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債権回収の基礎知識—債務者から確実に回収するためのステップ

債権回収の基礎知識—債務者から確実に回収するためのステップ

2023年の倒産企業は9053社あるが、その中で帳簿上では黒字ながらも倒産する黒字倒産も存在する。

黒字倒産してしまう一つの原因として、債権回収が失敗に終わってしまったことが挙げられます。

この記事では、会社運営に直結する債権回収について、

  • 基礎知識や債権回収の方法
  • 未回収債権を防ぐための方策

まで、まとめて説明します。

確実な債権の回収方法は?-債権回収の重要性

そもそも債権とは何か?


債権とは、特定人(債権者)が特定人(債務者)に対して、一定の財産上の行為を請求できる権利のことを指します。

債権者が請求を行う側、債務者は請求に応える側です。

ここで、商品を製造・販売している企業を想定して、債権債務を理解してみましょう。

発生する債権債務

A社は、商品を製造販売している会社です。

A社では、A社の商品を小売業者に売る仲買業者のB社と頻繁に取引をしていました。

今回も、B社から商品100個、1つあたり1万円で買うという、大口の注文が入り、A社と契約することとなりました。

この場合、A社とB社は、売買契約という契約を結びます。

すると、この契約によって2つの請求権が発生します。

1つ目が、B社がA社に対して有する「商品引渡請求権」です。

この権利の内容は、「契約の目的物とした商品を渡してください」というものになります。

この権利に関して、製造企業は債務者となり、取引先が債権者となります。

つまり、B社はA社に「商品を渡してください」と請求を行うことができるのです。A社は反対に、B社に100個の商品を渡す義務が生じます。

2つ目が、A社がB社に対して有する「代金支払請求権(売掛金)」です。

この権利はすなわち「売買代金を支払ってください」ということができる権利です。

こちらに関しては、A社は債権者となり、B社は債務者となるのです。ですので、B社は、製造企業から請求された売買代金100万円を、支払わなくてはなりません。

債権回収とは

では、上記の例で、B社が商品を受け取ったにもかかわらず、期日になってもA社にお金を払わなかったらどうなるのでしょう?

その場合、A社はB社から、債権の回収を行う必要が生じます。これを、債権回収と言います。

債権回収とは、債権者が自己の売掛金などの債権を回収することです。

債権回収の必要性

企業にとって、債権回収ができない状況は致命的といえます。

というのも、債権=金銭(キャッシュ)ではないからです。

先ほどの例でいえば、A社の持つ「代金支払請求権」は、100万円の価値があります。

ですが、これが現実にお金にならないと、次の投資や仕入れには使えません。

債権はあくまで「お金を〇〇円払う」という約束にすぎないからです。

つまり、いくら売上げが伸びて債権を沢山持っていても、それらを実行して金銭にならなければ、お金がないのとあまり変わらないのです。

どころか、債権回収を怠ったり失敗したりして金銭が手元になければ、資金難に陥り事業を続けていけなくなります。

このようにして、売掛金の回収が上手くいかず黒字倒産という事態につながるのです。

債権回収の方法とは?

では、売掛金債権などをどのように回収してゆけばいいのでしょうか?

債権を回収していくことは、債権者の権利です。これは誰にも否定されることではありません。

ですが、当然ながら回収の方法は適法な手段であることが必要です。

また、他の債権者の権利を侵害するような手段や方法は避けなくてはなりません。

そこで、一般に認められた適法な債権回収の方法をご紹介します。

【督促】


最もストレートな方法で、直接相手方に支払いを請求することで、支払いを受けようという方法です。

特に書面の場合は、内容証明郵便(誰にいつどのような内容の書面を送付したかを、郵便局が証明してくれる制度)で証拠を残す手段がよく用いられます。

【裁判所による手続】


裁判所の手続によって、支払いを促す、場合によっては命じてもらう、強制的に財産などを差し押さえるなどの方法があります。

  • 支払督促…裁判所書記官から督促の書面を送付してもらうこと
  • 民事調停…調停委員の進める話合いで、支払いについて債務者と合意すること
  • 少額訴訟…60万円以下の金銭の支払いを請求する裁判で、支払いを命じてもらうこと
  • 通常訴訟…上記の金額に制限がない場合
  • 強制執行…強制的に債務者の財産を差し押さえて、そこから金銭を回収すること

【その他の方法】

  • 債権譲渡…相手方が持つ第三者への売掛債権の譲渡を受けるという方法
  • 相殺…相手方に対して債務を負っており条件が整っている場合に、その債務と打ち消す方法
  • 商品の引揚げ…納入した商品が相手方の手元に残っている場合に当該商品を引き揚げることで売買代金債権を回収してしまう方法

未回収債権を発生させないために

債権を未回収にしないために重要なことは、相手方に自社を「優先的に支払うべき取引先」と思わせることです。

そのためには、例えば以下のような方法で関係を強化することが大切です。

・継続的な取引でも、毎月確実に請求書を送付し、請求漏れをなくす
・入金の指定期日に必ず確認し、遅れている場合は速やかに支払いの督促を行い、確実な入金可能日時を確認する
・入金がない場合は、出荷停止や取引中止などの毅然とした姿勢を見せる

まとめ

「契約書があるから大丈夫」と悠長に構えて債権の回収をないがしろにしていると、気付いた時には手遅れということになりかねません。

日頃から取引先に関しては情報を収集し、不安要素が見つかった場合には早めに、弁護士などの専門家へ相談して対策を講じることも大切です。