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債務整理

借金600万円の自力返済は可能?それとも債務整理が必要?

お金の借入れを何度も繰り返していると、借金がどんどん膨らみ、気が付けば借金総額が600万円以上になることもあります。

600万円以上の借金を自力返済する場合、どのくらいの期間がかかるのか。
また、債務整理した場合にはどのくらい減額できるのか。

このように気になっていらっしゃる方が多いと思います。

この記事では、600万円の借金を自力返済することがどれだけ難しいのか、そして、債務整理をしていくべきだと考える理由を解説していきます。

借金600万円の返済はこんなに難しい

お金を何度も借りていくにつれて、借金がどんどんと増え、負債額が600万円以上になってしまうことは、あまり多くはありませんが、起こりうる問題です。
借金600万円というのは、年齢を考慮しないで算出された、サラリーマンの平均年収を大きく超える金額です。

こんな状況になったら、自分でお金を返して借金を完済しようとしても、何十年という時間がかかってしまい、その間に数百万円ものお金を利息として払うことになります。

しかし、責任感が強い人は「これは自分が借りたお金だから、自分で返すべき」と思って、他人に頼らずにお金を返そうとすることもあるかもしれません。
ただ、借金の問題を解決するためには、責任感よりも大切なのは、本当に返済できるかどうかです。

以下では、まず、毎月いくらのお金を返済を返済して、いつになったら借金を完済できるかを計算してみたいと思います。なお、本件のシミュレーションでは、多くの消費者金融やクレジットカードで設定されている最大の金利である14.7%を使って、計算しています。

月に65,000円の返済|全く借金は減らない

600万円の借金をしている場合、利息制限法では最大で金利15%までと決まっています。ほとんどの消費者金融や信販会社では、その法律で認められた金利よりも、ちょっとだけ低い金利でお金を貸していることが多いです。

お金の利息の計算方法は、借りたお金の額に金利をかけて、365日で割り、その月の日数で掛け算します。例えば、金利が14.7%で600万円の借金を返す場合、毎月の利息は元金6,000,000円に14.7%をかけて365で割り、その月の日数でかけることで計算されます。

その結果、毎月の利息は最大で73,500円になります。65000円の返済だと、この利息額には届かないので、返済を続けても借金が増えていくことになります。

元金6,000,000円
年利14.7%
返済額65,000円
返済期間一生
取られる利息の総額無限に膨らむ
支払総額(利息+元金)完済不能

借金を完済するには、毎月支払う利息以上のお金を返さないといけないのです。

月に75,000円の返済|借金は減るが、返済期間は長く利息額も膨大に

では、最大利息よりも高い75000円をずっと支払い続ける場合を考えてみましょう。この方法では元の借金と利息を全部返しているため、いつかは完済できる可能性があります。

ただ、気をつけなければならないことがあります。
75,000円を支払っているけれども、そのうちの73,500円は利息として取られるのです。したがって、元の借金に当たるのは、ほんの少しだけの1500円なります

もちろん、元の借金が少しずつ減ると、利息も次第に少なくなっていくでしょう。

そのため、一貫して73500円が引かれるわけではないのですが、元金に充当されるお金はさきほどいったように数千円しかありません。そのため元金があまり減少せず、利息もあまり減少していかないのです。

さらに悪いことに、このペースで支払いを続けても、借金を完済するにはなんと27年もかかってしまいます。そして、支払う利息の合計は1800万円にもなるのです。600万円の借金を返すために、2400万円も支払うなんておかしいと思うかもしれませんが、これが借金の落とし穴です。

そのため、ただ単に支払いを続けるだけでは、600万円の借金を返し終えるには非常に長い時間がかかってしまうことを考えておくべきです。

元金6,000,000円
年利14.7%
返済額75,000円
返済期間27年
取られる利息の総額18,000,000円
支払総額(利息+元金)24,000,000円

月に10万円の返済|完済にはつながるけれど返済を続けるには多額のお金が必要

では、支払うお金を大きく増やして、毎月10万円を返す場合はどうでしょうか。これなら、利息の額を遥かに越えるお金を支払うことになるので、元の借金のお金も大きく減ることになります。

その結果、以前の75000円の支払いよりも、半分ほどの期間で完済することができますし、利息の額も400万円ほどに減るでしょう。(もちろん、それでもまだたくさんのお金ですが)

ただし、この方法は「10年間、毎月10万円を支払い続けて、新たにお金を借りない」という条件が必要です。この条件を満たなければ、借金は減っていきません。

頑張って支払いをしていても、どうにも状況が改善しなくて再びお金を借りることになると、元の借金が増えてしまい、利息も増えてしまうことになるのです。

元金6,000,000円
年利14.7%
返済額100,000円
返済期間10年
取られる利息の総額4,900,000円
支払総額(利息+元金)10,900,000円

複数の会社からの借金の負のスパイラルに陥りがち

借金が増えるときには、いくつかの会社から多重でお金を借りていることが多いです。たくさんの会社からお金を借りると、「一つに返して、また別の所から借りる」という風に、どんどんお金を返すことが難しくなっていくことがよくあります。これが、お金を返すことが難しくなる負の連鎖です。

事例でもお話したように「新しくお金は借りない」という条件の下ででしか、借金を返せないと言いましたが、もしもいろんな会社からお金を借りている場合、借り入れを控えることは難しくなります。

そして、「B社からお金を借りて、A社にお金を返す」というように、お金を返すところと借りるところが絶えず入れ替わることで、お金を借りっぱなしの状態が続いてしまうことが往々にして多いのです。これを「自転車操業」と言います。

もちろん、これでは借金の総額が減るわけではなく、ただ別の会社に借金を変えているだけなので、全く意味がありません。それなのに、今月の返済はなんとかなったからと、返済ができているような錯覚を覚えてしまいます。

結果、元の借金が減らないのに、利息だけを払うことになる永遠の借金問題に巻き込まれることがあります。これが、終わらない借金の負の連鎖の結果なのです。

自力返済で借金600万円を続けても解決しづらい

まとめると、以下のようになります。

・借金を返すには、借りたお金(元金)だけでなく、その上で利息も支払う必要がある

・一般的な消費者金融やクレジットカード会社の年間利率は、法律で決まった最大利率15~20%よりも少し低めに設定されていることが多い

・借金を返し続けても、大部分が利息に充てられるため、完済がとても難しくなる

・借金の元金を減らすためには、新たにお金を借りることなく、多めに返済しなければならない

・新たにお金を借りてしまうと、借金がずっと減らない

借金600万円を解決するベストな解決策は「債務整理」

ここまで自力で借金600万円を返済するのがいかにむずかしいかを解説してきました。
では、自力で返済をすることが難しいのであれば、どのようにすれば借金問題を解決できるのでしょうか?

それは、債務整理という手段を使うことです。
債務整理とは、借金を減額したり、利息をなくしたりすることで、返済を簡単にしたり、そもそも支払いの義務を免除してもらうことのできる手続きです。

これをうまく利用することにより、借金問題を解決に近づくことが出来ます。
債務整理には「任意整理」「個人再生」「自己破産」という手段がありますので、1つずつ解説していきます。

任意整理を通じて返済プランを改善

「任意整理」とは、多額の借金に悩む方が、債権者(貸した側)と話し合い、借金を整理する手続きの一つです。こちらの方法では、返済プランを合意のもとに立てながら、利息の軽減や一部の借金の軽減を図ることができます。他の方法とは異なり、裁判所に出向く必要がないため、手続きが比較的簡便とされています。

任意整理の利点は、裁判所が介入しない点にあります。返済プランを柔軟に調整できるのが魅力ですが、そのためには債務者と債権者の合意が求められます。もし合意が成立しない場合は、別の債務整理手続きを考慮する必要が生じるかもしれません。

返済期間や返済額については、債権者との話し合いで決めます。通常、3年から5年の期間で返済するプランが多いですが、取引の履歴や条件によっては、5年を越える長期間を設けることも可能です。

返済額は、借金を返済期間で均等に割ったものです。例えば、600万円の借金で3年間返済する場合、1回の返済額は約16.7万円。5年間なら約10万円、7年間なら約7.2万円となります。

600万円の借金を任意整理した場合、以下のような返済プランになる可能性があります。

元金6,000,000円
利息0%
返済額7.2~16.7万(返済期間により変動)
返済期間3~7年程度
取られる利息の総額0円
返済総額6,000,000円

任意整理では、借金を整理するために元金を返さなければなりません。そのため、和解条件次第では、前に話した事例と比べても、多くの返済金を準備しなければいけない場合もあるかもしれません。

個人再生で月額4万円以下で完済を目指せる可能性あり

「個人再生」とは、借金が多くて返済が難しい状況にある人が、裁判所の手続きを通じて借金を減額して再建する方法です。自己破産とは違って、全部の借金をなくすのではなく、一部を減らして返しやすくすることをめざします。

具体的には、債務者(借金を抱える人)は裁判所に申し立てを行い、手続きを開始します。裁判所がその申し立てを認めると、債務者は債権者(借金を貸した人や会社)に対して借金を減額した返済計画を提案し、債権者がそれを認めた場合、裁判所に提出することが出来ます。そして、その計画が裁判所に承認されて、その通りに返済が進められます。

個人再生のいいところは、借金の元金そのものを減らせることです。これは、自分で返す計画を立てる任意整理とは大きく違うところです。
例えば、600万円の借金なら、最大で120万円まで減らせることがあります。

個人再生では、基本的に3年間で返済しますので、毎月の支払いは約3万3000円ほどになります。600万円の借金を個人再生した場合、以下のような返済プランになる可能性があります。

元金1,200,000円(6,000,000円の5分の1)
利息0%
返済額3.3万円
返済期間3年
取られる利息の総額0円
返済総額1,200,000円

自己破産で基本的に全額の支払いが免除される

「自己破産」とは、借金を返すのが難しい状況になった人が、車や家などの財産を処分して借金を清算することと引き換えに、裁判所に頼んで、残りの借金の支払を免除してもらう手続きです。

手元にある財産を処分さえすれば、借金が100万円だろうが、1000万円だろうが、支払いをしなくても済むという点で、債務整理の最終手段ともいえるでしょう。

もちろん、自己破産には注意が必要です。なぜなら、信用情報に「事故情報」という印がついてしまい、最長で10年間、新しくお金を借りることが難しくなる場合があるからです。そして、大切な家や車などの財産を持ち続けることができない可能性もあります。

ただ、借金をまったく返さなくて済むのは、とても魅力的なことです。自己破産は難しい決断かもしれませんが、同時に借金の負担を軽くする手段でもあるのです。

600万円の借金を自己破産した場合、以下のような返済プランとなります。

元金0円(処分、清算した財産の分配を除く)
利息0%
返済額0円
返済期間裁判所の許可が下りるまで
取られる利息の総額0円
返済総額0円(処分、清算した財産の分配を除く)

なお、自己破産の手続きの申し立てに際しては、裁判所に納める費用(最初に3万円程度、手続き次第では数十万円)の申し立て費用が掛かりますが、それを考えても、借金を免除してもらえるわけですから、十分プラスとなるでしょう。

また、何でもかんでも財産を処分、清算されると勘違いされるケースもあるようですが、「ある程度の価値のある財産」でないと、清算の対象とはなりません。
一例ですが、東京地方裁判所の運用では「財産価値が20万円を越えているか」を一つの目安として、処分対象としています。

借金600万円の債務整理はどの手続が適している?

借金額が600万円を越えている場合、自力で返済をするより債務整理をした方がよいということを、ここまで解説してきました。

では、どのように手続きを選ぶべきなのでしょうか。

任意整理では月に10万円以上の支払いが必要かも

上で述べたように、任意整理は元金を返す手続きであるため、600万円の返済のめどが立たないといけません。そして、返済年数によって返済金額が決まるため、むしろ返済額が上がってしまうリスクもあり得ます。

取引履歴によって条件が良くなる場合もありますが、やはり限界はあります。借金600万円のケースでは、最低でも10万円は見積もっておく必要があります。

そのため、目安として「最低でも返済額が10万円、5年間準備し続ける自信がない」と思ったのであれば、こちらの個人再生や自己破産といった手続きを選ぶ方が良いと考えるのがよいでしょう。

借金600万円を越える場合は個人再生や自己破産がおすすめ

これまでの説明で、借金600万円を任意整理した場合、毎月の返済額は最大で約16万円程度になることをご理解いただけたと思います。しかしながら、毎月10万円以上の返済は多くの人にとって難しいことかもしれません。

一般的には
「年収の3分の1を越える借金をしている人は、債務整理等を検討した方が良い」
「借入額が年収を越えているなら自己破産などの法的整理を考える方が良い」

などと言われています。

そのため、借入額が年収を越えているか、毎月の返済を続ける自信がないというのであれば、個人再生や自己破産を検討することをおすすめします。

個人再生の場合は、返済総額を最大で120万円程度まで減額でき、さらに、毎月の返済額を40000円以下に納めることが出来ます。

一方、借金600万円を自己破産した場合はどうなるのでしょうか。自己破産は、借金の返済義務がなくなります。つまり、自己破産を認められると、借金は0円になります。当然、支払いの義務はありません。(ただし、裁判所への申し立て費用を除く)

財産を保持したり、家族に内緒で返済を考えるなら任意整理も考える

もっとも、自己破産や個人再生をする場合、すべての借金を対象としなければならず、ローンが残っている車や自宅などを手放さなければならないというケースも考えられます。

個人再生の場合、住宅ローンが残っていても、住宅を手放さずに手続きを進められますが、自己破産の場合は、このような制度がないため、基本的には売却の対象となってしまいます。

また、自己破産や個人再生は、同居している家族の協力が必要となることがほとんどであり、借金があることを家族に内緒で進めたいと考えているのであれば、これらの方法は選ぶのが難しいでしょう。

このようなケースには、任意整理であれば対応可能です。
任意整理は、債務整理をする対象を選ぶことができるため「住宅ローンや車のローンを対象としないで、借金だけを任意整理する」といったことも可能です。

また、裁判所を通さない手続きであることから、準備する資料や書類などもほとんどありません。そのため、家族に借金があることがバレる可能性は非常に低いのです。

債務整理で借金問題に決着をつけよう!

どの手続を選ぶべきかを考えるうえで一番大事なのは、まずは「あなたがどうしたいか」です。

「自分はどんなメリットを得たいのか」
「絶対に避けたいデメリットは何なのか?」
「逆にこれは我慢できると思える不利益」

などを明確化してゆくことで、あなたにとって最もふさわしい手続きを選ぶことが出来るようになります。

任意整理、自己破産、個人再生といった手続きごとに差はありますが、いずれにせよ、自力で返済をするより圧倒的に返済を簡単にできるようになります。終わらないと思えた借金地獄に解決が見えてくるのです。

いつまでも、貸金業者やクレジットカード会社にとって美味しい「優良顧客」でいる必要はありません。債務整理で借金問題に決着をつけましょう。