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債務整理

うつ病で借金を返済できない時は?対処法を解説

借金をしていたが、うつ病になってしまい、借金を返済できなくなってしまった…💦

このような状況でお困りではありませんか?

または、うつ病で働けなくなったことで借金をせざるを得なくなってしまったが、返済の目途が立たない、という人もいるかもしれません。

この記事でわかること💡

こんな時、借金はどうなる?
✅今後の生活のために何をしたらいいのか?

うつ病を理由に借金が免除されることはない 

結論から申し上げると、うつ病やその他の病気、もしくは怪我を理由に借金の返済義務が免除されることは、基本的にはありません。

貸金業法にそのような規定はなく、貸金業者側からすれば、借入をした人が病気や怪我をしたからといって借金を免除する義務がないので、返済は変わらず求められることになります。

しかし、うつ病になると、働くことが難しくなってしまったり、病院にかかる費用がかさんだり、場合によっては入院をしなければならなくなったりして、収入が以前より減少することが考えられます。

そうなると、以前と同じペースで返済をすることが難しくなり、借金が滞ってしまうこともありえます。

それでは、借金の返済が滞ってしまった、または滞りそうな場合、一体どうしたらいいのでしょうか。

うつ病で借金が返済できない時の対処法 

うつ病により、借金の返済が難しくなった場合の対処法について、順に説明していきます。

無理に働こうとしない

借金を返済するために、すぐにでも働いてお金を稼がなければと思っている人もいるかもしれません。

しかし、うつ病の状態で無理に働こうとすることはお勧めできません。

一概には言えませんが、うつ病の発症原因の一つはストレスだと言われています。

借金の返済のため、もしくはその他の理由でお金が必要だとしても、そのために無理をして仕事に行くことは、ストレスを増加させ、うつ病の症状が治まるのを妨げる、症状を悪化させる可能性があります。

現在休職中の人はもちろん、医師により休職を勧められている人についても、働くことよりまずはうつ病を治療する、自分の心身を大事にすることを第一に考えましょう。

無理に働いてうつ病を悪化させてしまうと、復帰までに時間がかかり、かえって借金を返済するのが遅くなってしまいます。

利用できる制度

生活費や医療費に関しては、条件を満たしている場合は公的な支援制度を利用することもできます。

主な制度としては、以下の通りです。

傷病手当金

怪我や病気によって連続3日とそれ以上仕事を休まざるを得なくなり、収入がなくなった場合に利用できます。

支給の対象になるのは、4日目以降の休んだ日であり、この期間に手当を超える額の支給を得た場合は支給されません。

障害年金

病気や怪我などの理由で、日常生活や仕事に支障が出るほどの障害が認められた場合に受給できます。

1~3級の障害程度と認められ、一定の年金を納付していることが受給条件となります。

労災保険

うつ病の原因が仕事や勤務先にあり、労災である認定された場合に補償を受けることができます。

失業保険

うつ病により退職した場合に、一定の条件を満たせば受給できます。

ただし、就職先さえあればすぐに働けるという状態の人が対象になるので、うつ病の状態によっては受給資格を満たさない可能性もあります。

自立支援医療制度

精神疾患の治療のために通院している人に対し、通常は3割負担である医療費が1割負担になる制度です。

生活保護

上記のような支援を利用しても生活が困窮しているという場合には、生活保護を受給することができます。

生活保護は、国民の健康的で文化的な最低限度の生活を送ることができるという権利を保障するために存在している制度です。

生活に困っているのであれば、躊躇わず利用を検討しましょう。

債務整理手続きをする

うつ病の時に無理に働くべきではないという話をしましたが、借金が滞ると、貸金業者から督促の連絡が来るため、早く返済しなければと焦ってしまう、追い詰められてしまうことがあります。

こういったことでストレスを溜めてしまうのは、うつ病の治癒を妨げるどころか、悪化させる要因にもなり得ます。

借金の返済ができない、もしくはできなくなりそうな時は、債務整理手続きをするのも有効な手段です。

債務整理手続きというのは、借金をしている相手との交渉、もしくは裁判所に申し立てることにより、今抱えている借金を減額する、またはなくすことができる手続きです。

月々の返済額が減れば、支出が減るので当然生活も楽になる上、返済に追われるというストレスもなくなります。

債務整理手続きとは

それでは、債務整理手続きについて詳しく解説します。

債務整理手続きは、3つの手続きに分かれています。

任意整理

任意整理は、貸金業者や金融機関など、借金をしている相手と交渉し、借金を減額してもらう手続きです。

任意整理で減額が認められるのは、主に借金の利息分です。

任意整理においては、減額に応じるかどうかは相手方の意思に委ねられています。

相手方としては、減額に一切応じないで自己破産等に移行されると、貸し付けた元本も含めて1円も回収ができなくなる可能性があるので、そうなるよりは元本分だけでも回収できた方が良いと判断されるケースが多く、たいていは減額に応じてもらえます。

その代わり、元本の部分まで減額されることは基本的にはありません。

返済期間が長く借金の利息分が膨らんでいる場合、月々の返済額さえ下がれば生活が楽になるという場合は、この手続きを選ぶべきと言えます。

反対に、利息分のカットのみではまだ返済に余裕がないという人に関しては、後述する個人再生や自己破産を検討した方が良いと思われます。

任意整理のメリットは、個人再生や自己破産よりも比較的手続きが簡単な点と、手続きをする借金を選べる点が挙げられます。

連帯保証人のいる借金、担保のある借金、支払いの残っているローンなど、手続きをすると自身や周囲の財産に影響を及ぼすような借金については、手続きをしないでおくこともできるということです。

個人再生

個人再生は、今ある借金をその総額に応じて減額した上で、残額を分割払いで返済するという内容の再生計画案を作成し、それが裁判所に認められることで、借金の一部の返済を免除してもらうという手続きです。

減額できる額は借金の総額によって変わりますが、例えば500万円以内の借金は100万円になり、1500万円以内の借金は5分の1になるといったように、任意整理と比べると借り入れた元本分も含めた大幅な減額が可能になります。

裁判所での手続きになるため、裁判所に提出する書面の作成や資料集め、出廷を必要とすることがあるなど、手続きは複雑になりますが、弁護士や司法書士に依頼をすれば問題はありません。

また、裁判所で手続きを行うと、官報と呼ばれる国が発行している新聞のようなものに手続きの内容が掲載されます。

これは国が国の行った法的な手続きを公表するためにあるものなので、誰もが閲覧することが可能ではありますが、仕事で官報をチェックしているなどの事情がある人でない限りは、一般的に官報を見ている人はそう多くはありません。

つまり、官報に掲載されたことで家族や知人に手続きをしたことを知られるかと言うと、必ずしもそうではないということになります。

任意整理との違いとしてもう一つあるのが、全ての借金が手続きの対象となり、選ぶことはできないということです。

連帯保証人のいる借金がある場合は、事前に手続きをすることを話し、理解を得ておくことが重要です。

担保や、ローンで購入してまだ完済していない品物についても、引き上げられることになるので事前に把握しておきましょう。

ただし、個人再生の場合、住宅ローンに関しては住宅資金特別条項というものの適用が認められることがあります。

これは、申立人の今後の生活に住宅があることが重要だと判断された場合に適用されます。

住宅ローンだけは手続き前と変わらず返済する必要がありますが、代わりに自宅を引き上げられることがないので、これまで通りに住み続けることができます。

無事に手続きが終わった後は、再生計画通りに返済を終えれば、減額された分の借金の返済義務はなくなります。

途中で返済が滞ってしまった場合は、減額された分の借金も元に戻り、手続きをやり直すことになってしまうので、注意する必要があります。

自己破産

自己破産は、裁判所に申し立て、免責の許可を得ることにより、借金の返済義務を免除してもらう手続きです。

免責の許可が下りると、税金、罰金、婚姻費用、養育費など、非免責債権と呼ばれている特殊な支払いを除いて、全ての借金の支払い義務が免除されます。

任意整理や個人再生のように借金が減るのではなく、なくなるという形になります。

メリットが非常に大きい代わりに、手続きは複雑になり、制約も多くなります。

制約として大きいのは、現金や財産の処分です。

現金は99万円を超えて所持することはできず、超える分は処分されます。

財産についても、評価額が20万円を超えるものは所有することができません。

これらの財産は適切な処分をされて換金され、それぞれの借金の債権者に配当されることになります。

また、手続き中は一部の職業の就業、資格に制限があります。

例えば、生命保険募集人及び損害保険代理店の資格を有している人、要するに保険会社で営業の仕事をしている人は、手続きをしている間については資格が制限されるため、就業に影響が出ます。

他にも、警備員、旅行業者、建築業などについても、就業に影響が出ることがあります。

これらは、手続き中の制限に留まるため、手続きが終了した後に復帰することが可能です。

そして、これは個人再生と同じですが、裁判所での手続きになるため、官報に手続きの内容が掲載されることになります。

個人再生の項目でも述べた通り、官報に掲載されたからといって必ず手続きのことが周囲に知られるわけではありませんが、自己破産の場合は現金や財産の処分があるので、家族に手続きを知られずに終えることは非常に難しいと言えます。

逆に、今後の生活のためにも家族との協力は重要なので、手続き前に家族とも話し合っておくことが望ましいと思われます。

このように、任意整理や個人再生より厳しい条件がありますが、手続きが終わり免責の許可が下りれば、借金の返済義務はなくなり、生活は大幅に楽になるはずです。

任意整理や個人再生をしても返済に充てるお金を捻出するのが難しく、生活の立て直しを図ることができないという場合は、自己破産を検討するべきです。

債務整理手続きの進め方

それでは、債務整理手続きをしたい、するかどうか検討したいという時の進め方を紹介します。

弁護士・司法書士に依頼する

債務整理手続きは法的な知識を必要とする手続きです。

そのため、手続きをするのであれば弁護士・司法書士の専門家に依頼することをお勧めします。

自己判断で手続きを進めてしまうと、思わぬ事態を招き、期待していたものと違う結果に終わってしまうこともありえます。

弁護士・司法書士に依頼すれば、相手会社との交渉や、裁判所へ提出する書類の作成、提出など、手続きのほとんどを代理して行ってもらえます。

既に借金を滞納しており、業者から督促の連絡が来ているような場合でも、弁護士・司法書士から相手に連絡をすることにより、それ以降の督促の連絡を止めることができます。

督促の連絡は、電話はもちろん、書面で来るだけでもストレスを感じる要因になるので、これがなくなるのはかなりのメリットがあります。

手続きをするべきか迷っている、手続きはしたいと思っているが任意整理手続きをするべきなのか、個人再生や自己破産の手続きをするべきなのか分からないという状況であっても、専門家に相談をすれば適切なアドバイスをもらえるはずです。

特に、債務整理手続きが業務の中心となっている、債務整理手続きを得意としている弁護士や司法書士の事務所は、債務整理手続きに関する無料相談を行っていることが多いです。

電話やメールなどで気軽に相談できるところもあるので、一度連絡してみましょう。

  • 記事監修者
  • 弁護士 近藤 裕之
  • 翔躍法律事務所 所属
  • 第一東京弁護士会 所属
  • ※法律問題に関するテキスト監修に限る