

借金の初期段階の方が利用するべき手続きだと言えるでしょう。

②個人再生の場合

次に、個人再生とはどんな手続きでしょうか。

個人再生とは、借金の返済ができないことを裁判所に認めてもらうことで、借金の元金を減額してもらい、それを返済することで、残りの借金については返済を免除してもらえるという手続きです。

  • 住宅を手放す必要がない
  • 財産を手元に残したまま手続きが進められる

というメリットがある反面、一部の借金は返済をする必要があります。

個人再生の具体例

具体的に見ていきましょう。

Aさんは貸金業者等の3社から、300万円の借金をしている

毎月の返済額が6万円、将来利息が14%付されている

借金総額A社 80万円
B社 100万円
C社 120万円
合計 300万円
毎月返済額6万円
利息総額(年利12%で計算)約120万円
返済期間70回(約6年)
返済総額420万円
個人再生を行った場合

これを、個人再生を行い借金を減額出来た場合、以下のような返済プランになります。

なお、本シミュレーションは、申立人は価値のある財産を保有していないと仮定しています。

借金総額100万円
毎月返済額3.5万円程度
利息総額(年利12%で計算)0円
返済期間36回(3年)
返済総額100万円

個人再生では、任意整理ではできなかった借金の元金の大幅な減額が可能です。

ただし、減額された借金の元金の一部は返済が必要となります。

そのため、返済原資は支払う必要があります。

また、保有する財産が高額である場合などには、財産を手放す必要がない代わりに、

それに相当するお金は支払わなければなりません(清算価値保障原則)

これにより、借金の減額幅が小さくなるリスクがある点には注意が必要です

③自己破産の場合

自己破産とは、手持ちの財産、資産を清算しても借金が返済しきれないことを裁判所に認めてもらうことで、借金返済を免除してもらう手続きです。

自己破産手続では、裁判所が、返済不能であり、財産がないことを認める決定(これを免責許可と言います)が出されると、債務者は借金の返済義務が免除されることとなります。

そのため、返済原資を準備する必要はありません。

ただし、手持ちの財産に一定以上の価値(おおよそ20万円以上の物品が清算の対象となることが多い)がある場合には、それは売却、清算処分をする必要があります。

自己破産の具体例
Cさんは、貸金業者等5者から800万円の借金をしている
Cさんは、車や住宅を保有しており、総資産額は300万円である。
借金A社 80万円
B社 100万円
C社 120万円
D社 240万円
E社 260万円
合計 800万円
保有する財産持ち家(査定価値200万円)
車(査定価値 50万円)
預貯金(30万円)
保険(返戻金20万円の予定)

この場合、自己破産を申立、裁判所から免責が認められると、借金総額800万円の返済は免除されます。

そのため、返済原資を準備する必要はありません。

ただし、Cさんには300万円分の財産があります。

これらは売却処分により清算され、A~E社に平等に分配されることとなります。

ですので、実質的には300万円の返済が必要になると言えます。

なお、この売却清算処分は、裁判所の選任する管財人が行います。

ですので、ご自身で家の買い手を探したり、車を売ったりする必要はありません。

(2)弁護士や司法書士への依頼費用や手数料のお金

依頼の費用はいくつかの種類があります。

  • ①着手金
  • ②成功報酬
  • ③事務手数料

の3つに分類されます。

これを一くくりにして

「依頼費用」などと呼んだりすることが多いです。

依頼費用の設定は自由度が高く、弁護士・司法書士事務所が比較的自由に決めていいものとなります。

そのため、一般的な相場を決めることは難しい面があります。

また、①の着手金は無料、または低額とすることで、スタート段階のお金を小さく抑える一方で、②の成功報酬を高く設定し、トータルの金額は、他の事務所と大して変わらない場合もあります。

そのため、安いか高いかは「依頼費用の総額」で判断するべきだと言えるでしょう。

①着手金

着手金は、債務整理手続きをスタートする時に支払うお金です。

通常の場合は、依頼者が着手金を支払った後、弁護士や司法書士が活動を始めます。

ただし、債務整理の場合、分割での支払いが認められることがよくあります。

そのため、一部の支払いが行われた後に、弁護士が債務整理の手続きを始めることが多いです。

なお、着手金はあくまで、活動を始める代価です。

そのため、途中で契約を解除しても、債務整理が上手くいかなかった場合でも、

基本的には返金されません。

着手金の金額はどう決まる?

着手金の値段は、手続きによって異なります。

また、着手金の金額は自由度が高く、弁護士・司法書士事務所がある程度、自由に決めていいので、相場というものがあるわけではありません。

任意整理の場合、借金額が10万円以下の場合は1件につき2万円、20万円以下の場合1件につき3万円、というように、借金の元金によって着手金額が変わるということが多いです。

個人再生、自己破産の手続きの場合は、30~50万円程度の着手金が一般的です。

個人再生の場合は、住宅ローンの有無で金額を分けたり、自己破産の場合は、同時廃止事件であれば金額が少なめに設定されるなど、手続きによって変わる場合もあります。

また、着手金は0円、または少額に設定している事務所もあります。

ただし、このようなケースでは、成功報酬の金額が大きくなることが多いようです。

手続き内容着手金のおおよその相場
任意整理2万円~(1件につき 借金額によって変わる)
個人再生30~50万円程度(個人再生の内容によって変動する場合あり)
自己破産40~80万円程度(自己破産の内容によって変動する場合あり)

②成功報酬

成功報酬とは、文字通り、事件が成功した際に発生する費用です。

例えば、100万円の借金が80万円になった場合

20万円分減額したことに対して、報酬を払うということです。(減額報酬)

また、法定の利息を越えて、払いすぎた過払い金がある場合、

それを取り戻したことによる成功報酬が発生する場合もあります。(返還報酬)

減額報酬に関しては、「①着手金」の項目でも述べた通り、

弁護士事務所、司法書士事務所によって金額やパーセントが変わります。

一般論としては、「①着手金」の金額が大きい場合は成功報酬は金額を控えめにするか、2~4万円程度の定額としていることが多く、「①着手金」の金額が小さい場合は、カットできた利息や元金に対して10~20%の成功報酬が発生するというケースが多いようです。

一方、過払金を取り戻した場合の返還報酬は多くの事務所で20~25%、訴訟によって取り戻した場合は、25~30%と設定していることが多いです。

 成功報酬のおおよその相場
成功報酬(着手金が大きい場合)2~4万円程度(1件につき)
成功報酬(着手金が小さい場合)減額出来た借金の10~20%(1件につき)
過払い金返還報酬訴訟外:20~25%程度 訴訟による返還:25~30%程度

③事務手数料

事務手数料は、文字通り、事務に係る手数料です。

弁護士や司法書士に依頼をして、債務整理のために動いてもらう際には、様々な諸経費が掛かります。

例えば、貸金業者と交渉をする際には、相手の会社に対して通知等を送ることもあります。

ほかにも、依頼した弁護士、司法書士事務所に返済原資を預けて、事務所から各業者に対して代理送金をお願いする場合もあります。

その際に発生した通信料や切手代、振込手数料などを総称して事務手数料と言います。

事務手数料は、2000~4000円程度に設定されることが多いです。

また、代理送金の事務手数料を別に設定する場合は、1件につき1000~2000円程度に設定されることが多いです。

(3)裁判所に納めるお金

最後に裁判所に納める費用についてです。

裁判所を利用するためには、裁判所に納める手数料が発生します。

国民にサービスを提供するのが国の仕事なので、手数料を取られるのは少し違和感があるかもしれません。

ただ、公官庁である市役所でも、住民票を発行する際に手数料を取られます。

それと同じような感覚でしょうか。

そして、自己破産、個人再生の2種類の手続では、裁判所を通じて手続を行うので、弁護士や司法書士への報酬とは別に、裁判所に納めるお金が発生するのです。

①個人再生の場合

個人再生の手続きをする際には、申立費用として収入印紙1万円程度が必要です。

加えて、裁判所から債権者に通知する際に使用する切手代や個人再生の手続きに必要な官報公告のための費用などが、合計で約15,000円程度の予納金を支払う必要があります。

そのため、個人再生を申し立てる際には、25000円程度のお金がかかります。

加えて、再生委員が選任される場合があります。

これは、減額した借金の返済計画を申立人と一緒に作成するために、裁判所から選ばれる専門家です。

再生委員が任命されると、再生委員への報酬として、追加で10万円程度の報酬を裁判所に納める必要があります。

申立費用10000円程度(印紙)
予納金15000円程度
再生委員が選任された場合10万円程度

②自己破産の場合

自己破産の手続きは、同時廃止事件と、管財事件の2種類があります。

同時廃止事件は、

  • 「処分する財産がほとんどない」
  • 「免責を許可できない理由の調査が必要ない」

というような場合に、破産の開始と同時に終了が認められる事件です。

一方、

  • 「財産があり、処分が必要な場合」
  • 「不正な借り入れなどがあり、免責前に調査が必要」

と認められるようなケースでは、管財事件が選ばれます。

管財事件が選ばれる場合、破産管財人と呼ばれる、破産事件を管理する弁護士が、別に選任されることとなります。

この破産管財人に支払う報酬を、引継予納金と言います。

予納金には、申立手数料(収入印紙)、予納郵券(郵便切手)、官報公告費用(予納金)、引継予納金(破産管財人の報酬)などが含まれます。

【予納金の具体的な内訳(東京地方裁判所の例)】
申立手数料同時廃止・少額管財・通常管財(特別管財) すべてで一律1,500円
予納郵券同時廃止・少額管財・通常管財(特別管財) すべてで4,200円(大型合議事件の場合は6,000円)
官報公告費用同時廃止・少額管財・通常管財(特別管財)すべてで異なる 例えば同時廃止の場合は11,859円
引継予納金負債額に応じて異なり、5000万円以下であれば 50万円というように決定される
・引継予納金
負債額引継予納金
5000万円未満50万円
5000万円~1億円未満80万円
1億円~5億円未満150万円
5億円~10億円未満250万円
10億円~50億円未満400万円
50億円~100億円未満500万円
100億円以上700万円

【まとめ】 お金 を払ってでも債務整理で借金を減額した方が得なことが多い

ここまでの話をまとめます。

債務整理に関連する費用には、以下の3つです。

(1) 借金返済の原資

任意整理や個人再生などの債務整理手続きでは、借金を軽減しつつ返済する必要があります。返済計画を立て、減額された借金を一定期間や金額で返済します。自己破産の場合は財産がないのであれば返済は不要です。

(2) 弁護士や司法書士への依頼費用や手数料

債務整理手続きには弁護士や司法書士を代理人として委任し、報酬や着手金、事務手数料などを支払います。これらの費用は手続きを進めるために必要です。

(3) 裁判所に納める費用

個人再生や自己破産手続きでは裁判所にも費用を支払います。代理人や各社への返済の他に、裁判所にも費用を支払う必要があります。自己破産の場合、管財事件になると追加の費用がかかる可能性があります。

借金が多いなら、お金を払っても債務整理をする方がよい

これらの費用や報酬、予納金等を合わせると、合計で数十万円の金額を借金返済以外に支出しなければならないという可能性はあります。

そのため、ただでさえお金がないから借金をしている債務者にとっては、

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債務整理のお金や費用は、無駄

と思うかもしれません。

そして、追加の出費を嫌って債務整理そのものを諦めたり、弁護士や司法書士に依頼をするのを躊躇したりしてしまうかもしれません。

ですが、これらの費用を支払ってでも、債務整理をするメリットは大きいと言えます。

債務整理は法的な手続きであることから、専門知識が必要です。

また、債務整理を経験しているということはほとんどないことから、大半の人には未経験で不慣れでしょう。

この点、債務整理を得意とする弁護士や司法書士の場合は、法的知識、豊富な経験の面で優れていると言えます。

弁護士や司法書士に債務整理を依頼をするということは、自分にはない弁護士や司法書士の専門知識や数々の経験に対してお金を出すということです。

そして、それが結果として、借金問題の解決の近道となりえるのです。