債務整理

免責審尋とは?聞かれる内容と受けるときの注意点について解説!

自己破産を申し立てると、裁判所から呼び出しを受け、「免責審尋(めんせきしんじん)」に出席することになります。

これは、裁判官から直接、破産に至った理由や状況について質問され、債務の返済義務を免除しても問題ないかを判断するための重要な手続きです。つまり、自己破産の手続き中に、本当に借金をゼロにしていいのか、裁判所が判断するための手続きが「免責審尋(めんせきしんじん)」ということです。

免責審尋では、破産者本人が裁判所に出頭し、聞かれた質問に誠実に答える必要があります。手続きの種類によって扱いが異なるため、事前の準備と理解が欠かせません。また、新型コロナウイルスの影響で一時的に免責審尋が行われない裁判所もありましたが、現在は多くの裁判所で再開されています。免責審尋の結果は、自己破産手続きの行方を左右する重大な意味を持っているのです。

免責審尋によって、自己破産できるかどうかが決められるため破産者にとっては大切な手続きとなります。

この記事では、免責審尋の内容や注意点について詳しく解説いたします。自己破産を検討している方は、ぜひご参考にしてください。

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免責審尋(めんせきしんじん)とは

免責審尋は裁判所からの調査や質問のこと

免責審尋(めんせきしんじん)とは、自己破産の申立人が裁判官によって行われる調査や質問です。

自己破産で免責を受けるためには、弁護士や債権者だけの判断ではなく、裁判官が申立人の借金の返済義務を免除しても良いか否かを判断します。

裁判所が申立人の免責を認めるかどうか判断するために免責審尋を行い、破産理由などを調査します。

破産者本人が期日に裁判所へ出頭しなければいけない

免責審尋は裁判所内で行われるため、免責審尋の期日に、破産者本人が裁判所へ出頭し、質疑応答に答えます。

自己破産をするための重要な手続きとはいえ、裁判所に出頭と聞くと気が重いと感じるかもしれませんが、免責審尋自体は司法書士や弁護士といった専門家が同行することが出来ます。

質問内容もある程度は決まっているため、期日前に専門家と一緒に返答内容を考えておくとよいでしょう。

免責審尋の扱いは自己破産手続きによって異なる

自己破産の手続きは「同時廃止」と「管財事件」の2種類があり、どちらの手続きとなるかによって免責審尋の扱いが異なります。

どちらで手続きをするかは自分で選ぶことはできず、自己破産の内容や手続きを取る時の財産の所有状況などから判断することになります。

自己破産手続きによって、免責審尋の対策が異なるため事前にチェックしておきましょう。

なお、自己破産手続きとはどのようなものかについては、以下の記事をご参照ください。

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①同時廃止の場合

同時廃止は、破産者は財産がなく、失業や生活苦といったやむを得ない事情により、自己破産を行う場合に多い手続きです。破産は債務者の財産を換価する手続きのため、財産がなければ行うことがありません。そのため、債務者に財産がないことが明らかであれば、破産手続が開始すると「同時に」手続きが「廃止(終了)」されます。

同時廃止が決まった場合は、財産の精算などを行わず、免責手続きに移ります。そして、破産者の破産理由や申立て内容に変更がないか、自己破産が認められない理由(免責不許可事由)がないか調査するために、免責審尋が開かれ、裁判所が直接破産者に事情聴取します。

なお、差押えになる財産や、差押えにならない自由財産については、以下の記事を参照してください。

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②管財事件の場合

管財事件は、破産者が一定の財産を持っている場合や持っている疑いがある場合、また借金の借り方が不誠実だった場合に多い手続きです。

具体的には、以下の内容の場合は管財事件に該当することが多いです。

  • 財産額が20万円以上
  • 借金額が高額である(目安は1,000万円以上)
  • 法人の代表や個人事業主
  • ギャンブルが原因の借金など、免責不許可事由に関する調査が必要

管財事件になった場合は、破産管財人の選定が必要になり、その分手続きも複雑となります。

免責審尋が行われる前に、破産者の財産や配当についての報告を行ったり、債権者の意見を聴取するために債権者集会が行われます。債権者集会を終えなければ、免責審尋を行うことが出来ないため、管財事件は同時廃止よりも時間がかかります。

免責審尋自体は、同時廃止と同様に裁判官より破産者へ破産理由や申立て内容の確認を行います。また、免責不許可事由についても質疑応答がなされるため、反省の色を見せるように誠意を持って対応する必要があります。

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新型コロナウイルス等の影響により免責審尋がないケースもある

新型コロナウイルスの影響によって、免責審尋を行わない裁判所もあります。

もっとも、新型コロナウイルスも5類感染症に移行された為、免責審尋が復活しているケースは多いです。裁判所によっては免責審尋や債権者集会がない場合、延期にする場合もあります。

このように、一部例外として、免責審尋がない場合がありますが、原則は自己破産を選択するのであれば免責審尋を避けて通ることは出来ません。

免責審尋のポイント・注意点は?

服装や持ち物など準備するもの

服装について特に指定はないですが、免責許可を決める為の大切な場ということもあるので、TPOに沿った服装を心がけましょう。

アクセサリーや時計などの華美な装飾やカジュアルな服装は避けた方が無難です。Tシャツやサンダルだからといって免責許可が降りないということは考えにくいのですが、印象が良くないのは確かです。

服装に迷った場合は、ジャケットやブラウスなどのオフィスカジュアルのような服装が好ましいです。女性の方はヒールの高さにも注意しておきましょう。

また、裁判所によっては事前に出頭カードを配布しているので、出頭カードを持っている場合は全て記載しておきましょう。

その他には、裁判所から届いた呼出状や身分証明書、認め印を持っておくと安心です。

もし、弁護士や司法書士に依頼せずに手続きを進めた方は、裁判所に提出した書類も必ず持って行きましょう。

免責審尋での質問内容は?

免責審尋では、裁判官に悪い印象を与えないために、免責審尋で裁判官からされる質問については、事前にその内容を把握しておくのがよいでしょう。

免責審尋での質問内容は、主に以下の項目を聞かれることが多いです。

  • 本籍地、住所、氏名といった破産者に関する基本事項の確認
  • 提出した書類に間違いがないか
  • 破産に至る理由について
  • 破産に至った原因や破産したことに対してどう思っているか
  • 破産制度に対しての理解

ギャンブルや浪費などが原因で自己破産する場合は、心底反省しているかどうかも許可が降りるかどうかの判断材料となります。例え、騙されてしまい作ってしまった借金だとしても、真摯に対応するようにしましょう。

また、自己破産をするにあたって、破産申立てに至った事情を記載した「陳述書」を作成する必要があります。

この陳述書と免責審尋での回答が異なる場合、裁判官に指摘される可能性が高いです。必ず本当のことを書くようにしましょう。

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あらかじめ返答内容を考えておくのがベスト

免責審尋で聞かれる内容はほとんど決まっているため、あらかじめ弁護士と一緒に返答内容を考えておくようにしましょう。

ここで、申立書類の内容と回答内容が食い違っている場合や、反省のない態度や言動を取ってしまった場合は破産手続きが取れなくなる可能性もあります。

実際のところはをつかずに、しっかりと真面目な返答をしていれば、免責審尋が原因となって破産許可が降りないケースはほとんどありません。

新たなスタートのチャンスを不意にしないためにも、期日までに準備をしておきましょう。

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免責審尋には必ず出席しなければならない!

免責審尋は、決められた期日に地方裁判所内にて行われます。

平日に行われることが多いので、仕事をしている方は休みを取っておきましょう。

当然ですが、遅刻は絶対に許されないので注意が必要です。遅刻をしてしまうと、裁判官に与える印象が大変悪くなってしまい、免責許可の判断に不利に働いてしまう可能性があります。

また、無断欠席をした場合も同様に免責許可が降りない可能性があります。

万が一、事故や感染症にかかったりして、どうしても行けなくなってしまったら必ず依頼した弁護士や司法書士に連絡をしましょう。

免責審尋~免責決定までの流れは?

免責審尋の当日の流れ

免責審尋自体の所要時間は10分〜15分程度です。

免責審尋が行われる前に受付の時間があるため、裁判所にはぎりぎりの時間に行くのではなく、早めの行動を心がけましょう。

公共交通機関(電車やバス)で向かう場合は、万が一、遅延しても慌てることがないように当日は時間に余裕を持っておくことが大切です。

ここで到着時間を過ぎてしまうとパニックになってしまい、免責審尋のために準備している回答が飛んでしまう可能性もあります。

聞かれたことをしっかりと答えられるように、落ち着いて行動できるようにしましょう。

免責審尋後の流れ

免責許可が降りるかどうかは免責審尋のみで判断される事はなく、提出した資料や管財人からの報告も含めて、総合的に判断されます。

その為、免責審尋が終わってすぐに結論が分かるわけではなく、1週間程度で免責許可か不許可の決定が通知されます。

裁判所によって、免責決定までの期間に差があるので、結果が来るまで待ちましょう。

問題なければ裁判所からの免責許可決定

免責が決定したかどうかは、破産者に書面で通知します。弁護士や司法書士に依頼して自己破産の手続きを行った場合は、担当した弁護士や司法書士が免責決定正本を受領します。

免責許可決定から約2週間後に、官報に免責されたことが公告されます。官報の破産者の欄に自分の名前が載りますので、自分の目で確認してしっかりと借金について反省しましょう。

官報に自分の名前が載った翌日から約2週間後、免責許可決定が正式に確定となります。

これで自己破産の手続きが全て終了となり、借金の苦しみから解放されます。

まとめ

免責審尋とは?

  • 免責審尋(めんせきしんじん)は、自己破産の申立人が裁判官によって行われる調査や質問
  • 自己破産で免責を受けるために、裁判官が申立人の借金の返済義務を免除しても良いか判断するための手続き
  • 破産者本人が裁判所へ出頭し、質疑応答に答える必要がある
  • 自己破産手続きの種類(同時廃止、管財事件)によって免責審尋の扱いが異なる

免責審尋が必要な場面

  • 自己破産を申し立てた際に、原則として免責審尋は避けられない手続き
  • 新型コロナウイルス等の影響で一部の裁判所では免責審尋がない場合もあるが、現在は多くの裁判所で復活している

免責審尋のポイント

  • TPOに合った服装や身だしなみを心がける
  • 裁判所から届いた書類や身分証明書等の持ち物を確認
  • 破産者の基本事項、破産に至る理由、破産制度への理解等の質問内容を事前に把握し、回答を準備
  • 申立書類の内容と回答が食い違わないよう注意
  • 反省の態度を示すことが重要
  • 期日には必ず出席し、遅刻や欠席は厳禁

免責審尋後の流れ

  • 免責審尋は10〜15分程度
  • 免責許可の判断は、免責審尋のみではなく提出資料等を総合的に判断
  • 約1週間後に免責許可・不許可の決定通知
  • 許可の場合、約2週間後に官報に掲載され、さらに2週間後に正式に免責決定が確定

免責審尋など自己破産手続きに不安があるなら弁護士に相談を

免責審尋は自己破産手続きの重要な関門です。手続きを適切に進めるためにも、経験豊富な弁護士に相談し、サポートを受けることをおすすめします。一人で不安を抱え込まずに、専門家に頼ることで、再スタートへ一歩踏み出せるはずです。

  • 記事監修者
  • 弁護士 近藤 裕之
  • 翔躍法律事務所 所属
  • 第一東京弁護士会 所属
  • ※法律問題に関するテキスト監修に限る