債務整理をして、生活の立て直しを始めたものの、急な出費や物価高騰で、手元に現金が足りなくなってしまった・・・
そんな悩みにぶつかるひとも多いのではないでしょうか。
どうしても冠婚葬祭での出費や、家族のライフイベント、事故や病気など、避けられない出費はありますよね。
さらに、社会問題レベルの物価高騰で、食費や消耗品、光熱費も上がっているので、債務整理を始めた頃よりも月々の出費が上がり、生活が再び苦しくなってしまうという声を多く聞くようになりました。
「またお金を借りないと生活できないかも」
「債務整理中でもお金は借りられるのかな」
ここでは、そんな債務整理中のお金の悩みと疑問について解説していきます。対応策についても説明するので、参考にしてみてください。
債務整理中でもお金は借りられる?

結論からいえば、「債務整理の種類による」ということになります。
「任意整理」の場合は、借りられることもある
「個人再生」の場合は、とても難しい
「自己破産」の場合は、ほぼ不可能
しかし、基本的には、債務整理中の借金はできないと考えておいた方がいいでしょう。
やむを得ず、新たな借金をする場合を想定して説明します。
債務整理中の借入ができるところ
①社会福祉協議会
社会福祉協議会は、各市区町村に設置された非営利団体です。
生活が困窮していて、消費者金融などから借りることができない状態の方を対象に、行政と連携をとりながら貸付を行っています。
社会福祉協議会では生活費や賃貸物件の契約時の敷金礼金なども含め、数種類の貸付制度があります。
厚生労働省のホームページに貸付金制度の一覧があるので参考にしてみてください。
申請から貸付を受けられるまで時間がかかることがあるので確認が必要です。
②保険契約者貸付
積立型の保険を契約していれば、「保険契約者貸付」で借入が可能です。
保険契約者貸付とは、満期になったときに、積立額が返済される保険商品の積立額を担保にした貸付です。
金利は保険会社によって違いますが、低金利であることがほとんどで、返済方法も柔軟に対応してもらえるので保険会社に申し込み方法も含め、問い合わせてみるといいでしょう。
③家族の名義で借りてもらう
債務整理はその手続きをした本人のみに影響がありますが、家族には影響はありません。(保証人になっている場合を除く)
家族の名義であれば、各種金融機関で借入を行うことができます。
④公的な融資や手当
前述した社会福祉協議会の貸付制度以外にも、各市町村で受けられる貸付制度や給付金などがある場合があります。
お住まいの地域の市役所などに相談してみるといいでしょう。
⑤中小消費者金融
債務整理中であっても、事前に相談することで、収入に合わせた貸付を行ってくれる会社も存在します。
大手ではない、いわゆる街金です。
債務整理の事実に関わらず、属性(勤務先、勤務年数、年収など)によって審査を通すなど、独自の審査基準があることが多く、借入ができる可能性があります。
しかし、中小消費者金融はヤミ金と区別がつきにくいという難点があります。
申し込みをする前に、貸金業登録番号を確認し、貸金業登録がされているかの確認を、必ず行うようにしましょう。
⑥善意銀行
ボランティアの寄付金から成り立つ「善意銀行」というものがあります。
地域によって借入可能額は前後しますが、10万円以下の借入ができる可能性があります。
生活するお金がないことを担当者に懇々と伝えるといいでしょう。
「都道府県名」「善意銀行」で検索すると情報を得ることができます。
債務整理中の借金はリスクが多い

債務整理中にも、借入ができる可能性が残っていることがわかりましたが、債務整理をしている、した後の借入は、思いもよらぬ問題が起きるリスクがあります。
危険な借入
①債務整理中に貸してくれる業者は金利や取立てに問題あり
そもそも、債務整理をしている人に貸付を行うということは、通常の考えではリスクのある行為です。
それでも貸付を行うということは、高利で貸付けて利益を得たり、回収する手段を持っていたりするのです。
違法スレスレの厳しい取り立てがあることは覚悟をしておいた方がいいかもしれません。
②ヤミ金の闇
生活ができず、冷静な判断ができないまま、ヤミ金で借入をしてしまう人も、あとを絶ちません。
貸金業登録をせずに違法に個人融資を行う彼らは、お金に困っている人の心理を利用し、「救済」するかのような言葉でお金を貸せることを強調します。
しかし、いざ借入をし、少しでも返済が遅れると、恐喝まがいの取り立てが始まります。
また、そもそもが違法行為なので、そのヤミ金が摘発されると、取引のあった口座を凍結する可能性があり、ある日突然、銀行の口座が使用できなくなるリスクもあるのです。
ヤミ金しか借りられない状況になったとしても、借りない選択をした方が賢明といえます。
③SNSを駆使した違法融資
最近では、ヤミ金の一つの種類として、新しい手口での違法個人融資が横行しています。
TwitterやLINE、InstagramなどのSNSを使い、「お困りの方、救済します」などと宣伝し、借入希望者を募り、個人融資を行うのです。
はじめは、あたかも親切に相談にのっているかのように優しく接してくるので、信用し、つい借入を申し入れてしまう事案が急増しています。
詳細な個人情報を聞き出したり、「友達だから」と写真を送るように求めたりすることもあり、それらを担保に「実家や会社に取り立てにいく」「ネットに写真をバラまく」など、恐喝めいた取り立てをしてくるのが特徴です。
借金がさらに増えるだけではなく、犯罪に巻き込まれる危険もあるので、個人融資での借入はやめておいたほうがいいでしょう。
新たな借入が債務整理に与える影響
新たに借り入れをすることで、債務整理自体にも影響が出てきてしまうので注意が必要です。
①借金が増え、債務整理した業者の返済が難しくなる
そもそも返済が難しくなり、生活が苦しくなってしまったことで債務整理をしている人がほとんどだと思います。
そのような状態で、新たな借入をして借金の額が増えると、債務整理をしているにもかかわらず、返済額が増えて、さらに生活が苦しくなり、結果的に債務整理をした業者への返済額の捻出が難しくなるという状況に陥ってしまう危険があります。
②滞納すると債務整理が水の泡になる
任意整理の場合は、返済が滞ってしまうと、和解自体が破棄され、遅延損害金のついた総額の一括返済の請求をされることがあります。
個人再生の場合は、その計画が取消となるので、強制執行されるリスクもあり、そこまでの努力が水の泡になってしまいます。
③債務整理の手続きが中断されることもある
債務整理中の借入の事実により、依頼している弁護士、司法書士から手続きの解除をされてしまう可能性もあります。
債務整理は、借金の問題を解決して、その人の生活を立て直していくための手続きです。
そんな債務整理の最中に、新しく借金を増やす行為は、依頼をした本人に改善する気持ち、意向がないと判断され、委任関係の解除をされてしまうということです。
どうしてもお金が必要な時に考えること

現実的に、新たな借入はしない方が賢明だとわかっても、どうしても現金が必要というときもあるかもしれません。
そんな時にまず考えてみてほしいことをいくつか紹介していきます。
収入を増やす
①すきまバイトのアプリを活用する
ここ数年、空いた時間にアルバイトが可能になるアプリが増えてきています。
職種としては、倉庫や夜間のコンビニ、スーパーの品出しなどが多いようです。
派遣登録制の日払い、週払いのアルバイトよりも気軽に始められることから登録者が増えています。
しかし、難点は地方や郊外には紹介求人数がまだ少ないことです。
地域のアルバイト情報サイトなどで、空いた時間にできる副業を探し、収入を増やすことが一番の解決法です。
②怪しい副業にご用心
副業にもいろいろあり、上記のように地道に倉庫やコンビニで収入を得るものや、クラウドワークスやランサーズなどのクラウドソーシング経由でのライティングやデータ入力など、パソコンとネット環境があれば自宅で収入を得られるものもあります。
しかし、その「自宅で簡単にできる仕事がいいな」「1日2時間くらいしか副業に割けない」という心理を利用した、怪しい副業も増えています。
インターネットの広告で「スマホ副業」「1日1時間で月収20万円」など、あたかも簡単に高収入を得られるような文言を使っているものは要注意です。
情報商材を売りつけてきたり、登録料やサポート料金などの名目で、高額な金銭を要求してきたりするだけでなく、支払えないのなら、借入をしてくるように指示をしてくるなど、悪質な業者が横行しています。
副業を探すときには用心して探すようにしましょう。
③不用品やブランド品を売る
自宅にある、使っていない貴金属やブランド品、家電などを売ってお金にすることもひとつの方法です。
リサイクルショップに持ち込んだり、フリマアプリに出品したりが主な手段です。
生活保護を申請する
最後の砦が行政です。
市町村や家族構成で金額は異なりますが、生活するのに最低限の金額を受給できる制度。
生活保護費を借金返済に充てることは認められておらず、債務整理中に生活保護を受給する場合には、注意が必要!
生活保護を受給したい場合は、任意整理や個人再生をしているのであれば、自己破産に方針を変更することになるでしょう。
生活保護は誰でも受けられるわけではない
生活保護を受給するには、厳しい条件がいくつかあります。
不正受給者が続出したことにより、審査条件や審査が厳しくなっているので、本当に困っている人でも時間がかかったり、審査に通らなかったりと、思うようにいかないこともあります。
お住まいの地域の福祉課などで詳細を相談してみてください。
債務整理後、いつから借入できる?

債務整理をしていると、借入をするのが難しいということはわかったけれど、いったいいつから借りられるようになるのでしょうか?
「債務整理中」とはいつからいつまで?
そもそも「債務整理中」とはどの時期のことをいうのでしょうか。
「債務整理中」とは、弁護士や司法書士に依頼をしてから、借金を完済するまでの期間を指しています。
債務整理は任意整理でも3~6ヶ月、個人再生や自己破産の場合は1年以上かかることがあります。
その後、任意整理、個人再生は返済が始まります。
任意整理は3~5年、個人再生は基本的には3年で完済できる返済計画を立てるので、債務整理自体は3年半~6年くらいかかると思っておいた方がいいでしょう。
事故情報はいつまで残るのか
完済後、最低でも5年間は個人信用情報に債務整理の履歴が残ります。
信用情報機関には、借入先の属性により3種類あり、それぞれ情報の残る期間が異なりますが、情報は共有されているため、5年~最長10年間(自己破産の場合は、免責されてから)は、事故情報が残ります。
債務整理中~後に気になること

債務整理中、完済後に気になることの代表的なものについて解説していきます。
クレジットカードの審査
前述の通り、債務整理を始めると、個人信用機関に債務整理の情報が載るため、新たにクレジットカードを作ろうと思っても、審査には通りません。
完済後も、個人信用情報機関の債務整理の履歴があるうちは基本的には難しいでしょう。
カード会社によって、新規カードの審査基準は違うため、完済後に早めに審査が通る会社もあれば、なかなか通らない会社もあります。
スマートフォン端末の分割払い
スマートフォンの紛失や故障などで機種変更が必要になることもあるでしょう。
スマートフォンの端末は高価なので、分割で購入をしたいと思うところですが、債務整理中は、分割購入ができない可能性が高いです。
スマートフォンの分割購入も審査があるので、個人信用情報機関の履歴の影響が出てしまいます。
絶対に審査に落ちてしまうとは限りませんが、中古の安価なものを一括で購入したり、購入することに備えて毎月少しずつ貯金をしたりすることをおすすめします。
アパートは借りられるのか
個人信用情報機関に履歴が残ってしまい、アパートなどの入居審査に通らないのではと心配に思うひとも多いと思います。
入居審査に通らないとすると、賃貸保証会社に信販系の保証会社がついている場合です。
信販系というのはクレジットカードの会社を指します。
信販系の賃貸保証会社は、審査時、金融機関同様に、個人信用情報機関を確認するので、審査に通らない可能性があります。
賃貸保証会社は賃貸情報サイトの詳細や、不動産仲介業者でのパンフレットなどで確認ができるので、信販系の保証会社のついていない物件であれば、問題なく契約は可能です。
まずは弁護士や司法書士に相談しよう

債務整理中、完済後に借入の検討が必要な状況に陥ることは、誰にでも起こりうることです。
不安な状態が続くと、正常な判断ができなくなってしまいます。
自己判断で借入をして、さらに生活が苦しくなることを避けるために、弁護士や司法書士に相談をして、解決方法のアドバイスを求めることをおすすめします。