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債務整理

債務整理とは?債務整理の種類や生活への影響について解説

借金の返済に終わりが見えず、どうすればいいのかわからない…

借金問題を解決させたいが、どんな手続をすればいいのかわからない…

このように、借金問題を解決したいと思っているのに、どうすればいいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。

借金の返済が苦しくなったときの解決法として、「債務整理」があります。

この記事でわかること💡

✓ 債務整理の主な3つの手続

✓ 債務整理による影響について

債務整理を利用する人は実際どのくらいいる?

任意整理は裁判所を通さない手続なので、正確な統計は取れていません。

しかし他の手続の総件数から計算をすると、債務整理を利用する人は年間で推定208万人以上いると考えられます。

令和3年度だけで見ても、下記のような数字になります。

任意整理推定2,000,000人
自己破産67,630人
個人再生12,691人
その他(特定調停など)ごく少数

このように、借金問題解決のために多くの方が債務整理を利用していますが、最も多く利用されているのは任意整理です。

任意整理は、裁判所を通さずに直接借入先との交渉を行うため、家族や会社に知られるリスクが低く、今までの生活をあまり変えることなく借金の負担を軽減できるのです。

返済が苦しいと感じる方は、債務整理を利用することも選択肢のひとつとして考えてみてください。

債務整理を検討するタイミング

借入状況や毎月の収入、生活環境は人それぞれ違います。

そのため、借金が何円以上になれば債務整理をするべきなどの基準はありません。

ですが、債務整理を検討するタイミングの目安は以下5つです。

借金を借金で返す自転車操業の状態
すでに3ヶ月以上滞納している
年収の3分の1以上の債務総額
返済をしてもなかなか残高が減らないと感じている
毎月の返済が苦しい

特に、返済ができておらず貸金業者からの督促を止めてほしいという方は、司法書士や弁護士へ債務整理の依頼をしましょう。

貸金業者と債務者の間に入ってもらうことができるので、督促が止まります。

また借金を放置していると、1日ごとに遅延損害金がつくため、借金の負担が増えてしまうことになります。

返済が負担に感じる方は、お早めに司法書士や弁護士へ相談しましょう。

債務整理をするには条件がある?

債務整理は誰でも利用することができますが、手続をするにはそれぞれの条件を満たしている必要があります。

<任意整理>

・3~5年の間で完済ができるくらいの安定した収入がある
・返済をする意思がある

<個人再生>

・住宅ローンを除いた債務総額が5000万円以下である
・将来的に継続した収入があり、再生計画通りの返済ができる

<自己破産>

・借金の返済が不可能な状態
・免責不許可事由にあてはまらない

<特定調停>

・金銭債務を負っている
・支払不能に陥る恐れがある

任意整理と個人再生は借金を減額し、完済を目指す制度なので、安定した収入があることが利用条件です。

一方で、自己破産は借金の返済が不可能な状態であることを条件としているため、無職・生活保護受給者・フリーター・主婦など安定した収入が無い方であっても手続が可能です。

債務整理とは

債務整理は借金を負担に感じている人が、返済金額の負担を少なくしたり、借金をなくすことができる手続きです。

債務整理で対応ができる借金の金額は無制限で、収入制限も特にないため、無職で収入が無い方であっても手続は可能です。

債務整理の種類は主に、任意整理個人再生自己破産特定調停があり、債務者の債務状況や家計状況に応じて最適な手続を選ぶことになります。

任意整理

司法書士や弁護士を代理人として、債権者と交渉を行います。

将来利息や延滞利息のカットを申し入れる事で、借金の返済負担を軽減することができます。

基本的に3~5年くらいの期間をかけて、分割で返済を行っていく内容で和解するケースが多いです。

減額できるのは利息部分で、過払金が発生していないかぎり、借金の元金部分は減額されることはありません。

そのため、借金の総額がそこまで大きくはない方に向いている手続と言えます。

最大のメリットとしては、裁判所を通さずに手続ができ、家族や勤務先に知られることなく進めることができます。

また、3ヶ月~半年程で和解締結まで終わるので、破産や再生に比べて、手続自体は比較的短期間で済みます。

任意整理は、あくまで任意の交渉となるので、利息のカットや月額の減額が必ずしもできるというわけではありません。

ほとんどの貸金業者が応じてくれますが、まれに交渉に応じない貸金業者も存在します。

個人再生

個人再生に向いているのは、借金が多額で、任意整理での解決は難しいがマイホームは残したいという方です。

個人再生は、住宅ローンを返済中のマイホームを手放すことなく、住宅ローン以外の借金を大幅に減額できます。

住宅ローンを除く借金総額が5,000万円以下であれば行うことができて、住宅ローン以外の借金額を5分の1~最大10分の1まで圧縮する事ができるのです。

任意整理と違うのは、裁判所を通した手続である事と、官報に氏名等が掲載される事です。

また、住宅ローン以外の借金全部が手続の対象となるため、保証人付きの債務があると保証人へ請求がいきます。

裁判所へ提出する必要書類も多いので、同居の家族にバレないように手続を進めることは難しいです。

自己破産

自己破産も個人再生と同じく裁判所を通す手続で、簡単に言うと借金をゼロにすることができる手続きです。

借金の支払が不能になった方が、裁判所の指定する必要な書類を揃えて、裁判所へ申立を行います。

裁判所に返済不能な状況だという事実を認めてもらえることができれば、借金の返済義務を免除してもらえるのです。

ただし、借金を無くすことができる分、自分の財産を残すことも基本的にはできません。

高価な財産を所有している場合、お金に換えて債権者へ配当されます。

また、借金すべてを手続に入れなければならないので、家族や勤務先からの借入がある場合はそれも含めて手続することになります。

そして、個人再生と同様に、官報に氏名などが掲載されますし、同居の家族にバレないように手続を進めることは難しいです。

また、自己破産の申立の際は職業制限があるので、生命保険募集員や警備員などに就けません。

特定調停

返済が苦しくなった債務者が、必要な書類を揃えて簡易裁判所に申し立てを行い、債権者(消費者金融やカード会社)と返済条件を良くするための話し合いをする仲裁をしてもらうための手続です。

債権者と話し合いをするという点では任意整理と少し似ているのですが、裁判所を通すことによって、和解が成立しやすくなるようになる特徴があります。

しかし、全ての債権者が特定調停に協力的なわけではないため、債権者によっては失敗に終わってしまうこともあります。

そのため、特定調停を利用するケースは多くはありません。

また、裁判所への申立に必要な書類の作成や、裁判所とのやり取り、裁判所への出廷などを全て自分で行わなければならないので任意整理よりも手間がかかります。

過払金請求と債務整理の関係

借金問題の解決方法として、過払金請求を思い浮かべるひとも多いでしょう。

過払金は、過去に高い金利でキャッシング取引をしていた場合に発生しており、消費者金融やカード会社に対して払いすぎた利息のことを言います。

その払い過ぎた利息の返還を求めることを過払金請求と言います。

債務整理と過払金請求は異なる手続ですが、債務整理の過程の中で過払金請求をして、債務の返済に充てることもあるので、債務整理の一環と言えるケースも少なくありません。

過払金返還請求ができる条件

✓ 2010年6月18日より前に契約した
✓ 利息制限法の上限を超えた金利での借入があった
✓ 最終完済日から10年以内である
✓ 請求先となる貸金業者が現在も存在している

過払金請求をする権利は完済した日から10年で時効になり、過払金請求ができなくなります。

上記の4つの条件が揃っている方は、時効を迎える前に、お早めに司法書士や弁護士へ相談することをおすすめします。

債務整理による日常生活への影響

債務整理では、借金の減額または免除ができるというメリットが受けられる反面、いくつかのデメリットも受ける事になります。

ただ、債務整理はあくまで借金の返済に追われる生活を終えて、人生の新たな一歩を踏み出すための救済制度です。

債務整理をすると必ずしも財産がなくなる・家族に知られるというわけではありません。

マイナスのイメージを払拭するために、それぞれの影響について解説します。

クレジットカードやローンが利用できない

債務整理をした事は信用情報機関に事故情報(異動情報)として一定期間登録されます。

事故情報が登録されている5~10年程の間は、基本的にクレジットカードの新規作成や利用、またはローンの新規契約ができません。

お金に困ったらときは借金をすればいいと思っている方だと、借入ができなくなることに不安はあるかもしれません。

しかし、それだと借金が増えていくばかりです。

債務整理をすれば返済額を下げることができる場合がほとんどです。

そのため、返済の負担が減った部分で少しずつ貯蓄をし、お金が必要になったときには貯蓄で補う生活に変えていくことができます。

また、ネットでの決済のためにカードを持っておきたい場合は、デビットカードやプリペイドカードを利用すると良いでしょう。

家や車などの財産を手放すことになるケースがある

債務整理はしたいが、住宅や自動車は可能な限り置いておきたいものです。

住宅や自動車を手放すことになるかどうかは債務整理の方法によって変わります。

多くの人が利用している任意整理では、手続をする債権者を選択できるため、ローンが残っている家や車は手続に含めずに、他の借金のみ手続をして減額することができます。

そのため、住宅や自動車を残せるケースが多いです。

個人再生の場合は、すでにローンの支払が終わっている状態なら、どちらも維持する事ができますが、ローン返済中の自動車は引き揚げられてしまうこともあります。

自己破産については、生活に最低限必要な財産は残すことができますが、土地や建物などはローンの残高に関わらず全て手放すことになります。

家族や会社にバレるリスクは?

家族や勤務先に債務整理の事実を知られたくないと考えている人は多いと思います。

まず、債務整理の中で家族や職場に知られにくい方法は「任意整理」です。

任意整理は債務者と債権者(貸金業者等)が直接交渉をする手続なので、裁判所を通さない方法となります。

自己破産と個人再生は、裁判所へ提出する書類が多く、また家計全体の収入を報告しなければならないため、家族の給与明細や通帳が必要になるケースもあるのです。

また、勤務先から発行してもらう書類も必要になることがあるので、債務整理をすることを知られる可能性があります。

どの手続をする場合も、司法書士や弁護士に依頼をすることで、貸金業者とのやり取りなどは全て任せることができるので、自身で対応するよりも周囲に知られるリスクは減ります。

就職・転職などの仕事や結婚に影響は?

債務整理をすることで、今後の仕事や結婚に影響があるのではないかと心配している方もいるかもしれません。

しかし、結論から言うと、債務整理が仕事や結婚に影響することはほとんどありません。

まず、仕事への影響についてですが、債務整理は賞罰ではないので、履歴書に記入する必要もなく、面接で申告する義務も一切ありません。

公務員や金融機関の採用時には、信用情報を調査される可能性も考えられますが、債務整理をしていたことを理由に、企業側が解雇や内定取消をすることは原則として認められていないため、不安に思う必要はありません。

次に結婚に対する影響ですが、債務整理をしたからと言って結婚が制限されることはありません。

債務整理についての情報は戸籍や住民票に記載されることもないので、結婚相手に知られることも基本的にはあり得ません。

しかし、信用情報機関に事故情報(異動情報)が登録されている期間内だとローンの契約などができないため、住宅や自動車の購入時にローンが組めないことによる不信感を持たれる可能性はあります。

  • 記事監修者
  • 弁護士 近藤 裕之
  • 翔躍法律事務所 所属
  • 第一東京弁護士会 所属
  • ※法律問題に関するテキスト監修に限る