借金問題は、多くの方が抱える厄介な問題ですが、適切なサポートを受けることで前向きな解決が可能です。
その際に大事になるのが、依頼をする事務所の選び方ですが、
多くの弁護士・司法書士事務所があり、どう選べばいいかわからない…
費用の安さだけで事務所を選んで失敗してしまった…
といった声を聞くことも多くあります。
事務所選びでは、「あなたの目的やニーズに適うか」が重要なポイントとなります。
そこで今回は、債務整理で失敗しないための弁護士・司法書士事務所の選び方を費用相場を踏まえながらご紹介していきます。
ニーズを満たす最適な事務所を選び、適切なサポートを受けながら債務整理の道を歩んでいきましょう。
弁護士・司法書士事務所を選ぶ前に知っておきたいこと
債務整理とは
弁護士・司法書士事務所を選ぶ前に、まずは債務整理とはどんな手続きで、どんなメリット、デメリットがあるのかを確認しておきましょう。
借金のことを法律的には債務といいますが、それを整理する手続きだから『債務整理』といいます。
具体的には、債権者と合意することで、借金を支払いやすい環境を整えたり、借金そのものを減額したりする手続きです。
債務整理でよく取られるのは、次の3種類の手続です。
・弁護士や司法書士を通じて債権者との交渉が行われ、返済計画が立てられる「任意整理」
・住宅を手元に残したまま、借金を減らせる「個人再生」
また、ほかにも「過払金請求」や「時効」「ヤミ金対応」なども弁護士・司法書士の取り扱合いができる業務です。
任意整理
任意整理とは、借金の将来利息をカットし元金だけの分割払いとする契約です。
裁判所を利用しない手続きであることが、破産や個人再生との大きな違いです。
任意整理のメリットは、利息が全額、または大部分がカットになり、元金のみを支払うことができるようになるということです。
例えば、消費者金融A社から100万円の借金をしている場合、年間の利息は最大で15%も取られてしまいます。
ですから、毎月の返済の大半が利息に当たり、全く元金が減っていないという人もいます。
任意整理では、この利息をなくすことで、返済がしやすい環境を整えることができます。
また、返済計画は3~5年間の分割支払であることが多いため、毎月の支払額が下がることも多いです。
ほかにも、事件処理の柔軟性が高いというのも、魅力の一つです。
任意整理は裁判外の交渉ですから、裁判手続である自己破産や個人再生のような制限がありません。
裁判所の調査が入ったり,資格が制限されたり,住居の制限を受けたりするようなことはありません。
また,官報公告などもされません。
加えて、手続きに入る業者を自由に選べるため、家や車、貴重品などを手元に残して手続きができる場合があることや、同居家族や会社の協力は必須ではないため、家族や会社に手続きを取ったことがバレるリスクが少ない点もメリットの一つです。
個人再生
個人再生とは、裁判所を利用して借金を減額することのできる手続です。
債務整理を躊躇してしまう際の、一番多いお悩みは、
「債務整理をすると、自宅を手放さなくてはいけないのではないか」
というものです。
ですが、個人再生では、自宅を残したまま債務整理の手続をできるのです。
また、任意整理とは違い、利息だけではなく、最低支払額は100万円、最高で10分の1元金の圧縮も可能となります。
そのため、大幅な債務の圧縮が可能となります。
個人再生を利用するためには、
・将来的な収入が安定していること
・裁判所への申し立てのために書類や資料を準備し、再生計画を立てること。
・債権者が再生計画を認可し、それを裁判所が認めること。
が必要となります。
自己破産
自己破産手続とは、普段もらっている給与や報酬、手元にある資産や価値のある物品等を、すべてお金に換えても、借金は返しきれない状態であることを裁判所に認めてもらい、同時に借金の返済を免除することを認めてもらう手続きです。
自己破産のメリットは、任意整理や個人再生とは違い、借金の返済は不要となる点です。
あなたの借金が100万円だろうが1000万円だろうが、裁判所が許可を出せばそれで返済が不要となるため、生活をゼロから立て直すことができるのです。
ただし、手続きは大変で、返済をできないことを裁判所に認めさせるために、様々な書類や資料を集める必要があります。
また、価値のある財産を手放す必要がありますし、手続き期間中には就くことのできない仕事や職種もあります。
その他
ここから説明するのは、過払金請求、ヤミ金対応、時効援用等です。
これらは債務整理とは違いますが、お金の問題ですので、弁護士・司法書士事務所で取扱い可能です。
間に専門家を立てることで、解決につながるケースは多々あります。それではひとつずつ見てゆきましょう。
過払金請求
過払い金とは、2010年(平成22年)以前から利用していた借り入れで、利息制限法に定める利率を越えて利息を支払っていた場合、業者に対して払いすぎた利息を返してもらうよう請求することができる手続のことです。
過払金請求と簡単に言っていますが、今まで支払ってきた利息がいくらか覚えていますか?
大丈夫です、数十年も前に支払った利息の総額なんて、覚えていないのが普通です。
また、少しでも過払金の支払いを抑えたい業者は、あの手この手を使って支払いを拒否したり、支払っていた額より少ない金額を提示する場合もあり、相手のペースに乗せられて不利な条件で話をまとめられてしまい損してしまうこともあります。
ですから、最初から弁護士・司法書士を立てて過払金請求することをおススメします。
なお、債務整理とは異なり、信用情報に影響を与えるわけではありません。
多くの事務所で、着手金等は無料で対応していることが多いです。
また、過払金には時効があります。
ですから、まずは調査をするというのが良いでしょう。
ヤミ金対応
トイチ、言葉を聞いたことはありますか?
トイチは、10日で一割の利息が付くという高金利の俗語です。
もしも、100万円の借り入れを行った場合、10日ごとに10万円も利息が発生してしまうのです。
このような恐ろしい高金利貸ですが、利息に関する法律に違反し、刑罰を科される場合もありえる行為です。
このような違法性のあるお金の貸付に対しては、
「貸付は無効であるので返さない。」
「適法なお金しか支払わない。」
と主張することができるのです。
ただし、これを個人でやると、相手方の報復や嫌がらせを受けたり、職場、自宅への訪問を繰り返されるリスクがあります。
ですから、専門家を立てて対応してもらうことで、安心安全に解決につなげることができます。
時効援用
時効とは、返済をせずに5年もしくは10年が経過したとき、時効の援用の意思表示を相手方にした場合、債務が消滅し、以後支払いが免除される手続きです。
時効という言葉を聞いたことがある方は多いと思いますが、時効期間が過ぎたからといって、自動的に借金や利息(債務)が消滅するわけではありません。
借金を消滅させるためには、時効期間が経過した後に、債務者が意思表示をすることが必要です。
また、支払いの約束をしたり、断続的に支払いをしていたりすると、時効を主張することができません。
以下に時効の条件をまとめておきます。
① 返済をまったくしておらず、支払いの約束などもしていないこと
② 裁判をされていないこと(裁判の判決が確定したら時効が延びる)
③5年または10年の経過
債務整理の種類ごとの費用相場は?費用金額の目安と支払い方法
任意整理の費用
・着手金 債務残額によって決定される、事件に着手した際に頂く費用
相手方1社につき 55,000円~(税込) (借金の金額により決定します)
・解決報酬 債務整理が終了した際に受け取る報酬
相手方1社につき22,000円(税込)
・事務管理手数料(郵便切手や通信費等の、業務遂行に必要な諸経費にあたるもの)
相手方1社につき2,200円(税込)
個人再生、自己破産の費用
法的整理の費用内訳
・着手金 440,000円(税込)
過払金請求の費用
・返還報酬 取り戻した金額に応じて発生する報酬
①交渉により過払金の返還を受けた場合 返還を受けた過払金の22% 相当額(税込)
②訴訟により過払金の返還を受けた場合 返還を受けた過払金の 27.5% 相当額(税込)
・解決報酬
・事務管理手数料
過払い金の返還を受けた場合、相手方1社につき22,000円(税込)
※但し,過払金の取り戻した金額が20万円以下の場合は解決報酬金を免除する。
ヤミ金対応の費用
・着手金 債務残額によって決定される、事件に着手した際に頂く費用
相手方1社につき 55,000円~(税込) (借金の金額により決定します)
・事務管理手数料(郵便切手や通信費等の、業務遂行に必要な諸経費にあたるもの)
相手方1社につき2,200円(税込)
弁護士・司法書士に債務整理を依頼するメリット
ベストな債務整理の方法を選択できる
弁護士・司法書士に債務整理を依頼するメリットとして、あなたの目的やニーズに合わせて最適な方法を、専門家に相談して選ぶことができるという点が挙げられます。
全ての債務整理に共通するメリットとして、借金の返済額が減る、返済が免除される効果がありますが、自己破産や個人再生であれば、財産の多くを手放さなければならない場合があります。
一方で任意整理は、そのようなデメリットは少なく、財産を手放さなくても手続きができることも多いです。
個人再生であれば、住宅を手放さずに借金を減らせますし、自己破産の場合、借金自体が免除される強力な効果があります。
どの方法がベストな解決策かは、その人の財産、生活状況や就いている職業によって異なりますから、ベストな解決策は人それぞれです。
それを、最適な方法を専門家に相談して選ぶことができるのは、大きなメリットになります。
債権者からの取り立てや督促を止められる
借金問題でよくあるお悩みのひとつは、頻繁な連絡が来たり、請求書が届くことです。
ただでさえ借金を返済できずに苦しんでいるのに、債権者からの執拗な取り立てに対応しなければならないのは、心身ともに大変なご負担となります。
債務整理を弁護士・司法書士に依頼すると、弁護士や司法書士から依頼を受けたため、請求を止めるように求める通知(受任通知)を債権者に発送します。
受任通知が届いた場合、クレジットカード会社や貸金業者等の債権者は、借金の取り立てを止めなければならないことが、貸金業法で定められています。
そのため、弁護士へ債務整理を依頼すると数日程度で債権者からの督促が止まるのです。
債務整理を依頼して督促を止めることで、精神的な負担から解放され、借金の整理に向けて動きやすくなります。
債務整理の手続きにかかる手間を減らせる
自己破産や個人再生の場合、裁判所に提出する資料や書面を準備する必要があります。
また、各債権者から残高を報告するよう求める必要がありますし、各者に対して自己破産に向けて準備中であることを、定期的報告する必要もあります。
何を提出したらいいか、を自分で調べて準備するというのは、大変に手間がかかり、現実的ではないでしょう。
債権者に連絡をして、待ってもらうようお願いをするのも、精神的に負担になります。
弁護士・司法書士に債務整理をお願いした場合、必要書類や書類の書き方などを、丁寧に教えてもらえますし、取引履歴の開示や、各社への連絡などはすべて行ってくれます。
もちろん、手続きをしている間は、返済はストップしても大丈夫です。
督促されることもありません。
債務整理の手続きにかかる手間を減らせたことにより、業者からの連絡におびえることなく、日常生活やお仕事に集中することができるようになるのです。
債権者との交渉がスムーズに進む
任意整理の手続きは、以下のような流れで進められていきます。
受任通知送付→取引履歴の開示請求→和解交渉→合意書作成→支払い開始
債権者に取引履歴の開示を要求し、和解交渉を行い、合意書を作成するということを、自分だけで出来るでしょうか?
しかも、相手は取り立てを行っている債権者ですから、債務者の側から交渉を行うのは大変です。
弁護士・司法書士に債務整理をお願いした場合、和解交渉は、全て弁護士と債権者との間で行われ、支払い開始までの複雑な手続きを、すべて専門家に任せることができます。
また、交渉の流れや合意の相場にも明るい弁護士・司法書士が相手であれば、債権者もスムーズに交渉が進められ、結果として早く解決に結びつくことが多いです。
家族や会社に知られることなく手続ができる場合がある
借金があることを家族や会社にバレたくないというお話は非常に多く伺います。
借金をすることは決して悪いことではないのですが、借金があるということ、債務整理をしていることを隠して解決したいというお気持ちは理解できます。
ただ、債務整理をしたからと言って、必ず家族や会社に知られる可能性は非常に低いです。
むしろ、司法書士や弁護士といった専門家に依頼することで、借金があることや債務整理をしていることが家族にバレる可能性は低くなります。
返済をストップさせ、金融業者からの督促も止められるので、督促状などの郵便物が届いたり、督促の電話が自宅や職場に来ることがなくなるからです。
また、一緒に住んでいない親・家族であれば、債務整理を行なってもバレることはほとんどありません。
裁判所、債権者、弁護士・司法書士からの電話や、別に住んでいる家族の住所に届くことはありません。
また自己破産手続きをとっても、一人暮らしで家族と別居していれば影響はありません。
ただし、家族や会社が保証人になっている借金があると、債務整理によって返済義務がその家族に移るので債務整理した事実は隠し通すことはできません。
また、自己破産や個人再生の場合、会社から退職金に関する書類をもらう必要があり、その際に理由を聞かれてバレてしまう可能性はあります。
弁護士・司法書士に債務整理を依頼する際の注意点
債務整理の生活に与える影響
債務整理には,自己破産・個人再生・任意整理といった各手続があり,これらはそれぞれ別の手続きです。
したがいまして、リスクやデメリットはそれぞれ異なります。
しかし,債務整理手続のすべてに共通するデメリットやリスクもあります。
債務整理をすると一定期間新規の借り入れができなくなる場合がある
有名なのは、信用情報に登録され、影響が出るというものです。
信用情報とは、借入の申し込みや契約などに関する情報のことをいいます。各金融機関は、これらの情報をもとにして、審査などを行っています。
そして、債務整理の手続きを取った場合、事故情報(いわゆるブラックリスト)に登録されます。
「事故情報」とは、返済が一定期間滞った、破産開始決定が出たなどの情報のことです。
事故情報が載っている間はローンやクレジットカードの新規申し込みをしても原則として審査に通りません。
また、今所有しているクレジットカードも、カード会社側から解約されたり、解約まではいかなくても、限度額を下げられるのが一般的です。
保証人がついている債権を債務整理すると迷惑をかける
保証人・連帯保証人付の債務を債務整理した場合、保証人・連帯保証人に返済の義務が移ることとなります。
そのため、任意整理後は借金をした人への請求はストップし、保証人・連帯保証人へ請求が行きます。
よくあるのは、車のローンや奨学金を組んだ際に、ご家族や会社に保証人になってもらったというケースです。
自己破産や個人再生の場合、手続きを取る会社を選ぶことができず、すべてが対象となってしまうため、避けることはできません。
ただし、任意整理であれば、手続する会社を選べるため、保証人がついている債務は避けて、それ以外を整理することができます。
ですので、どうしても保証人に迷惑をかけたくないと言うのであれば、任意整理手続を行うことで、リスクを回避できます。
個人再生や自己破産をすると官報に記載される
個人再生・自己破産の情報は掲載される官報とは、ひと言でいえば、「国の発行する新聞」のようなものです。
官報は、冊子やインターネット上で公開され、誰でも閲覧可能となっています。
そして、個人再生や自己破産をすると、この官報に氏名や住所が記載されます。
とはいえ、官報は金融機関や信用情報機関、公官庁など、主に債務整理に関わっている会社や業者が読むものであり、一般の人が官報に接する機会はほとんどないといっていいでしょう。
そもそも、債務整理を検討するまで、官報をご存じないという方も多くおられます。
以上のことから、官報は一般に公開されているとはいえ、そこから友人や職場の同僚に知られるというのは非常に稀なケースですので、心配はしなくても良いと言えます。
自己破産をするとマイホーム等の財産が没収される
破産手続は,破産者の財産を処分してお金に換えて,それを債権者に公平に返済し、それでもなお借金が返せない場合は返済を免除するという手続です。
したがって,自己破産においては,マイホーム等の財産を手放さなければなりません。家、車、生命保険、預金、その他一定以上の価値があるものが対象になります。
ただし、全財産を処分する必要があるわけではありません。
自己破産をして免責が許可されたことにより,借金が無くなったとしても,その代わりに生活が成り立たなくなってしまったのであれば,債務者の経済的更生を図ることができません。
そこで,財産のうちで「自由財産」と呼ばれる財産に該当する財産は処分しなくてもよいことになっています。
また、処分しても価値の無いようなものは,処分の対象になりませんし,一定以上の価値がないものの場合は、処分コストの方が高いため,やはり処分対象にはなりません。
自己破産の手続き中は、就けない仕事がある
自己破産をすると、一定期間、制限を受ける職業というものがあります。
どの職業が制限を受けるかは、通常、それぞれの職業を定めた法律に記載されています。
身近なところでは、警備員や貸金業者、宅建士や生命保険の外交員などは、自己破産の手続き中は資格が制限されたり、仕事に就くことができなくなってしまいます。
また、破産をしたことにより、資格が取り消されてしまう場合もあります。
ただし、自己破産による制限の影響を受けるのは一部の職業・資格のみで、その制限期間も4~6ヶ月程度です。
また、制限期間が経過したら、問題なく仕事に復帰できる職業・資格も多くあります。
また、これは自己破産のみに当てはまり、「任意整理」「個人再生」であれば、手続き中に職業・資格の制限がありません。
2回目の自己破産は認められないこともある
過去に破産を経験された方が、2回目の自己破産を申し立てても認められないことがあります。
これは、自己破産には、不許可事由があるためです。
破産法第252条1項には「破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。」と規定されています。
各号に掲げる事由のことを免責不許可事由といい、これに該当すると判断された場合、免責は不許可となります。
各号を簡単にまとめると下記の通りです。
一 財産隠し
二 換金行為
三 偏頗弁済
四 ギャンブルによる借り入れ
五 詐術による借入
六 証拠隠滅
七 債権者名簿の偽造
八 裁判所調査への不協力
九 不正の手段による職務を妨害
十 前回の法的手続きから七年以内に免責許可の申立てがあった場合
要は「破産するのが分かってるのに、人をだまして被害を与えた場合」や
「借り入れの理由が浪費だった場合」
「裁判所が求める破産手続に協力をしなかった場合」
に免責が下りないものと考えてください。
ただし、破産法第252条1項のいずれかに該当する場合であっても、破産法第252条2項では、裁判所は一切の事情を考慮して免責許可を認めるときは、許可決定をすることができます。
これを裁量免責といいます。
他事務所から再依頼してくるセカンドオピニオン事例
費用が高すぎる
他の事務所でご依頼をされていた方からご相談を頂くことも多いですが、よく聞くご相談が「費用が高すぎる。」というものです。
無理な費用の支払いが多く、債務整理をする方のメリットになってないことも多くありますそうです。
例えば、任意整理手続きを始める前は、毎月の支払額が5万円だったにもかかわらず、手続きを開始したら毎月の支払いが6万円になってしまった、などのケースです。
これは、和解内容があまり良くなかった(交渉がうまくいかなかった)場合や、他の手続きを取った方がよいのに、任意整理を選んでしまった場合などに起きることです。
いずれの場合も、弁護士・司法書士とのコミュニケーション不足や、相談不足が原因であることが多いように感じます。
あとから追加で手続きの費用を請求された
「着手金は無料で対応します」
「ほかの事務所より着手金が安い」
と案内されたのに、あとから報酬が発生したために、結果として費用額が高くなった、というご相談を頂くこともあります。
そもそも、着手金というのは、業務の着手に際して頂く費用で、成功報酬は事件の完了時に頂く報酬ということになります。
そして、減額報酬を「減額した金額の〇〇%」というようにしている契約の場合には、あとから減額報酬が発生し、費用のトータルで見たら他の事務所とそれほど金額が変わらなかった、むしろ高くなってしまったというケースもあるようです。
これは、「他の事務所より着手金が安い。」との触れ込みばかりを強調し、費用の案内や成功報酬がいくらかかるかが説明不足という問題があるように感じます。
必要なときに連絡がつかない
「必要なときに連絡がつかない」
「土日に応対してくれない」
というのも、よくいただくご相談です。
最近でこそ、土日祝日も対応可能であったり、夜18時以降も連絡が可能といった事務所も増えてはいますが、今でも弁護士・司法書士事務所では、平日9時から18時頃までしかやっていない会社が多いのが現状です。
特に、債務整理を専門でやっていない事務所の場合、クライアントの法人や裁判所、公官庁窓口の営業時間が9時から18時までということも多く、それ以降の時間に会社にいることが少ない、という事情もあるようです。
そのため、
「会社終わりに連絡をしようと思ったら、営業時間が終了していた。」
「じっくり打ち合わせをしたいのに、休みの日には対応してもらえなかった」
というケースが生じることもあると伺っています。
依頼していた事務所に辞任されてしまった
セカンドオピニオン事例で最も多いのがこのケースです。
依頼をしているのに費用を払わなかったり、手続きに非協力的だった場合、これ以上は債務整理の手続きや委任関係を継続できないという理由で、事務所が委任業務を終了してしまうことがあります。
これは、そのような状態になってしまった依頼者にも非がある面は否めませんが、先ほども述べましたように、土日や仕事終わりに対応してもらえなかったという場合や、入院や生活苦が続いていたため、直近数か月は費用を支払えないが、退院後には支払いが可能になるような場合もあるでしょう。
人それぞれ、連絡ができなかったり、費用が払えない理由というのは違います。
ですから、こまめにコミュニケーションを取っておけば、そのような最悪の事態は避けられたかもしれません。
債務整理に強い弁護士・司法書士事務所を選ぶ5つのポイントを解説
選び方①弁護士か司法書士かで選ぶ
債務整理を行うことができるのは、弁護士・司法書士のいずれかとなります。
では、両者の違いはなんでしょうか。それは、「取扱い業務の金額」です。
認定司法書士が代理人として関わることが認められているのは、債権者ごとの個別の借金の残額が140万円以下の場合に限られます。
つまり、債権者1社からの借金が140万円を超える場合は、司法書士は法律相談に応じることや業者と和解交渉を行うこと、訴訟対応をすることができません。
また、弁護士の訴訟代理権は最高裁判所まで及びますが、司法書士に与えられる訴訟代理権は「簡易裁判所」のみです。
司法書士に依頼して簡易裁判所で訴訟対応をしてもらっていても、相手方が控訴するなどして、地方裁判所に管轄が移ることになれば、別の弁護士に依頼し直さなければなりません。
弁護士、司法書士のどちらに依頼するかという点ですが、1社で140万円を超える債務がなければどちらでもいいと思います。
ただし、司法書士は、1社で元金が140万円を超えるケースは対応することができませんので、弁護士事務所に依頼する必要があります。
また、自己破産や個人再生の場合は、弁護士は裁判所の対応全般を担ってくれますので、弁護士事務所の方が良いことも多いです。
一方、弁護士は法律の専門家で何でも知っているように思えますが、弁護士よって得意分野が違いますし、債務整理をメインでやっていない、事務所もあります。
ですので、次にあげる「債務整理に特化しているか」という点と、自分の債務額、手続きの方向性によって、弁護士か司法書士かで選べばよいでしょう。
選び方②債務整理に特化しているか、実績が豊富かで選ぶ
弁護士や認定司法書士であれば債務整理を扱うことは可能です。
ただ、「専門にしている事務所」と「依頼があれば受けているという事務所」では、やはり専門にしている事務所がおすすめです。
今までに受けてきた案件や、解決実績の件数が多いほど、様々なケースを経験しているため、債務整理でよくあるトラブルにもスピーディーに対処してくれることが期待ができます。
また、債務整理に関して豊富な実績がある事務所であれば、和解交渉や債務整理手続のスムーズさが違います。
そして、多くの弁護士・司法書士事務所のホームページは実績を記載しているため、累計の解決実績や受任件数が多いところやその内訳が明確な事務所に依頼するのがおすすめです。
選び方③費用の安さ、分割払いをしてくれるかで選ぶ
債務整理を依頼する際に、最も重視するのは『費用』ではないでしょうか。
事務所を選ぶ際には、依頼時の相談で、費用総額や債務整理に必要な金額を明確に提示してくれる、相場よりも高過ぎない事務所に依頼することをおすすめします。
債務整理の費用を明確にしてもらえることで、後々のトラブルを回避できますし、金額を抑えることで、債務整理のメリットを感じやすくなり、多くのお金を手元に残すことができます。
その結果、生活の再建がしやすくなりますのです。
また、分割払いに対応してくれているか、回数は何回くらいまで大丈夫かといったことを確認するのも重要となります。
一回の支払額を下げられることで、お金を手元に残しながら生活を再建しつつ、効率的に借金を減額できるようになります。
さらに、費用の明瞭さというのも重要なポイントとなります。
任意整理に「減額報酬」という報酬金が設定されている事務所がありますが、減額報酬が設定されていると、ない事務所よりも大幅に金額が上がる可能性があるので注意しましょう。
選び方④土日祝日の相談、無料相談ができるかで選ぶ
最近でこそ、土日祝日も対応可能であったり、夜18時以降も連絡が可能といった事務所も増えてはいますが、今でも弁護士・司法書士事務所では、平日9時から18時頃までしかやっていない会社が多いのが現状です。
そのような事務所が多い中、土日祝日の相談が可能かどうかは重要なポイントです。
土日祝日でも相談や対応に応じてくれる事務所は、平日は忙しい依頼者の立場にたって柔軟な対応を提案してくれる、「サポート力」「サービス精神」があると言えます。
以下の3つのパターンに該当する方は、土日・祝日に相談できる法律事務所・法務事務所に依頼することをオススメします。
平日は仕事が忙しく時間が取れない会社員の方
平日は家事やパートで忙しい主婦の方
授業やアルバイトが忙しい学生の方
また、相談が何回まで無料かについても、確認した方がよいでしょう。
最近は、相談料は無料という事務所も多いですが、中には取る事務所もあります。
なお、ネット上では「借金減額診断を利用した無料相談は怪しい、詐欺?」
といった口コミを散見致しますが、弁護士・司法書士は各自が所属する団体に名前や弁護士番号等を登録しており、調べれば本物か詐欺かは、各所属団体のホームページから検索すれば一目瞭然です。
当然、弊所も法務大臣から認定された司法書士が在籍しておりますので、ご安心ください。
選び方⑤相性のよい事務所を選ぶ
そのほかにも、確認すべきポイントはいくつかあります。
・通いやすいか
打ち合わせや面談のために、事務所へ行く必要があることもあります。
ですので、事務所がどこにあるかなどを確認しましょう。
・Web相談に対応しているか
電話や手紙以外にも、メールやWEB会議、その他SNS等のサービスでやり取りができると大変便利です。
これらが使える事務所は、要望が伝えやすく、対応がスピーディーであることも多いです。
・弁護士・司法書士の人柄が良い
弁護士・司法書士との相性は、思う以上に重要なポイントです。
中には愛想が悪い先生もおられるでしょうし、怒られているような気分になる先生に相談するのは、少し気が引けてしまうということもあるでしょう。
・口コミでの評判が良い
口コミは依頼者の対応の満足度を表す指標ですから、悪い事務所よりはいい事務所を選んだ方がよいでしょう。
まとめ
債務整理に強い弁護士・司法書士事務所を選ぶ5つのポイントをまとめます。
1弁護士か司法書士かで選ぶ
借金の残額や訴訟対応範囲に違いがあります。
140万円以下の借金や簡易裁判所のみの対応なら司法書士でも問題ありませんが、債務額や手続きの方向性によって選ぶべきです。
2債務整理に特化しているか、実績が豊富かで選ぶ
債務整理の経験と解決実績の多さが重要です。
豊富な実績を持つ事務所はトラブル解決や手続きのスムーズさにおいて有利です。
3費用の安さ、分割払いをしてくれるかで選ぶ
事務所の費用総額や必要金額を明確に提示してくれることが重要です。
費用を抑えることでメリットを感じやすくなり、分割払いに対応しているとさらに効果的です。
4土日祝日の相談、無料相談ができるかで選ぶ
土日祝日や夜間にも相談に応じてくれる事務所は柔軟でサービス精神があると言えます。
また、相談料が無料であるかも確認するべきです。
5相性のよい事務所を選ぶ
事務所の場所やWeb相談の対応、弁護士・司法書士の人柄や口コミ評判も重要です
。
相性の良い事務所を選ぶことで、打ち合わせや相談がスムーズに進みます。
以上のポイントを考慮して、自身の債務額や目的に合った弁護士・司法書士事務所を選ぶことが重要です。